2017年のスペイン映画
主演者はマリオ・カサス, アナ・ワヘネル, ホセ・コロナド, バルバラ・レニー
証明できない真実の提示で、密室殺人の容疑を晴らそうとするサスペンス
こんな人にオススメ!
・複雑な謎解きが好き
・意外性のある展開が楽しみ
・隠し事のある人
「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」が5分でわかる!
あらすじ
隠蔽
愛人殺害の容疑で仮保釈中の実業家ドリアを、老婦人の敏腕弁護士グッドマンが訪ねる。
グッドマンは事件の新たな証人が現れたため、緊急で対策が必要だという。
ドリアは何者かに脅迫され、呼び出されたホテルで何者かに襲われ気を失っている間に、愛人のローラが殺されたため逮捕されていた。
警察の調べによると室内は密室で、誰も部屋からは出ていなかったという。
何かを隠している様子のドリアにグッドマンは苛立っており、無傷の勝利はあり得ないと忠告し真実を話すように促す。
実はドリアは3ヶ月前ローラと不倫旅行をしていたとき、林道で飛び出してきた鹿に驚き、交通事故を起こしていた。
ドリアとローラは無事だったが、対向車の運転手ダニエルには意識がなく、ドリアは警察に通報しようとするが、事態を隠そうとしたローラが止める。
その時、事故現場に一台の車が通りかかる。
ローラは芝居をうち、ローラがドリアと事故を起こしたことにしてやり過ごす。
ローラはダニエルを彼の車のトランクに隠し、その車をドリアが運転し山深い湖の中に沈めていた。
ドリアが車を湖に沈めに行っている間、ローラはここまで運転してきた車を修理するためレッカー車を待っていた。
そこに元整備士の男が運転する車が通りかかり、車を修理すると言う。
男の自宅ではその妻が待っており、ローラは妻と話すうちに、この夫婦の息子が実はダニエルであったことに気がつく。
夫婦はダニエルがいつまで経っても帰ってこないことを不審に感じ、ダニエルのスマホに電話をする。
ダニエルのスマホは事故時にローラが持ち去っていたため、スマホはローラの手元で鳴り始める。
ローラは咄嗟にスマホを隠すが、ダニエルのスマホがなぜ自宅にあるのか夫妻が不審に感じ始めたため、ローラは急いで夫婦の家を出ていく。
その後ローラは車を沈めてきたドリアと合流し街に戻り、別れを告げてお互い生活に戻る。
その頃、テレビでは行方不明になったダニエルの捜索が始まったことが報道され始めていた。
ドリアの会社はアジア進出をかけた大事な時期で、ドリアも仕事に打ち込んでいたが、そこにダニエル失踪の件で警察が尋ねてくる。
警察はローラが誰かと共謀して嘘をついていると考えており、ローラが運転していた車のナンバーから、その持ち主であるドリアにも容疑がかかったのだった。
ドリアは車は盗まれたと説明し、警察も証拠不十分だったためその場は引き下がる。
ドリアは弁護士に相談し、警察がドリアのアリバイが確認したためドリアへの捜査は終わる。
偽装
この頃にはダニエルが勤務先の銀行の金を横領し、事故を装って逃亡していると報道されていた。
しかしこの横領事件は実はローラが仕組んだもので、事故現場で盗んだ財布に入っていた銀行のIDカードを使って、同じ銀行に勤めるローラの夫の権限を使い横領を偽装していた。
ドリアの仕事は成功を極めており、起業家として表彰されるまでになっていたが、そのパーティの日にダニエルの父がドリアに会いに来る。
ダニエルの父はローラの車を修理した時に違和感を感じており、その車の持ち主で唯一の手がかりであるドリアを追い続けていた。
ダニエルの父は事故の真相に自力で辿り着いており、車を沈めた場所を教えるようドリアを問い詰めるが、騒ぎを聞きつけて現れた警察に連行される。
その後、ドリアの元にダニエルを名乗る何者かから郵便が届き、事件のことをバラすと脅迫される。
ドリアは脅迫者は最初に林道で通りかかった男だと考えていたが、グッドマンはその話に懐疑的だった。
脅迫者はローラと2人で金を持って山中のホテルにくるように指示し、その途中でローラのスマホを捨てさせる。
ドリアが現金を持ってローラとホテルに入るが、ドリアのスマホに捨てたはずのローラのスマホから「全てを話す」というメッセージが届く。
その直後ドリアは何者かに襲われ意識を失い、ローラは何者かに殺される。
客室内は密室だったためドリアはローラ殺害の嫌疑をかけられ、その容疑を晴らすためドリアの弁護士がグッドマンを雇ったのだった。
グッドマンの推理
しかし一連のドリアを話には、ホテルの密室の謎が説明できずに残っていた。
脅迫者が指定したホテルは、ダニエルの母が勤めていたホテルだったため、グッドマンは脅迫者をダニエルの父にする抗弁を考えていた。
ダニエルの父は、ローラに捨てさせたスマホを自らが拾った後、ドリアが来る前に室内に潜み、ローラのスマホからドリアに「全てを話す」というメッセージを送ったのちドリアらを襲い、ダニエルの母の助けで窓から脱出したのだと言う。
その時、グッドマンの元に電話が入り、現れた新たな証人は最初に林道ですれ違った男であることが分かったと言う。
グッドマンはダニエル殺害の事件をローラの単独犯にすることで抗弁することを提案し、ダニエルの父がローラを殺害したことにするには、証拠としてダニエルの遺体が必要なので、車を沈めた場所を教えるように迫る。
ドリアは証人の男がドリアとローラと一緒にいたことを証言するのでローラの単独犯にすることは不可能だというが、新たな証人の件はグッドマンが真実を話させるためについた嘘で、実は新たな証人などいないと言う。
グッドマンの嘘を聞いたドリアは、実はダニエルの父がローラ殺害の犯人であることはわかっており、そのことを隠していたのはグッドマンが密室の解けるか試したかったからだと言う。
ドリアはダニエルを沈めた場所をグッドマンに伝え、さらにダニエルを沈めるとき、実はダニエルが意識を取り戻していたことを明かす。
ドリアはダニエルが生きていたのを知っていながらそのまま車を湖に沈めており、グッドマンはドリアを殺人者となじる。
真相
さらにグッドマンは、この事件の役割がドリアとローラ逆だったら全て説明が付くとドリアを問い詰める。
事故の直後、通報するのを止めたのはローラではなくドリアで、ドリアが主導してダニエルを隠すことに、ダニエルの横領を偽装したのもドリアの指示ではないかと主張する。
ローラは事故の直後からパニック発作を起こすようになったことが、医療記録よりわかっており、その精神の脆さが不自然だとグッドマンは感じていたのだ。
罪の意識に苛まれたローラはダニエルの父母に真実を話し、脅迫を仕組むことで真実を明かしてドリアと自主し、脅迫により得たドリアの金をダニエル夫妻に渡そうとしてドリアに殺されたと、グッドマンは主張する。
真実を知ったダニエルの父母がドリアを通報しなかったのは、湖に沈めた遺体が見るからなければ証拠不十分で逃げ切られると判断したからで、ダニエルの父母はそれ以来、ドリアを尾行し見張り続け、警察に代わってドリアの罪を裁こうとしてたのだ。
グッドマンはこの事態を解決するには自らの力が必要だと迫り、ドリアはローラの殺害を認める。
グッドマンの正体
グッドマンが休憩のため部屋を出て行った時、ドリアの弁護士から電話が入る。
弁護士は新たな証言者が見つかり無罪を証明できると話していたが、その電話に異常な電波が入っていることに気がつく。
ドリアはこれまでの話でグッドマンがいろんな話を知りすぎていたこと、事件のことを明かせばドリア終わりだと語っていたこと、ダニエルの父母は演劇仲間でったことを思い出し、グッドマンが置いていったペンを分解すると発信機が入っていた。
グッドマンはダニエルの父と会い、ダニエルを沈めた場所を伝える。
実はグッドマンはダニエルの母の変装で、その直後本物のグッドマンがドリアを元を訪れて来るのだった。
レビュー・あらすじ
いわゆる信頼できない語り手の映画。
ドリアの嘘とグッドマンのシナリオが交錯し、視聴者が容易に真実に達することができないようになっている。
ドリアの主張
ローラが主導し事故を隠蔽した。
ローラはダニエルを車ごと沈めたことを隠蔽するため、勝手に横領事件を仕組んで、ダニエルが失踪したように見せかけた。
ダニエルを沈めた現場を、最初に事故現場を通りがかった男に見られており、金目的で脅迫された。
そしてホテルで襲われ、ドリアは気を失い、ローラは死亡した。
ドリアはグッドマンを試すためだったとこの主張を自ら覆し、脅迫者はダニエルの父だったと語っている。
グッドマンが提案してきた都合の良いストーリーに乗っかった形である。
グッドマンのシナリオ
脅迫者はダニエルの父、ホテルに勤めていたダニエルの母と協力し密室を作り上げ、ドリアを襲ってローラを殺した。
ダニエルは世間的には失踪したことになっていたので、ダニエルの父がローラを殺す動機がない。
動機を説明するにはダニエルが失踪ではなく死亡している証拠を提示する必要があるので、ドリアからダニエルを沈めた場所を聞き出し、ドリアがダニエル殺害の罪は負うものの、ローラ殺害の容疑を晴らそうとしていた。
グッドマンの仕事は、なるべくドリアの罪の少ないシナリオを考え、裁判で検察に抗弁することなので、ドリアにとっては納得のいく話だっただろう。
このシナリオは真実である必要はなく、証明できない真実すなわち悪魔の証明で良いので、グッドマンはさまざまなシナリオを考えている。
だがグッドマンに扮したダニエルの母の真の目的は、ドリアからダニエルを沈めた場所を聞き出すことだった。
さらにダニエルの件もローラの単独犯とする提案をし、ダニエル殺害の件も減刑できる可能性を示すことで、ドリアに場所を吐くよう促している。
この策は成功し、ドリアはダニエルを沈めた場所を話し、それを聞いたグッドマン(=ダニエルの母)は、窓辺から通りの向かいにいるダニエルの父を見つめている。
横領の容疑までかけられたダニエルが沈められる時、実は生きていたという話を聞いた時、いったいどんな気持ちだったのだろうか…。
ちなみにダニエルの父母はドリアを監視しており、グッドマンに依頼するとがわかっていたため、グッドマンになりすますことができた。
映画冒頭の新たな証言者など実はおらず、ドリアに吐かせるための嘘だった。
本作もう嘘だらけである。
事件の真実
ドリアが主導し事故を隠蔽。
ドリアの指示で、ローラに横領事件を仕組ませ、ダニエルが自ら失踪したように見せかけた。
ローラは罪の意識に苛まれパニック発作を発症、脅迫劇を仕組み、全てを明かそうとしていたが、ドリアにより殺害される。
ドリアが犯人なので、密室でもなんでもなく、自作自演で襲われたフリをしただけだった。
なんのことはない、最初から全てダニエルの母であるグッドマンは全てをローラから聞いて知っていたのである。
それでも、わざわざグッドマンになりすましドリアと接触したのは、ダニエルを沈めた場所はドリアしか知らないからである。
ダニエルの父母はどうしてもダニエルをちゃんと葬りたかったのである。