2009年のアメリカ映画
出演者はレニー・ゼルウィガー、ジョデル・フェルランド、イアン・マクシェーン、ブラッドレイ・クーパー
虐待児童を引き取った社会福祉士におこる怪奇現象を描いたサスペンスホラー
こんな人にオススメ!
・怖い子供が見たい
・犯罪には理由があると思う
・愛を独占したい
映画「ケース39」が5分でわかる!
あらすじ
・39件目の仕事
児童相談所では働くエミリーに39件目の仕事が入る。
その家庭では両親が娘リリーを虐待している疑いがあり、エミリーが家を訪ねると少女リリーとその母親に会うことができた。
父親が話し合いに出て来なかったので呼んでもらうが、父親はなぜか母親越しにしか話さず、さらにエミリーを睨みつけるなど変わった人物だった。
後日、リリーの一家がエミリーの職場を訪ね、エミリーの上司と直接話をする。
その間エミリーがリリーと2人で話をすると、リリーは両親が彼女を地獄に落とすと言ったと怯えていることがわかる。
しかしリリーは上司の前でそれを証言しなかったため、エミリーは上司にそれ以上の捜査を禁じられる。
そんな時エミリーの元にリリーから電話が入り、両親が捕まえにくると怯えていることを伝える。
両親は、眠ったリリーを無理矢理オーブンに入れ焼き殺そうとしていた。
エミリーは友人で警察のマイクと彼女の家に向かい、間一髪のところでリリーを助け出す。
両親は逮捕され裁判にかけられるが、精神疾患が疑われ精神鑑定をかけられる。
リリーは里親が見つかるまでの間、児童養護施設に入ることになるが、エミリーと暮らしたいと駄々をこねる。
エミリーは上司に相談し、正式な手続きを経ずに里親になれるよう働きかける。
リリーを引き取ったエミリーは、リリーの家に彼女の私物を取りに行く。
リリーの家にはおかしな箇所が何箇所もあり、両親の部屋は厳重に施錠され、両親がリリーは部屋に入れないようにしていたことがわかる。
・怪死事件
そんな時、リリーと同じ施設にいるディエゴという少年が、両親を殺害する事件が起こる。
ディエゴはエミリーにあった途端泣き崩れ、とても両親を殺害したとは思えなかった。
事件の夜、ディエゴの家にエミリーの家から電話がかかっていたことがわかり、マイクはリリーに事情を聞く。
リリーは電話をかけたことを否定したが、マイクはリリーが嘘をついていると疑っていた。
エミリーがディエゴに電話のことを聞くと突然過呼吸になり、目を覚ましたディエゴから改めて話を聞くと知らない男から電話があったという。
エミリーの児童養護施設で教員をしているダグは、リリーに恐怖に関するヒアリングを行う。
蜂が怖いとダグはリリーに話し、リリーは自分自身に恐怖を感じると話すが、リリーの少女らしからぬ態度にダグは恐怖を感じる。
その夜、ダグは家にかかってきた無言電話をとるが、その直後から耳に異常を感じるようになる。
その耳からは次々と蜂が出てきて、背中を覆い尽くすほどにになる。
そしてとうとう目鼻口のあらゆる穴から蜂が出てきてダグは死亡する。
・リリーの生い立ち
エミリーはリリーを疑っていたが、ダグの事件ではエミリーの家から電話の発信はされていなかった。
エミリーがリリーの両親の取り調べ映像を閲覧すると、リリーの両親は彼女を娘と思っておらず悪魔の化身だと思っているという。
リリーの両親には兄弟がいたが、リリーが生まれて以来みな次々と怪死していった。
エミリーは両親会って直接話を聞こうとするが、リリーの母親は狂って話を聞ける状態ではななく、父親に会って話を聞く。
父親はリリーのことを娘ではないと話しており、善人に付け込み全てを奪い取る悪魔と呼んでおり、彼の家族はリリーに破壊されたと言う。
エミリーはリリーに恐怖しており、自宅の電話や刃物を全て隠す。
リリーは極めて感がよく物事を察しする能力に優れており、エミリーが母親にあったことも察知していた。
リリーが施設の友人の耳に何かを囁くのを見たエミリーは、リリーのセラピーへの参加をやめさせようとする。
しかしその直後エミリーが乗っているエレベーターは落下する。
しかしそれは幻覚で、エレベーターは何事もなかったかのように1階に着く。
エミリーはマイクに相談するが、頭がおかしくなったと思われ相手にされない。
追い詰められたエミリーは仕事もうまくいかなくなっていたが、リリーがいる自宅に帰ろうとしなかった。
そこに電話がないはずの自宅からリリーが電話をかけてくる。
電話を切った瞬間周りを見渡すといつの間には深夜になっており、さっきまで使っていたはずの電話もなくなっていた。
自宅に戻ったエミリーは食事を用意して待っていたリリーを無視して自室に篭る。
しかしリリーは部屋のドアを執拗に叩きドアを開けさせようとする。
その音が静まったと思った瞬間、クローゼットから血まみれの男が出てきてエミリーを追いかけてくる。
部屋のドアを開け、家から出てバスに助けを求めるエミリー。
しかしバスの運転手に血まみれの男は見えておらず、その姿はいつの間にかなくなっていた。
エミリーが車に乗って逃げようとすると、それを見透かしたようリリーは後部座席におり、リリーの言うことに逆らわないよう言われる。
そんな時リリーの里親が見つかるが、リリーの父親は里親に出せばまた不幸が起こるのでエミリーにやり抜くように言う。
父親はほとんど眠らないリリーが数ヶ月に一度眠ることを教え、その隙になら殺せると教え、死を恐れなければ優位に立てると言う。
その直後からリリーの両親は幻覚を見るようになり、父親はリリーの幻覚を見た直後に人を殺して、自殺する。
・死を恐れるな!
マイクはダグが死んだ時、エミリーの携帯電話が使われたことを知り、その録音を聞いていた。
エミリーの頭がおかしくなったと疑っていたマイクだったが、エミリーが本当のことを言っていたことがわかり、リリーを殺すことに協力することにする。
しかしマイクは駐車場で獰猛な犬に襲われ死亡、エミリーはリビングでくつろぐリリーに出ていけと怒るが、リリーの形相は一変し悪魔のような表情を見せる。
自室に逃げ込んだエミリーだったが、厳重にかけた鍵は外から容赦なく破壊され、ドアを破ってリリーが部屋に入ってくる。
リリーに望みを聞くと愛してほしいと言うので、エミリーはリリーを眠らせ家に火を放つ。
家の外に出ると眠っていたはずのリリーはすでに外におり、エミリーは自我を失ったようになる。
エミリーは警察が用意したホテルに向かわずに、リリー乗せたまま車を暴走させる。
その時エミリーには幼少期の自分と暴走した車を運転する母親が見えており、自身の過去を思い出す。
エミリーは死を恐れずに車を暴走させ、乗ったまま車を海に落とす。
リリーをトランクに沈め、泳いで車を脱出したエミリーは生きて朝日を眺めるのだった。
レビュー・考察
みなさん、いたいけな少女が両親に焼かれそうになっていたらどう思いますか?
この映画は、なぜそんな行動に走ったのか?そこに思いを馳せることの大切さを教えてくれるホラー。
娘を焼こうとする両親とか頭がおかしいとしか思えませんが、その絵面のショッキングさに思考停止してはいけない。
この両親が10年間にわたって育てた娘リリーは悪魔そのもので、両親の兄弟はことごとく怪死を遂げている。
蜂を噴き出して死んだダグや犬に咬み殺されたマイクから察するに、さぞ奇妙な死に方をしたことだろう。
そして両親らも、リリーに殺されこそしなかったものの、彼女が見せる幻覚に悩まされていた。
しかしこの構図、客観的に見ると実に巧妙。
両親もエミリーも恐ろしい幻覚や、大切な人の怪死が続いてリリーの恐ろしさがわかっている。
でもそれは当人以外には絶対に伝わらない。
当人が頭おかしいと思われて終わりなのは、エミリーとマイクの関係からもはっきりしている。
そんな状況で10年もリリーと暮らした両親が偉すぎる。
映画冒頭では娘をオーブンで焼こうとするヤバイ夫婦として描かれるが、それは自らの責任でリリーをなんとかしようとした結果であることが明らかになる。
リリーを里親に出して、1人助かろうとしたエミリーとは大違いである。
ついでに言えばエミリーは家ごとリリーを燃やそうとしたが、その方法はミステイク。
確実に倒せたか確認できない方法をとったばかりに、エミリーを取り逃がすことになる。
ガスオーブンで確実に倒せたか確認しようとしたあたり、やはり両親は立派だった。
両親にとってリリーは娘、それが悪魔に憑かれていたとは言え、その悲しみには同情して余りある。
なんとか悪魔だけ退治できなかったのだろうか?
この映画、ラストもリリー海に沈めて解決している。
そこに神やエクソシストの存在はなく、誰もが物理的な解決を望んでいた。
そこに、もう少しなんとかならなかったのか?
というどうにもならない悔しさが残る。そんな悪魔憑き系ホラー。
もう少し踏み込むと、リリーの望みは愛されることだった。
愛を独占したいから、その身近な人を殺して回ってたとすると、ちょっと見方が変わるかもしれない。
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