【華やかな舞台の裏で…】映画「ラストナイト・イン・ソーホー」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2021年イギリスのホラーサスペンス
主演者はトーマシン・マッケンジー, アニャ・テイラー=ジョイ, マット・スミス

こんな人にオススメ!
・女優に憧れている
・華やかな世界が好き
・華やかな世界の裏側を知りたい

映画「ラストナイト・イン・ソーホー」が5分でわかる!

あらすじ

憧れのロンドンへ

イギリスの田舎育ちのエリーは、ロンドンの美大の服飾科に合格する。
エリーの母はロンドンで自殺しており、同居するエリーの祖母は彼女のロンドン行きを心配していた。
実はエリーには人には見えないものを見る能力があり、この日も時折いないはずの母の姿が見えていた。

ロンドンの学生寮では、ルームメイトのジョカスタが女子寮の仲間たちと飲みに行くのにエリーを誘う。
しかし派手な性格のジョカスタはエリーとウマが合わず、その夜よく眠れなかったエリーは授業にも遅刻しそうになってしまう。

学生寮を出ることにしたエリーは、学校で見つめた貸部屋の案内を見て、大家のコリンズという老婆を訪ねる。
貸部屋はその家の屋根裏部屋だったが、その風景はエリーが憧れる60年代ロンドンの風景そのものだったためエリーは気に入り部屋を借りることにする。

エリーとサンディ

その夜、エリーは屋根裏部屋のベッドで眠りに落ちるが、いつの間にか60年代ロンドンの歓楽街ソーホーにおり、サンディという女性になっていた。

サンディは歌手で女優を目指しており、その業界に詳しいジャックという男と出会うところだった。
サンディはジャックに送られ帰宅するが、その家はまさにエリーが借りたこの部屋だった。

次の夜、眠りついたエリーは再びサンディになっていた。
ジャックはサンディに歌のオーディションを受けさせ、ジャックはサンディのマネージャー兼恋人となる。

それからというもの、エリーは髪を金髪に染め、サンディのようなファッションをするようになる。
その代金を支払うためエリーはパブでバイトを始めるが、ある老人がエリーをじっと見つめていた。

欲望渦巻く絶望の世界

その夜エリーが見たのは、サンディがストリップでダンサーをしている光景だった。
サンディはジャックに男と飲みに行くことを求められており、サンディはその場から逃げ出してしまう。
サンディが憧れた世界は欲望の渦巻く澱んだ業界で、サンディの理想は打ち砕かれてしまう。

このことはエリーのファッションにも影響を及ぼし、エリーは授業で作った60年代デザインのドレスを引き裂いてしまう。
その様子を見たクラスメイトのジョンは、エリーが働くパブを訪ね、エリーに協力してくれるようになる。
パブにはあの老人がまた来ており、この界隈の女の子のことをよく知っていると話していた。

その夜のサンディは、ジャックに無理やり社交場に連れて行かれ、次々といろんな男と飲まされていたが、その客の1人にこんな店からは早く足を洗うように言われていた。

エリーはジョンの誘いでハロウィンパーティに出かけるが、そこでサンディの幻影を見て逃げ出してしまう。
サンディはジョンを自宅に誘うが、ベッドで見たのはジャックがサンディを滅多刺しにする光景だった。

老人の正体

エリーは学校でもサンディや60年代の男たち、そしてジャックの幻影を見るようになり、逃げ出すように警察署に駆け込む。
エリーはサンディが殺されたことを警察に話すが、警官はエリーの話をまともに取り合わず、頭がおかしいと思っていた。
しかしある女性警官だけは情報があれば何かわかるかもと、エリーの話に耳を傾けてくれた。

エリーは図書館でジョンと女性失踪の新聞記事を読み漁っていたが、サンディの記事は見つからず、同時期に何もの男が姿を消していたことがわかる。
しかしそこにも60年代の男たちの幻影が迫ってきたためエリーは逃げ出す。
エリーは幻影を倒そうとハサミを振りかざすが、目の間にいたのはジョカスタで、あわやというところでジョンが止める。

そのまま図書館を飛び出したエリーは、サンディの幻影を見て追いかけるが、気がつくとサンディの幻影は消えパブの老人が目の前にいた。
エリーはこの老人こそがジャックであると考えていたためサンディのことを尋ねるが、老人はサンディはアレクサンドラに殺されたのだと言う。
エリーはパブを去ろうとする老人を追いかけるが、老人は店を出たところで車に轢かれ、この老人がジャックではなく風俗を取り締まっていた元警官であることがわかる。

事件の真相

ロンドンが怖くなったエリーは、この街を逃げ出すためジョンと自宅に向かう。
家に帰ると大家のコリンズがエリーの通報で警察が来たことを話し、この家で起こった殺人事件について聞かれたという。
コリンズはこの家でサンディが亡くなったことは、ある意味で本当であると語り、女優としてサンディは確かに亡くなったという。

実はサンディは死んでおらず、かつて屋根裏部屋で起きた事件は、サンディがジャックを殺したものだった。
そしてコリンズの若き日こそがサンディで、屋根裏部屋に上がり込んだ男を次々に殺害し、その死体を床や壁に隠していたのだ。

全てを話し終えるとコリンズはエリーを自殺に見せかけ殺そうとするが、そこに様子がおかしいことに気がついたジョンが現れる。
コリンズはジョンをナイフで刺し、エリーを屋根裏部屋に追い詰めるが、そこにはサンディに殺された大勢の男たちの亡霊がいた。

亡霊たちの姿はコリンズにも見えており、ジャックの亡霊の姿を見たコリンズは自殺しようとする。
エリーはコリンズの自殺を止めるが、コリンズに刑務所で生きる気はなく、エリーにジョンを連れて逃げるように言う。
火災が起き家は炎に包まれていたが、その中でエリーが別れを告げた相手はコリンズではなく、まさしくサンディだった。

後日、エリーはファッションショーで60年代ファンションで受賞する。
祝福に包まれた中、鏡を覗くとそこには母親だけでなくサンディの姿も映っていた。

レビュー・考察

芸能界に憧れる女性の絶望を描いたサスペンス。

60年代ロンドンへの憧れと追悼

エリーには人には見えないものを見る能力がある。
その能力でサンディを通し60年代ロンドンの闇を知ってしまう。
それで一度は作成中の60年代ファッションを壊してしまった。
しかし事の真相を全て知り、最後にはきっちり完成させコンテストで受賞するに至る。

この心境の変化を推察するに、これはおそらく追悼だったのではないだろうか?
憧れていた60年代ロンドンはロクでもないところだった。
エリーは同じようにロンドンに憧れたサンディの無念の生涯と最期を見届けた者となった。
そんなエリーはサンディ風の60年代ファッションを今に甦らせることで、サンディを弔いたかったのではないだろうか。
ラストでサンディが出てくるのは、エリーへの礼だったのかもしれない。
おそらくエリーが60年代ファッションを作るのは、これが最初で最後になるのだろう。

巧みなミスリード

映画の軸は、エリーが見たジャックによるサンディ殺人事件。
確信犯的にミスリードが用意されており、エリーがパブで出会う老人こそが今のジャックであると誰もが思うように巧みに仕向けられている。

実はこの老人はジャックではなく、風俗取締りをしていたリンジーという警官で、かつてサンディにこの業界から足を洗うよう勧めていた人物だった。
リンジーがエリーに話しかけたのは、エリーがイメチェンでサンディと同じファッションになっていたためだった。
おそらくサンディを救えなかったことに後悔が残っていたのだろう。

話題性に比べるとちょっと残念な印象

エリーとサンディが入れ替わる映像美術は美しい。
しかし個人的にはストーリーとしては少し強引なところが目立ち、あまり入り込めなかった映画という印象。
特に元警官リンジーの退場は、いきなり車が突っ込んでくるという雑な感じになっている。

話題作だったが、アニャ・テイラー・ジョイの知名度に頼った感が、否めなかった。
芸能界とかに憧れのある女性だとまた見方が変わるのかもしれない。

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