【皇帝の実像】映画「グラディエーター」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2000年のアメリカ映画
主演はラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン
古代ローマ帝国の英雄マキシマスの半生を描いた歴史映画

こんな人にオススメ!
・古代ローマ帝国に興味がある
・剣での戦闘が見たい
・歴史としての正しさよりエンターテイメント!

映画「グラディエーター」が5分でわかる!

あらすじ

英雄マキシマスの没落

西暦180年、ローマ帝国のアントニウス帝はゲルマニア攻略を目指していた。
ローマ帝国の将軍マキシマスは巧みな戦術でゲルマニアを破る。
アントニウス帝は直接マキシマスを労い、アントニウス帝の長男コモドゥスと長女ルッシラも現れ、その日は戦勝を祝うパーティとなった。

アントニウス帝は元老院の腐敗を一掃したいと考えており、腐敗とは無縁のマキシマスに自身が没した後の帝国の実権を譲りたいと考えていた。
マキシマスは愛する妻子のいる故郷に帰りたがっていたが、その実故郷には帰れないであろうことを悟っていた。
ルッシラは未亡人で、亡夫との間には一人息子のルシアスがいたが、ルッシラは昔からマキシマスへの思いを秘めていた。

ある時、アントニウス帝はコモドゥスに死後の実権をマキシマスに譲ると伝えるが、それを聞いたコモドゥスはその場でアントニウス帝を絞め殺してしまう。

コモドゥスはマキシマスを呼び出し、アントニウス帝が亡くなったことを伝え、自身に忠誠を誓うように言うが、コモドゥスがアントニウス帝を殺したことを見ぬいたマキシマスはそれを拒否して何処かへ立ち去ってしまう。
マキシマスはコモドゥスの兵に逮捕され、処刑されそうになるが殺される寸前で反撃し、兵たちを倒し急いで故郷に向かう。
しかしその時すでにコモドゥスの魔の手はすでにマキシマスの妻子に及んでおり、マキシマスが着いた時には故郷はすでに壊滅していた。

マキシマスは絶望のあまり妻子の墓の前で意識を失うが、そんなマキシマスを何者かが助け、兵と戦った時に負った傷の治療もしてくれていた。

グラディエーター

マキシマスを助けたのはローマ領の一部である南スペインのズッカバールという街の奴隷商プロキシモの一行で、マキシマスたちを剣闘士グラディエーターとして使うつもりであった。
ここでマキシマスはスペイン人というあだ名で呼ばれるようになり、マキシマスは自身の手で腕に彫られたローマ帝国兵士の刺青を削り取る。

マキシマスは初めての闘技場での興行で、次々と襲いくる敵たちを倒し、観客から喝采を得る。
マキシマスは圧倒的な強さで一躍闘技場の人気者となっていたが、殺しを見て楽しむような観客たちに憤りを感じていた。
プロキシモも元々グラディエーターで、闘技場での活躍がアントニウス帝に認められ奴隷の身を抜け出すことができた。プロキシモはマキシマスに観客を味方につければ自由になれると伝える。

新皇帝コモドゥスはローマのコロッセオで闘技会を開催することにし、その場で内心嫌っていた元老院の解散を宣言しようとしていた。
マキシマスもコロッセオに連れてこられ、そこで偶然コモドゥスの姉ルッシラの子ルシアスと出会う。

闘技会でのマキシマスらグラディエーターの役は、第二次ポエニ戦争でローマ帝国に敗れたカルタゴの兵士だった。
マキシマスらは歩兵に対し相手は馬車で襲ってきたが、マキシマスの巧みな戦術で馬車部隊は壊滅する。
この意外な結末にコモドゥスは感心し、闘技会の中心となったマキシマスに直接会いに行く。
マキシマスは仮面をしていた上、スペイン人と呼ばれていたのでコモドゥスはマキシマスであると気づいていなかったが、マキシマスはコモドゥスの命でその仮面を取り、コモドゥスに妻子の復讐を宣言する。

コモドゥスはマキシマスを処刑すると思われたが、コロッセオの観客たちの殺すなというコールに押され、処刑することはできなかった。
ルッシラは密かにマキシマスに会いに行き、アントニウス帝の血を継ぐルシアスの命もいつコモドゥスに奪われるかと怯えていると伝える。
そしてマキシマスにローマ帝国のことを真に考えるある政治家に会ってほしいと伝えるが、マキシマスはルッシラをにべにもなく追い返す。

反撃の狼煙

闘技会の最終日を飾るのは元ガリアの将軍タイグリスで、マキシマスと剣での勝負をすることになるが、コロッセオ内には数々の罠が仕掛けられていた。
マキシマスは罠として仕掛けられていた虎を倒し、タイグリスも戦闘不能に追い込むが、殺すことはしなかった。
コモドゥスは殺すように指示をするがマキシマスが従わなかったので、自らコロッセオに降り直接マキシマスに指示するが、それでも従わないマキシマスは観客の大声援を得る。

マキシマスは群衆の中にかつての部下キケロを見つけ、今でも兵たちがマキシマスに従うことを確認し、密かに何かを頼む。
マキシマスはルッシラを通じて議員のグラックスを紹介してもらい、自身に自由を与えるようにいう。
そうすればマキシマスは兵と合流し5000の兵でローマに入り、クーデターを起こすという。グラックスは独裁者が交代するだけだというが、クーデター後マキシマスは市民にローマを預けて去るつもりであることを語る。
しかしその直後グラックスはコモドゥスに逮捕され、マキシマスにも命の危機が迫っているとルッシラが伝えにくる。ルッシラはマキシマスを逃し、自らの思いを伝え二人は口づけを交わす。

しかしルッシラを愛するコモドゥスはこのことを知り激怒し、ルシアスの命でルッシラを脅す。
プロキシモの家にもコモドゥスの兵が現れるが、マキシマスらグラディエーターたちはこれに抗って戦う。マキシマスが脱出した先にはキケロがいたが、これはコモドゥスの罠で、キケロは殺されマキシマスも捕まってしまう。
ルッシラはルシアスの命と引き換えにコモドゥスを愛し子供を産むよう強要されるが、それを拒む。

決闘

コモドゥスはマキシマスとコロッセオで直接戦うことを伝えるが、その直後刃物でマキシマスの胸をひと突きする。
マキシマスは重傷を負った状態でコモドゥスと剣を交わすが、足に傷を負い窮地に陥る。
それでもマキシマスはコモドゥスの腕に一撃を加えコモドゥスは剣を失う。
コモドゥスは周囲の兵に剣を求めるが、審判の将軍クイントゥスは剣を渡さないようにいい、マキシマスも剣を棄てでコモドゥスと戦う。
コモドゥスは隠し持っていた短剣でマキシマスに切り掛かかるが、マキシマスはその短剣でコモドゥスを刺して殺す。

マキシマスは仲間の釈放とグラックスの復権をクィントゥスに頼み、アウレリウス帝の夢見た真のローマ帝国を夢を託す。
倒れたマキシマスにルッシラは駆け寄り、マキシマスは妻子を想いながら死亡する。
ルッシラはマキシマスこそ真のローマ兵士と称え、その遺体を丁重に担がせる。

その後マキシマスと仲の良かった奴隷の一人は、コロッセオの一角にマキシマスが大切にしていたマキシマスの家族の人形を埋め、いつかまた会えると語りかけるのだった。

レビュー・考察

古代ローマ帝国の全盛期を築いたマルクス・アウレリウス・アントニウス帝の将軍マキシマスを描いた話。
西暦180年なので中国では三国志の時代である。

社畜マキシマス

マキシマスの生き甲斐は愛する妻と幼い長男だったが、家族の待つ故郷には2年と2565日も戻れていなかった。

最強の将軍にして家族思いで、ゲルマニア征服の対価として彼が求めたのは帰郷だった。
しかしアントニウス帝はマキシマスを後継者にと考えており、その夢は叶いそうになかった。
単身赴任が長くなりすぎて自宅に帰れないお父さん状態である。
それでもローマ帝国の征服地出身であるマキシマスに、仕事を辞めるという選択肢はないのだが…

マキシマスはアントニウス帝には忠誠を誓っていたが、アントニウス帝を殺したコモドゥスには忠誠を誓わなかったので、家族は殺され自身も殺されそうになってしまう。

この辺の立ち回りは、コモドゥスの姉ルッシラと対照的になっており、ルッシラは息子ルシアンを守るため、コモドゥスに忠誠を誓っている。
自分の意地を通すか、自分を捨ててまで家族を守るかであるが、マキシマスもコモドゥスがまさか家族を殺すとは思っていなかったのかもしれない。

母は強し!ルッシラ

ルッシラはコモドゥスと表面上うまく付き合いつつも、裏ではグラックスと繋がりを持ち、マキシマスを引き合わせることで政権を転覆させようとしていた。

ルッシラはアントニウス帝の血を継ぐルシアンは、コモドゥスにいつ命を狙われてもおかしくないと恐れており、政権を転覆させることで、ルシアンの身の安全を確保しようとしていたのだ。
母は強しである。

結果的にはマキシマスがコモドゥスを討ち、ルッシラは目的を達成する。
もともとルッシラは男だったらとアントニウス帝に惜しまれた女傑で、この辺の強かさはその片鱗を垣間見せる。

汚いコモドゥス

圧倒的に人望のない皇帝コモドゥス。
父であるアントニウス帝はコモドゥスよりマキシマスを愛し、実権をマキシマスに譲ろうとしてコモドゥスに殺されてしまう。
お家争いのゴタゴタで国が滅ぶのは、同時代の中国にいた袁紹も同じで、世界共通のようだ。

コモドゥスの下衆ムーブは枚挙にいとまがなく、功労者マキシマスの家族を殺し、マキシマスは殺そうとして失敗する。
マキシマス殺しを担当した部下からは確実に仕留めたと報告されていたあたり、コモドゥスへの信頼感の低さを窺わせる。

さらにはグラディエーターとなったマキシマスを闘技で殺すため、虎トラップ闘技を仕組んだり、自身との闘技の前にマキシマスを刺したりと、とにかくセコさが際立っている。しかも勝てない。
そもそも闘技で殺さざるを得なくなったのも、民衆たちの殺すなの声にビビったからで、その小物感がスゴイ。

果ては姉ルッシラをルシアンの命で脅して、自身との子供を産ませようとするなどどんどん最低になっていく。
そんなんだからお父さんに愛されないんだぞ!
育てたお父さんも悪いが、征服事業が忙しすぎて、ちゃんと子育てできなかったのかもしれない。
仕事にかまけて子供に無関心なお父さんのようである。

マキシマスに討たれた後、ルッシラはマキシマスに寄り添ったが、コモドゥスには見向きもしなかった。ここまで来ると憐れですらある。

史実では…

というのは映画の話で、コモドゥスはアントニウス帝と共に征服を進め、はじめから後継者として育てられていた。
アントニウス帝の生前からカエサル、インペトラル、アウグストゥスの三大称号を与えられており、実質アントニウス帝と同等の権力を与えられていたようである。

アントニウス帝は病死で、姉ルッシラは愛人の従兄に命じてコモドゥスを暗殺しようとして失敗し流刑になっている。
コモドゥスが元老院を嫌うようになったのもこの件が原因だったとも言われている。

ヘラクレスを信仰し、闘技を好んだのは史実だが、民衆に娯楽を与えた上、貧民への食事の提供など慈善活動を行ったので民衆からは人気があったようである。
しかもその財源は、元老院など上級国民からの徴税で賄うなど、名君ムーブが止まらない!

最期は元老院と対立し毒殺されかけるが、解毒剤を飲んでいたため死なず、グラディエーターであるナルキッソスにトドメを刺された。
役回りが映画と史実で真逆である。

映画グラディエーターのコモドゥスは、元老院サイドから見たコモドゥス像であるような印象を受ける。

映画ではせいぜい数ヶ月程度の出来事のように描いているが、コモドゥス統治は彼が18歳で即位し、31歳で暗殺されるまで13年間続いている。

なおマキシマスは架空の人物である。

まさかの続編

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