【これは奇習か常識か】映画「ミッドサマー」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2019年アメリカのサイコロジカルホラー
主演者はフローレンス・ピュー, ジャック・レイナー, ウィル・ポールタ

こんな人にオススメ!
・常識を疑いたい
・明るいホラーが見たい
・北欧の美しさを味わいたい

映画「ミッドサマー」が5分でわかる!

あらすじ

北欧の楽園

ダニーの元に妹のテリーから別れを告げるメールが届く。
テリーに電話はつながらず、ダニーは恋人のクリスチャンに電話で相談する。
ダニーはクリスチャンに依存しており、クリスチャンもそのことを重荷に感じ、別れようと悩んでいた。
クリスチャンはテリーのことはいつものことだから気にするなと励ましたが、結局テリーは両親を巻き込んで自殺し、ダニーは嘆き悲しむ。

その後、ダニーとクリスチャンは大学の友人グループに誘われ、ペレの故郷で行われる夏至祭に2週間参加することになる。
ダニー・クリスチャン・ジョシュ・マーク・ペレの5人はスウェーデンのボルガという牧歌的な村につく。
そこでは誰もが同じ白い衣装を身につけており、丁度何かの儀式をしているところだった。
儀式では老人2名が崖から飛び降りており、死にきれなかった老人は、崖下で待っていた少女にハンマーで顔面を粉砕された。
あまりのことにパニックが起こるが、村人によるとこれは昔から続く風習であり、生命のサイクルを終える喜びの儀式だという。
この儀式を見たダニーはアメリカに帰ろうとしていたが、友人でこの村出身のペレに引き留められ残ることにする。

消えてゆく余所者たち

クリスチャンとジョシュは実はこの村の風習を大学の論文にするため夏至祭に参加していた。
ペレを通じて長老に取材の許可をとると、匿名で村の場所を出さないことを条件に許可される。

取材の中で、クリスチャンは村内での近親相姦はないと教えられるが、ジョシュは意図的な近親相姦により運命の子が生まれるという伝承を教えられていた。
ジョシュは伝承の書かれた聖典の撮影をしようとするが断られる。

そんな時、村が大切にしている先祖の木とは知らずにマークが立ち小便して怒られる事件が起こる。
さらにダニーらとは別グループでは、観光客の男性がいつの間にか姿を消していた。
村人によると男性は、一人で勝手に帰ったというが、恋人を置いて行くなど不自然な点が残っていた。

食事の席でマークは女性に誘われるままどこかに連れて行かれ姿を消す。
さらに深夜密かに聖書の写真を撮りに行ったジョシュは、何者かに槌で殴られ死亡する。

女王の即位

翌日クリスチャンはどこかに連れられ、マヤという女性と性交することを認められる。
それを告げた老婆によると、占星術でクリスチャンとマヤの相性が良いとされたため選ばれたという。
実はクリスチャンの夕食のパイにマヤの陰毛が入っていたことがわかる。

ダニーもボルガの衣装を纏い、若い女性たちとひたすら踊り続ける儀式に参加していた。
この儀式は転げた者から、脱落していくルールになっており、最後まで残ったダニーは女王として祝福を受ける。

ダニーが女王としてどこかに担がれている時、クリスチャンは何かを嗅がされ朦朧とする意識の中で裸体の女性が取り囲む中マヤと性交をする。

ダニーは女王のための特別な会合に向かっていたが、その様子を覗き見て倒れ、女性たちに介抱される。

ことが終わったクリスチャンは我にかえり全裸で村中を逃げ回る。
そして偶然入った鳥小屋で消えた男性の死体を見つけるが、その直後に村人に何かを吹きかけられ意識を失う。

この儀式の最後は9人の死を持って終わることになっており、外から来た4人と村人から2人がすでに死に、村人からさらに2人志願し、女王が最後の一人選ぶことになっていた。

クリスチャンは熊の毛皮を着せられ、邪悪なもののメラファーとして死体と共に神殿に安置される。
そして生きた人間3人を入れたまま神殿には火がつけられ、村人たちはその様子を嘆き悲しみ演技で見守る。
ダニーは燃える神殿を眺めて満足そうに微笑むのだった。

レビュー・考察

憧れの北欧バケーション!

みなさん、北欧でサマーバケーションしたくありませんか?
この映画はスウェーデンの山奥にある小さな村ボルガで行われる夏至祭に、アメリカから参加した若者たちを描くホラーです。

夏至の北欧は何と言っても白夜。
夜9時でもあたりは真昼のように太陽が燃えています。
ボルガの村人は真っ白な衣装で統一され、沈まない日や緑の草原とあいまって天国のような風景が広がっています。
しかしその内部では、外の人間には理解し難い風習が脈々と息づいています。

ボルガの風習

1.ドラッグやり放題
クサ吸って気持ちよくなっても、幻覚が見えるドリンク飲んでもOK。
楽しみ方は自由自在

2.寿命は72年
人生を四季ととらえ1歳から16歳は春、17歳から32歳は夏、33歳から52歳は秋、53歳から72歳は冬という考え方がある。
72歳を超えると人生強制引退で、転生し春に戻ると考えられている。

3.性交相手は占星術で決める
長老シヴに呼ばれてクリスチャンは、占星術で村娘のマヤと愛情抜群と診断される。
ミッドサマーの儀式は全裸の女性が踊る中で性交し、外から血を入れること。

4.タブーを犯した余所者はいなくなる
都会では犯罪になりそうな風習も、大自然の小さな村では誰も取り締まらない。警察も来ない。
長老がOKならオールOK。
それは反逆者に対しても例外ではない。
マークもジョシュも掟を破って殺され、ジョシュは畑から片足だけ出る形で雑に埋められた。

これは奇習か常識か?

ボルガしか知らない村人たちにとってこのような風習は当たり前で、何ら疑う余地はない。
しかしアメリカから来たダニーたちにとっては奇習。
自分達にとって普通でないから奇習とするのは、ちょっと了見が狭い。

例えば72歳寿命制度は、日本が置かれた状況を考えると一定の合理性がある。
女性が性交相手を選べないのも、血の濃くなりやすいクローズドな環境ならではの生存策とも言える。

問題は、その風習を個人がどのように受け入れているかだろう。
それがここの昔からのやり方だから…というのではボルガの住人と同じである。
そしてそれはみなさんがいつも通う会社や学校で当たり前にように起きている。

変な風習ややり方もその世界しか知らないと、変だと思いもしないのだ。
だから積極的に複数のコミュニティと関わるのは大切だし、海外にも出た方が良い。
外の世界を知ってなお、このやり方しかないと考えた末に受け入れているのであればOK。

問題は72歳寿命制や占星術性交相手を決めるやり方が妥当かどうか、自分の頭で考えることができているかだ。

ちなみに本作のラストで見せたダニーの笑顔は、この村の風習を受け入れたことの表れのようです。
他の女を抱いたクリスチャンを処刑してご満悦…

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