【絶望の現在と甘美な過去】映画「レミニセンス」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2021年のアメリカ映画
主演者はヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン
突然姿を消した女の正体を追うSFサスペンス

こんな人にオススメ!
・崩壊した近未来設定が好き
・ちょっと捻った展開が好き
・純愛がみたい

映画「レミニセンス」が5分でわかる!【ネタバレあり】

あらすじ

・運命の出会い

戦争と海面上昇で未来に希望がなくなった近未来。
狭くなった土地を悪徳地主のシルバンが高く売り付け、人々は困窮していた。

そんな中人々は過去に救いを求め、バニスターは古いビルの一角で相棒の女性ワッツと、人々に過去の記憶を体験させるレミニセンス(記憶潜入)を提供するサービスを行っていた。

ある日、閉店時刻を過ぎた店に一人の女性が訪ねてくる。
女性はメイといい、なくした鍵を探していたため、バニスターはレミニセンスで女性の記憶を探る。
その結果、メイは自身が働くクラブの楽屋で鍵を落としたことがわかったが、バニスターはクラブで歌うメイの姿を見てすっかり魅入ってしまう。
翌日、バニスターはメイが店に忘れていったピアスを返すため、メイが働くクラブを訪ねメイと結ばれる。

そこでバニスターの意識が急に遠のき、今まで見ていたのはレミニセンスで見たバニスター自身の過去の記憶出会ったことがわかる。
バニスターは突然いなくなったメイのことを忘れられず、レミニセンスで過去の記憶に入り浸っていることにワッツは苛立っていた。

・メイの行方

レミニセンスでメイとの日々を楽しんでいたバニスターは、ワッツの仕掛けためざましに叩き起こされる。
その日はレミニセンスで犯罪捜査に協力することになっており、バニスターは裁判所に向かおうとしていたが、家の前にメイのピアスが落ちているのを見つける。

バニスターは裁判所で逮捕された麻薬組織の構成員の記憶を探り、組織のボスであるセント・ジョーの情報を得ようとしていた。
しかし構成員の記憶にはジョーの前で歌うメイの姿があり、その後ジョーと関係を持つようになったメイは麻薬の常習者になっていたことがわかる。

バニスターはジョーを訪ねメイの居場所を訪ねるが、メイはジョーから麻薬を奪って逃げており、行き先はわからなかった。
さらにバニスターがジョーに会うためについた嘘がバレ、バニスターは水槽に沈められる。
そこにワッツが銃を持って現れ、ジョーの部下たちを次々と倒し、バニスターを助ける。

バニスターはメイが顧客の記憶ファイルを盗んでいったと考え、メイに最後にあったワッツの記憶を探ることにする。
その記憶では、ワッツが席を立った隙にメイは記憶ファイルの保管庫に侵入しており、エルサという顧客のファイルを盗んでいたことがわかる。

バニスターがエルサを尋ねるが、すでにエルサは何者かに殺されており、その息子フレディはメイと思われる女性に連れ去られていた。
バニスターはメイを探し遊園地の跡地を訪れるが、そこでジョーとつるんでいた汚職警官ブースに襲われメイを探らないよう警告される。

・ブースとの戦い

実は数日前に悪徳大地主のシルバンが急死しており、土地と財産はシルバンの妻子が相続することになり、シルバンに搾取されていた労働者たちの不満が爆発していた。
バニスターは偶然シルバンの正妻の顔を見たことで、シルバンの正妻がかつてレミニセンスをしに来ていたことを思い出す。

バニスターはその時のファイルから手掛かりを得て、エルサがシルバンの不倫相手で、エルサが当時シルバンとの子供を孕っていたことがわかる。
ワッツはメイにのめり込むバニスターを心配し、一緒に会社に留まって欲しいと頼むが、バニスターの考えは変わらなかったためワッツはバニスターの元を去ってしまう。

バニスターはシルバンの妻に会い、財産分与を嫌ってエルサの子を殺すためにブースが雇われたことがわかる。
その話からブースとメイは工場跡地にいることを突き止めたバニスターは工場跡地でブースを見つける。
バニスターはその場から逃げたブースを追いかけ格闘になるが、バニスターは隠し持っていた麻酔薬をブースに投与し、レミニセンスにかけることでブースの記憶を探る。

・仕組まれた出会い

ブースはジョーの麻薬を盗んだメイを脅迫し、バニスターを探るよう指示していた。
バニスターとメイの出会いは仕組まれたものであり、ブースはシルバンの不倫の証拠を消すためメイにエルサがレミニセンスした際の記憶ファイルを盗ませようとしていたことがわかる。
その後ブースはエルサを殺し、エルサとシルバンの息子フレディも殺そうとしたが、そこにメイが現れフレディを連れて逃げていた。

その後バニスターを訪ねようとしていたメイはブースに見つかりフレディの居場所を尋問される。
しかしメイはバニスターがブースの記憶をレミニセンスで読むことを想定しており、バニスターにしかわからない形でフレディの居場所を話す。
メイとバニスターは記憶の中で邂逅を果たすが、その直後、メイはフレディの居場所を隠すため自ら身を投げて命を落とす。
これに怒ったバニスターはブースにトラウマを見せつけブースの脳を損傷させる。

・未来を生きる者と過去を生きる者

バニスターはシルバンの正妻の子セバスチャンを訪ね、ブースのスマホを使ってセバスチャンこそが黒幕であることを突き止める。
セバスチャンはシルバン亡き後、妾の子であるフレディに財産が相続されることを嫌い亡き者にしようとブースを雇っていたのだ。

メイに匿われていたフレディは警察に保護され、バニスターはその足で再就職をしていたワッツに会いに行く。

バニスターはワッツに全てを話し、ワッツにかつて生き別れた娘とやり直し、未来を生きるよう伝える。
バニスターはブースの脳を損傷させた罪を償うため検察と司法取引し、セバスチャンの情報を提供する代わりに、レミニセンスで眠り続けることにする。

バニスターはレミニセンスでメイとの楽しかった日々を永遠に見続けていた。
その傍には老いたワッツが立っており、彼女の生き別れた娘の子とともにバニスターに花を手向けるのだった。

レビュー・考察

崩壊した近未来

世界観が秀逸で、戦争と海面上昇で希望のない近未来となっている。
バニスターが住むマイアミは海面が上昇し、常に道路が冠水している。
それがなんとも美しくも恐ろしい光景を作っている。
移動は船が基本になり、ちょっと怪しげな海上マーケットが開かれている。

土地が貴重になったため、戦争に乗じて多くの土地を獲得したシルバンが、戦後その土地を高く提供して悪どく儲けている。
このためシルバンは労働者層から恨まれており、ラストシーンの暴動につながっている。

このような現在の不満と未来への不安が、人々に過去を追体験させるレミニセンスが流行する背景となっている。

レミニセンス

レミニセンス(記憶潜入)は、対象者の過去の記憶の追体験できる技術のこと。
これにハマるとなかなか抜け出せなくなり、何度も同じ過去を観にくるリピーターも多い。

すごいのはポッドに入った対象者だけが記憶を見るのではなく、3D投影される画像で第三者もその記憶を見ることができること。
そしてその記憶ファイルは外部デバイスに保存して容易に持ち運ぶことができる。
この技術を利用し、バニスターは人々に過去を体験させたり、犯罪捜査に協力したりして生計を立てている。

自身の記憶にない部分も映画を見るように客観的視線で見れるため、メイがどこで鍵をなくしたのか簡単にわかったのだ。
ちなみに映画序盤で、バニスターがメイにファーストキスの場面を思い出してと(セクハラまがいのことを)言い、メイが思い出した光景には自分自身も映っていたというシーンがある。
これは過去の記憶は第三者視点で思い出されるというレミニセンスを説明するシーンになっている。

映画はレミニセンスを使い、バニスターがメイの正体を追うのがストーリーの本筋になっている。
ちょっとした手がかりから行方を追う洞察力と行動力はすごいが、一歩間違えたらストーカーである。
もしレミニセンスがあったら、あなたはどんな過去を追体験したいですか?

未来に生きるワッツと、過去を生きるバニスター

映画のラストではかつての相棒が、それぞれ対照的な生き方をする道を選ぶ。

ワッツには一人娘がいたが、彼女のアル中が災いして大事故を起こしてしまい、娘は親戚に引き取られていた。
その後ワッツは娘と連絡をとっていなかったが、バニスターの言葉に動かされ娘と連絡を取ったようだ。
ラストでは、バニスターを看取るワッツのそばにはワッツの孫娘がいた。

一方バニスターは司法取引の結果とはいえ、レミニセンスで過去のメイとの幸福な記憶を永遠に反芻し続ける道を選ぶ。

安易にバニスターとワッツを結びつけることをせず、それぞれが別の生き方で幸福になった点が面白い。

作中最強はワッツ?

どうでもいいが、ワッツさん強すぎ説がある。
ジョーにより水槽に沈められたバニスターを助けるため、単身ギャングのアジトに正面から乗り込んでいた!

バニスターが沈められた水槽を銃で割って助けただけでなく、アジトにいたジョーの手下はもちろん、ボスであるジョーまで討ち取ってしまう無双っぷりである。
しかもアル中というデバフ状態でこれ。

ドローンに電池を繋ぐ退屈な仕事をしていたらしいが、この活躍っぷりはどう見てもランボークラスの元傭兵か何かとしか思えない。


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