女の涙は殺人兵器!?
あらすじ
エミリーは4年ぶりに刑務所から出所した夫マーティンを迎えたが、
その精神は不安定で、駐車場で車を壁にぶつけ病院に運ばれる。
エミリーを診察した精神科医のバンクスは、ブレーキ痕がなかったので自傷行為を疑い、鬱の薬を処方し自宅に帰す。
バンクスはかつてのエミリーの主治医シーバートを訪ね、エミリーがマーティンの逮捕後に流産していたことを知る。
エミリーの鬱は悪くなる一方で、バンクスはアブリクサという新薬を処方する。
薬の副作用でエミリーは夢遊病になり、マーティンを刺し殺してしまう。
警察に呼び出されたバンクスは、エミリーは薬の副作用で夢遊病にだったと主張する。
エミリーと面会したマーティンの母は、エミリーからアブリクサの危険性を訴える手紙をか受け取り世間に公開する。
エミリーの裁判では、バンクスが睡眠中のことで自覚がなかったと主張したため、エミリーの心神喪失が認められる。
エミリーは罪には問われなかったものの、精神病院に入ることになる。
バンクスもアブリクサを処方したことで、次第に立場を失っていく。
バンクスはエミリーのことを調べ、かつての主治医のシーバートが、アブリクサの副作用を知っていながら黙っていたことをつきとめる。
さらにエミリーが車で自殺未遂を起こした時は、しっかりと安全対策をしていたことや、嘘の同僚の話をしていたことがわかる。
バンクスはエミリーが事件を仕組んだと疑い始め、その調査にのめりこみ、家族とうまくいかなくなっていく。
それでも諦めないバンクスは、エミリーに薬物を投与し、マーティンへの殺意の有無を質問したが、エミリーは殺意の供述をしないまま眠ってしまった。
しかし実はバンクスが投与したのはただの食塩水で、眠くなるはずのないものだった。
エミリーは鬱を偽っていると、バンクスは主張するが相手にされない。
バンクスの自宅にはエミリーとの関係を匂わす写真が届き、妻は離婚を言い渡し出て行ってしまう。
バンクスは精神病院にエミリーを訪ね、電気ショック療法の話をし鎌をかける。
さらにバンクスはシーバートがエミリーを裏切ったかのように演出することで、エミリーから事の真相を聞くことに成功する。
かつてエミリーはシーバートから鬱の装い方と薬の副作用を教わる見返りに、マーティンから教わった株のインサイダー取引をシーバートに教えていた。
エミリーは元々マーティンを憎んで殺すつもりであり、無罪が取れるのであれば巻き込むのは誰でもよく、バンクスだったのはたまたまだと話す。
追い詰まったエミリーはバンクスに取引を持ちかけ、病院から出してもらう。
エミリーはシーバートから殺人共謀と証券詐欺の自白を引き出し、シーバートは逮捕される。
バンクスはエミリーの診察を続けることを条件に、彼女を病院から出しており、バンクスの判断一つで病院に戻せることになっていた。
バンクスに反抗したエミリーは病院に戻されることになり、バンクスは妻との生活を取り戻すのだった
レビュー
鬱病患者の話。
精神疾患界隈って黒い噂があるジャンルだけど、本作はそんな闇を取り扱った映画。
闇の1つは薬漬け問題。
精神病院に行っても薬漬けにされて、診療報酬取られ続けるというのはよく聞く話。
本作でもバンクスはエミリーにどんどん薬を処方している。
これさえなければバンクスも足元すくわれなかったのに…
闇の2つ目は嘘鬱。
鬱という医師の証明は実はいろんな使い方がある。
とくに日本の公務員では、療養休暇中も給料出るし、絶対クビにならないから、ひたすら休み続けるのがラクするコツで、各課にひとりはその道のプロがいたりする。
その程度ならかわいいもので、エミリーは夫の殺しを無罪にするため嘘鬱使うあたり、実はサイコパスでヤバイのでは?と思わせてくれる。
鬱の演技とか薬の副作用の勉強頑張って嘘鬱極めるあたり、公務員と根っこは同じものが流れてそうだ。
その気力をもっと有効に使えよと。
こういう人がいるから真面目に仕事して鬱になった人が、休めなくなるんだよな。
話が少し逸れたが、本作の凄いところはエミリーは鬱だってことを視聴者に信じ込ませるところにある。裁判のあたりなんて、バンクスでなくても流産で鬱になった哀れなエミリーみたいにならざるを得ない感じがうまく出ている。
そこからバンクスが社会的にピンチになって、バンクスさんエミリーが嘘鬱とか言ってるけどなんかヤバくね?
みたいな空気感から、証拠を集めて巻き返すあたりが本作一番のみどころ。
ラストの大逆転劇はまさに逆点満塁サヨナラホームラン!
その鮮やかさは、数々のどんでん返し映画でもトップクラスだ。
女の涙は武器というけど、人を殺せるなんて思いもしなかったそこのあなた!
この映画を見て勉強しましょう。