自身の罪を知るまで繰り返す地獄のループ
2014年製作のカナダ映画
出演者はデイビット・リッチ、モンド・ペック
妻を殺してしまった男が、その瞬間をループするスリラー
こんな人にオススメ!
・ループものが好き
・工夫を凝らしたストーリーが好き
・死後の世界に興味がある
プライムビデオ「残酷で異常」が5分でわかる!【ネタバレあり】
あらすじ
エドガーは妻メイロンを懸命に蘇生させようとしていたが、やがてエドガーも力尽きて倒れる。
1周目
エドガーが気がつくとメイロンとパーティから帰る途中で、メイロンの連れ子ゴーガンが同級生に暴力を振るったと連絡をうける。
自宅に戻ったエドガーは、ゴーガンにやらせるはずだった芝刈りをしているとゴーガンが帰ってくる。
ゴーガンはエドガーが買い与えた自転車をなくしており、そのことに怒ったエドガーはゴーガンを親戚に預けると言い出す。
その場から逃げたゴーガンをメイロンは追いかけたが、ゴーガンには追いつけなかったという。
その夜、夕食を食べた後体調が悪くなったエドガーが寝室へのドアをくぐると見知らぬ廊下に出る。
廊下をさまよい1つの部屋に入ると、テレビに映った老婆が司会をする集会が行われていた。
自身の罪を告白する集会らしく、若者が両親を害したことを涙を目にして語っていた。
老婆はエドガーにも罪の告白を求めるが、エドガーは自身には告白すべき罪がないという。
その言葉を聞いた老婆はエドガーに別室へ行くように指示する。
別室にはテレビに映った男性がおり、男はエドガーがメイロンを殺し、エドガー自身もその直後に死んだと告げる。
困惑するエドガーが部屋から出ると、そこはエドガーが行こうとしていた寝室だった。
寝室で血を吐いたエドガーは、メイロンに介抱されるがメイロンが呼んだ救急車はなかなか来ない。
エドガーが救急に電話をしようと、メイロンに電話を渡すようにいうが、なぜかメイロンはトイレに逃げてしまう。
メイロンを追いかけたエドガーは、誤ってメイロンを絞め殺してしまい、その直後自身も血を吐いて倒れる。
2周目
エドガーが気がつくと、再びパーティから帰る車の中で、メイロンになぜ電話を渡さなかったと責めるが話が通じない。
同じような日常を繰り返すエドガーは、倉庫で洗剤がなくなっていることに気がつく。
夕食を食べた直後、血を吐いたことを思い出したエドガーが台所を漁るとなくなった洗剤が見つかり、ゴミ箱からは睡眠薬が見つかった。
夕食を食べまいとするエドガーだったが、気がつくと食べており、食べる運命から逃れられない。
夕食を吐き出しているところにエドガーの兄が訪ねてくる。
兄との会話を終え、エドガーが家に入るドアをくぐるとそこはまたあの廊下だった。
3周目
エドガーは再び集会に参加し、自殺したため疎外されていたドリスという女性と出会う。
そしてまた集会が始まり、エドガーは自身が妻に毒殺された被害者であり、ここには妻が来るべきだと主張する。
しかしテレビの老婆は準備が足りないといいエドガーを着席させる。
そして集会が始まり、面々は自身の罪を語りはじめる。
集会が終わるとそれぞれがまた罪の瞬間を繰り返し、また集会に戻ってくる。
脱走
すっかり集会が嫌になったエドガーは、ドリスの協力で逃げ出し、天井の点検口から外に出る。
出た先はエドガーが罪を犯した日で、ゴーガンがいじめられ、自転車を奪われている場面だった。
ゴーガンはそのまま家に帰り、エドガーに自転車をなくしたことを責められ、親戚に預けると言われたので家出したのだった。
集会に戻ったエドガーは、自分が家族を壊してしまったことを全員の前で告白し、罪を認める。
再び罪の日に戻る前エドガーは、ドリスを自分の罪の日に無理やり連れて行く。
エドガーとドリスが着いたのはエドガーが罪を犯した日の自宅だったが、ドリスが首を吊った庭とも繋がっていた。
再び罪を犯してしまう予感を感じたエドガーは、ドリスの代わりに庭で首を吊る。
その瞬間、ドリスが首を吊らなかった日がはじまり、ドリスは娘と抱き合って喜ぶのだった。
あたらしい世界
エドガーが自殺して一年後、メイロンと息子はエドガーが首を吊った庭に花を供えに訪れ、1人の老婆と出会う。
老婆は、エドガーが首を吊る直前にメイロンに書いた手紙の内容を知っており、ともにエドガーを弔う。
エドガー集会に参加し続けていたが、自殺した者として疎外されていた。
そしてまた自身の罪を告白するのだった。
レビュー・考察
罪の日と、その罪を告白する集会の無限ループもの。
司会者の老婆は、なぜかブラウン管の白黒テレビで登場。
ブラウン管でテレワークである。
進んでいるのか、遅れているのか…発想がぶっ飛んでいるのは確かなようだ。
さてこのブラウン管Web集会、なぜ自分が殺されねばならなかったのか?
エドガーが自分の罪をわかるまで永遠と続く。
誤って妻を手にかけたとはいえ、毒殺されたとなれば自分が絶対正しいと思い込んでも仕方がない。
それが故にエドガーは自分の罪にたどり着くまで、何度も罪の日をやり直すことになる。
ポイントは自分が殺した理由でなくて、自分が殺された理由を探ることだからだ。
自分は殺されるほど何をしたのか?これを理解するのはなかなかに難しい。
人は自分のしたことはすぐに忘れてしまうからね。
犯罪心理学では、「機会」「動機、プレッシャー」「正当化」の3つ揃うと犯罪が起こると言われており、これらをまとめて犯罪の三要素という。
懺悔集会の目的は、このうちの「正当化」が間違っていたことを思い知らさせることなんだな。
普通のループものって悲惨な未来を止めるためにループするけど、
自身を見つめなおす為にループするっていうのは新しい。
ちなみにラストで出てきた老婆は、エドガーのおかげで自殺しなかったドリスで、腕にある「EGO」の紋様が、集会でエドガーと出会っていることを示している。
集会では死んだ時の年齢で固定されるためドリスも若かったが、実はドリスが自殺したのは、エドガーが死ぬずっと前。
なので、メイロンと出会ったドリスは老婆だったという話。
邦題は変だし、ジャケットも変、人気俳優がいるわけでもない。
低予算で作成されているけど、ストーリーの面白さは抜群。
ループするたびに変わるエドガーの表情にぜひ注目して欲しい。