【絶望と悪意のはざまで】映画「グラウンドブレイク」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2016年のアルメニア・ロシア映画
主演者はコンスタンチン・ラヴロネンコ, ヴィクター・ステパニヤン, タイトフ・オーヴァキミヤ
1988年に起きたアルメニア大震災を描いたドラマ映画

こんな人にオススメ!
・地震の怖さを知りたい
・地震に便乗する人間の悪意を知りたい
・災害対策を見直したい

映画「グラウンドブレイク」が5分でわかる!【ネタバレあり】

あらすじ

・アルメニア大震災

8年前、自動車事故で両親を亡くした青年ローベルト。
この日は事故を起こした当事者が8年ぶりに出所してくる日で、ローベルトはその人物に会いに行こうとしていた。

しかし午前11時41分、アルメニア北部の都市スピタクを震源地とした大地震が起き、あらゆる建物が次々と崩れ去る。
この日家族と会うため飛行機で戻ってきたベレズノイは、機内からその様子を見て唖然とする。

バルージは妊婦の妻ガネヤと義父エレムのマンションを訪ねていたが、突然起きた大地震に慌ててマンションを脱出する。
しかしバルージは、マンション内に子供が取り残された母親を見かけ、崩れる建物内に戻って子供を救助する。
しかし子供を助けたところで階段は崩落、やむなく子供を窓から投げ、バルージは崩れるマンションと運命を共にした。

男の子のワーニャは、8年ぶりに帰ってくる父のため、母と出かけた市場で震災に巻き込まれた。
母は腹部に金属片が刺さる大怪我をしていたが、ワーニャは無事だったので自宅の様子を見にいかせる。

・1日目:ままならい救助

廃墟となった街で、ローベルトはリリットという女性が瓦礫に閉じ込められているのを見つける。
ローベルトは通りがかったトラックに助けを求めるが、トラックは怪我人を運んでいる途中だったので断られる。
しかしそこに居合わせたベレズノイは、病院に怪我人を送ったら戻ってくるようトラックのドライバーに指示する。

自宅を探していたワーニャだったが、街は瓦礫だらけでどこのが自宅か全くわからなかった。
姉カーチャの姿も見当たらず、ワーニャは負傷した母と自宅を探しに行くことにする。

ローベルトとベレズノイは、トラックで被災者キャンプに怪我人を届け、リリットが埋まっている現場に戻る。
ローベルトは早速トラックで瓦礫を片付けようとするが、いま瓦礫をどかすとリリットは瓦礫の下敷きになるとベレズノイが止める。
ベレズノイが言うにはリリットを助けるにはもう一台クレーン車が必要だと言う。

夜になり、絶望的な状況の中、妊婦のガネヤが破水し被災者キャンプに運び込まれる。

・二日目:明らかになる被害

二日目、自宅周囲の瓦礫を掘り起こしていたベレズノイは、娘カーチャの縦笛を見つける。

瓦礫越しにお互いの身の上を語り合ったローベルトとリリットは、お互い両親を幼い時に亡くしており、はとこに育てられたローベルトと兄に育てられたリリットは似た身の上に親近感を抱く。

ローベルトは救助活動を続けていたが、そこに通りかかったはとこのセニックと偶然出会う。
しかしセニックとその仲間は高級な装飾品をしており、火事場泥棒をしているのは明らかだった。
ローベルトはセニックに誘われるが、仲間になるのを断る。

そしてローベルトは、瓦礫の下からベレズノイの娘カーチャの遺体を見つける。
ベレズノイはワーニャの父親で、家族の生存を絶望するのをローベルトが励ます。
しかしローベルトは、ベレズノイのネックレスで彼が両親の事故に関わった人物であることに気がつく。

ワーニャは被災者キャンプで食料の配給を受けていたが、母に食料を持って行っても母の目が開くことはなかった。

ガネヤの父エレムは義理の息子バルージを嫌っていたが、バルージが自身の命と引き換えに、子供を助けたことを知る。
エレムはバルージの亡骸に謝罪し、彼を立派な父親と認め彼のために墓を立てることを約束する。
無事出産した娘のガネヤと生きて会うことができたエレムはバルージを失った悲しみを分かち合う。

その夜も仲間と火事場泥棒をしていたセニックだったが、通りがかった軍人に見つかってしまう。
見張りをしていた部下は、軍人を殺しローベルトのトラックを奪って逃走することを企てる。

・三日目:かすかな希望

三日目、ボランティアの男が他の町からクレーン車に乗って現れる。
ローベルトとベレズノイはトラックとクレーンを巧みに操作し、リリットを助けようとする。
瓦礫は少しづつ上がり、あと一歩でリリットを助け出せそうだというときに、セニックらが現れトラックのドライバーに銃を突きつける。

ローベルトは隠し持っていた銃をセニックの部下に突きつけるが、部下の男は逆にナイフをちらつかせる。
ベレズノイはセニックらを背後から襲って倒すが、その時ベレズノイは腹部をナイフで刺されてしまう。
ローベルトはリリットの救助に成功するが、ベレズノイはナイフの傷が元で息絶える。
ベレズノイに彼の家族をローベルトに託し、ローベルトはワーニャと出会う。

四日目、エレムの妻が瓦礫の下から救助される。
エレム夫妻は娘ガネヤが産んだ男児を抱きしめ生還を喜び合う。

それから被災地に軍隊も入ってくるようになり、復興は次第に進んでいった。
この大震災は死傷者約4万4千人を出した凄惨な災害だったが、各国の支援もあり震災孤児たちは無事里親たちに引き取られた。

レビュー・考察

実は実話シーズ。

1988年12月7日アルメニア共和国の都市スピタクで起きた大地震を扱ったドラマ映画。
この地震は死者2万5000人以上、負傷者は約1万9000人に上り、 スピタク付近では高層建築物はほとんど倒壊、40万人を超える人が家を失ったという。

この映画は、そんな未曾有の震災に巻き込まれたいろんな人々を描く群像劇である。

ローベルトとベレズノイ

中心となるのは幼い時、自動車事故で両親を失くした青年ローベルトとこの自動車事故を起こしたベレズノイ。

それから8年間ベレズノイが服役し戻ってきたその日に大震災に巻き込まれた。
ベレズノイには妻と娘カーチャ、息子ワーニャがいたが、震災でカーチャが死亡。
妻とワーニャは外出していて生き残ったが、母もその後怪我で亡くなってしまう。
ラストではベレズノイ自身も火事場泥棒に刺され、ローベルトに自身が両親の死に関わったことを明かして死亡する。

映画冒頭のシーンはローベルトが、出所してきたベレズノイに会いにいくところから始まるが、彼はベレズノイと会って何をしたかったのだろうか…?
運命の偶然からリリットを助けるため協力した2人だったが、その中でローベルトはベレズノイの素晴らしい人間性を知ってしまう。
そして震災で家族を全て失ったベレズノイの息子ワーニャのことを頼まれる。

家族を奪った男に、その男の遺児を託されたローベルトの心情やいかにというところだが、ワーニャと出会った時のローベルトの表情にそんな翳りは一切なかった。

バルージ・ガネヤ夫妻と義父エレム

エレムは娘ガネヤとバルージの結婚に反対だった。
バルージには妻子がいたのにガネヤを妊娠させたからだ。
しかしバルージの妻は不倫しており、それでバルージはガネヤと再婚した。

古い男であるガネヤはそんなバルージを嫌っていたが、彼が命をかけて他人の子供を助けたと聞いて手のひらをひっくり返す。
クソ野郎評価がいきなり立派な男になるあたりちょっと納得がいかない。

最後は生き埋めになっていた妻も助かり、ガネヤが震災の中で産んだ男の子を手にしてホクホク笑顔。
なんかスッキリしない一家だった。

リリット

兄と2人で暮らす美女。
男に求婚され続けており、大理石のテーブルをプレゼントされていた。
リリットはそれを気に入っていなかったが、震災時は頑丈なそのテーブルのおかげで一命を取り留めることができた。
テーブルをプレゼントした男は震災で生き残り、死体を馬車で運び続けていた。

震災後リリットを探そうとせず、救助されたリリットがテーブルのお礼を言いに行っても相手にしなかったあたり、なんかもうどうでも良くなったのだろう。
なんとなく性格の悪い美女という感じのする人物。
ローベルトが彼女につかまらないことを祈る。

セニックたち

セニックはローベルトのはとこ。
ローベルトが両親を失ってからは一緒に育った。

しかしセニックは仲間を引き連れ火事場泥棒をしていた。
結局アホな部下を御しきれずに失敗、震災後は軍に逮捕された。
災害系パニックムービーだと、みんな映画版ジャイアンみたいになりがちだけど、こういう人がいるのが現実。
みなさんの災害対策は本当に十分かな?

地震国の住人として

石造りの街並みが自身で崩壊していく様は圧巻。
地震が起きた時、誰もがパニックを起こして外に飛び出すのが印象的だった。

日本ならまず机の下に隠れろ!
となるけど、これも地震国の訓練の賜物なんだなと思わずにはいられなかった。

終始絶望的な状況の中で、最後には新たな命が芽生えてエンド!
震災孤児たちも各国の協力のおかげで無事に新たな家族に引き取られた!

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