【娘はいない…?】映画「フライトプラン」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2005年のアメリカ映画
主演者はジョディ・フォスター、ショーン・ビーン
機内で姿を消した娘を探すサスペンス

こんな人にオススメ!
・子どもを持つ親御さん
・どんでん返しが好き
・無関心で無責任な人々

映画「フライトプラン」が5分でわかる!

あらすじ

亡夫との旅路

転落事故で夫デヴィッドを失ったカイルは、一人娘のジュリアと夫の棺を故郷であるニューヨークに返すことになる。
自宅の玄関を出ようとしたところでジュリアが怖いから行きたくないと言い出したため、カイルはコートでジュリアを隠してタクシーに乗り込みベルリン国際空港に向った。

カイルとジュリアは一番に飛行機に乗り込み、その目の前の席には賑やかな子連れの家族が座っていた。
離陸までの間ジュリアは窓側の席から外を眺めており、父の棺と一緒に飛行機に乗っていることに感傷的になっているようで、飛行機の窓にハートマークを描いていた。

ジュリアがいない!

離陸した飛行機は安定高度に入り、いつの間にか寝入ってしまっていたカイルが目を覚ますと、離陸から3時間が経っていた。
隣にいたはずのジュリアはいつの間にかいなくなっており、カイルが機内を探し回るが見つかったのはジュリアがいつも持っていたクマのぬいぐるみだけだった。

カイルはアテンダントに相談するが、機内に放送をかけてもジュリアの手がかりすら掴めない。
不安に駆られたカイルは貨物室や調理室を捜索したいと伝えるが、アテンダントが空港に問い合わせたところ、ジュリアが飛行機に乗り込んだ記録がないという。
カイルがジュリアのチケットを見せようとするが見つからず、ジュリアの荷物も見つからなかった。
パニックに陥ったカイルは機長室に駆け込もうとするが、そんなカイルが機内の安全を脅かしていると航空保安官のカーソンは止める。

デヴィッドは1週間前にアパートの屋上から転落して亡くなっており、以来カイルは精神安定剤を服用していた。
カイルが主張するジュリアの証拠はクマのぬいぐるみだけであり、話を聞いた機長もジュリアは実在しないのではと内心思っていた。
しかしカイルの懸命な説得に折れ、乗客を全員着席させ、機内中をくまなく捜索することにする

カイルは機内を懸命に捜索するがジュリアの姿はなく、その代わりにどこかで見覚えのあるアラブ人の男がいるのに気がつく。
カイルは貨物室の捜索を貴重に願い出るが、乗客の安全を優先する機長はそれを許可しない。
カイルは先ほど見かけたアラブ人の男が昨日窓越しにジュリアの部屋を見ていたたことを思い出し、客席に戻って詰問する。
アラブ人の男は無関係を訴えるが、カイルが掴み掛かったためカーソンが止める。
カイルはジュリアがアラブ人の男に誘拐されたと思い込んでいたが、現実的ではないとカーソンは説得する。
カイルはアラブ人の男はハイジャックで、娘は人質、アテンダントもハイジャックとグルでジュリアの搭乗記録を削除したとまで言い始めたため、カーソンも愛想を尽かしてしまう。

その時ベルトサインが消え、機長がジュリアの捜索を打ち切ったことがわかる。
カイルが機長を問い詰めるが、機長はカイルにジュリアがデヴィットと一緒に亡くなっていたことがわかったと伝える。
カイルはその時ジュリアは公園に行っており、亡くなってなどいないと主張するが、その言葉を信じる者はいない。
パニックを起こしたカイルをアラブ人の男が捕まえ、カイルは気を失う。

逮捕されるカイル

カーソンに手錠をかけられたカイルが客席で眼を覚ますと、近くの席にいたセラピストが話しかけてくる。
昨夜カイルは亡くなったはずのデヴィットと街を歩き、ジュリアを寝かしつけたというが、セラピストはそれは自身の気を休めるための妄想で、現実を受け入れなくてはならないと諭す。

しかし飛行機の窓にはジュリアが離陸前に書いていたハートマークが残っており、それを見たカイルはトイレに行くふりをしてカーソンに手錠を外させる。
カイルはトイレの天井から機械室に出ると、全ての客席の酸素マスクを誤作動で出させ、さらに機内を停電させる。
客席がパニックになっている隙にカイルは貨物室に忍び込み、ジュリアの姿を探す。
そして夫の棺を見つけたカイルは棺の鍵を開けるが、そこにジュリアの姿はなくデヴィットの遺体があるだけだった。
そこにカーソンが現れ、カイルが手に負えないため飛行機は緊急着陸することになったという。

カイルはジュリアの棺がないことに疑問を感じていたが、カーソンは相手にしない。
カイルを連行するカーソンには乗客たちから拍手が贈られる。

一人でも探し出す!

着陸までの間、カーソンはカイルを座らせておこうとするが、その間もカイルは懸命にジュリアの捜索を訴える。
そんなカイルをアテンダントに任せ、カーソンは一人貨物室に忍び込む。
貨物室内でデヴィッドの棺を見つけたカーソンは、棺の内綿から爆弾を取り出し、機首の機械室で気を失っているジュリアのそばにセットする。

カーソンはカイルが飛行機に爆弾を仕掛け、身代金と小型ジェットを要求していると機長に伝える。
実はカイルの様子を見ていたアテンダントはカーソンとグルで、カイルが真相を見破りそうになっていることに恐怖を覚えていた。

飛行機は緊急着陸し、全ての乗客が機を降ろされる。飛行機の周りにはFBIが包囲しており、飛行機を降りようとしたカーソンをカイルが引き止める。
飛行機のスタッフも降り、機内に残るのがカイルとカーソンだけになった途端、カイルはカーソンを消火器で襲い気絶させる。
カイルはその間に起爆装置を奪うが、そこにカーソンとグルのアテンダントが現れる。
カイルはそのアテンダントが捜索を担当していた機械室にジュリアはいると確信する。

目を覚ましたカーソンは隠し持っていた銃でカイルを追い、そこでカーソンよりデヴィッドは棺に隠した起爆装置を機内に運び込むために殺されたことを知らさせる。
機内を熟知するカイルは機内を逃げ、グルのアテンダントに子供を殺す覚悟はあるのかと問いただした末、殴り倒す。

アテンダントはカーソンを機内に置いて一人脱出し、カイルはとうとう機械室の機首で眠っているジュリアを見つけることに成功する。
しかしジュリアの周りには爆弾が仕掛けられており、そこにカーソンが追いついてくる。
カイルはジュリアを抱いて機械室を脱出、爆弾を爆発させカーソンを倒す。カイルはジュリアと無事に機外に脱出し、機長をはじめとした機のスタッフがその姿を見届ける。

機長はカイルに謝罪し、グルだったアテンダントと、霊安所の責任者が逮捕される。
カイルはジュリアを抱きかかえ、乗客たちの称賛の眼差しに見守られながらその場を後にするのだった。

レビュー・考察

母は強し

愛する娘は存在しないのか?誰もがその存在を否定する中、母だけは決して忘れることはなかった。

本作の面白さはここに尽きる。

娘などはじめから乗っていなかった、死亡を証明する書類もある。
夫を亡くし精神が不安定な時、周りの全ての人に言われ続けたらどうなるだろうか?
娘の存在を訴え続けて誰に相手にされず、頭のおかしい人扱い。
弱っている心は、でっち上げの既成事実に屈してしまうかもしれない。

カイルも心が折れそうになっていたが、ジュリアが残したハートマークでその存在を確信。(窓の曇りに描いたハートマークがなぜ残っていたかという疑問はあるが…)
これでカイルは誰にも信じてもらえなくても、一人でジュリアを探し出すという覚悟を決める。
機内を停電させパニックに陥れたあたりの視聴者からのヘイトの集めがうまい。
しかし最後には本当に誰の力も借りずに一人で真相に行き着き、ジュリアを見つけて、黒幕を倒してしまう。
こういう強さを持った女性像はさすがだよなぁというカタルシスに繋がっていく。

一人娘を必死に探す鬼気迫るジョディ・フォスターの名演と、めんどくさそうな乗客やスタッフの対応が実に対照的。

ちなみに字幕ではママの名前が全く出てこないが、スタッフロールにはカイルと記載されている。

ジュリア誘拐とハイジャックの手順

・カイルが眠っている隙に、カーソンがジュリアをカートに押し込め機械室に閉じ込める(周りの無関心な乗客は全く気が付かない)。

・機長の指示でジュリアの捜索が始まるが、機械室の捜索は目つきの悪いグルのアテンダントが担当したため当然見つからない。

・目つきの悪いアテンダントがジュリアの乗客記録がないと機長に報告する。

・さらに目つきの悪いアテンダントはジュリアはデヴィッドと死亡していた事が分かったと機長に報告する。

・これによりカイルは頭がおかしいという風潮が決定的になり、誰もカイルの話を信じなくなる。

・カーソンはカイルを拘束し、ハイジャックの罪をなすりつける。

・棺には機内持ち込みのX線検査が不要であることを利用して、予め棺には爆弾が仕込んである。(パニックに陥ったカイルが棺の暗証番号を開けたため、カーソンは爆弾を取り出すことができたこ、カイルが棺を開けなかったらどうする気だったのだろうか??)
なお、霊安所の責任者がラストで逮捕されたのは、この棺の作成に関与したからだと思われる。

・カイルは目つきの悪いアテンダントが緊急着陸後も機内に残っているのを見て、このアテンダントが捜索していた機械室にジュリアは居ると気がつく。

結果として、カイルは真相に早々と行き着いていたのだ。
妄想として相手にされなかったが、それを話した相手が犯人その人だったのは不幸でしかない。
そりゃあ目つきの悪いアテンダントも恐怖しますわ。

ちなみに機内で見つけたクマのぬいぐるみはジュリアのものではなく、他人の同じぬいぐるみだったと思われる。
機内でぬいぐるみを見つけたカイルが自席に戻るが、そこにぬいぐるみはなかった。

なぜジュリアを攫う必要があったのか?

ハイジャックの罪をカイルに押し付けるため。
カイルは飛行機エンジンのエンジニアで、飛行機の機内構造に熟知していたため、機械室に爆弾を仕掛けたという筋書きが現実的だった。(事実カイルは単独で爆弾の仕掛けられた機械室にたどり着いている。)

しかしそれだけでは弱い。
もっと混乱を作り出し、疑いの目が全てカイルに向くようにしなくてはならない。
そのためにジュリアを誘拐し、カイルに大騒ぎをさせ、信用ならない頭のおかしい女のイメージを作り上げることで、「あいつなら何をやってもおかしくない」という印象を与えることが目的だったと思われる。

よく考えればカイルが大金を要求する動機がよくわからないし、不自然な点も多いのだが、カーソンとしては着陸までのわずかな間、カイルがハイジャックを企んだと思い込ませれば成功なのだ

なぜならカイルはカーソンに射殺され、ジュリアは爆弾で本当にいなくなる計画だったのだから。

無責任な他人

カーソンも指摘していたように、乗客たちはいい加減で他人事、無関心である。

ジュリアが攫われたことに全く気が付かないのに、後になってジュリアを見かけただの言い出す始末。
機内でカイルに向けられたのは「射殺されればよかったのに」という心ない言葉だったが、ジュリアを連れて生還したカイルに向けられた言葉は「なんて立派な母親だ」である。
これにはシニカルな笑いしか浮かばない。

そう、いつも大衆は雰囲気に流されるだけで真実になど興味はない。
真相なんて何でも良いから早くこの騒ぎを終わらせてくれという感じである。
だからカーソンが作り上げた杜撰なシナリオをホイホイ信じてしまう。

そんな大衆に向けたメッセージこそが、この映画の本質ではないだろうか?

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