【アイデンティティ】映画「寄生体XXX」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2020年のカナダ映画
主演者はローラ・バーク, ジャック・フォーリー, レイチェル・バンダザ
人間の体を移りながら生きる“何か”を描くドラマ映画

こんな人にオススメ!
・寄生体にとっての自己に興味がある
・短い時間でサクッと楽しみたい
・ちょっと意味不明なくらいが好き

映画「寄生体XXX」が5分でわかる!

あらすじ

・愛の記憶

3日間姿を消したエミリーが戻ってきた。エミリーは“何か“に体を乗っ取られており、警察に連絡しようとした夫を殺す。
エミリーの肉体は腐敗を始めており、“何か“は新たな寄生体が必要だと焦っていた。
そこにランソン刑事が訪ねてきたので、“何か“はエミリーからランソン刑事の体に乗り移る。

“何か“には、誰かがある女性を愛した記憶が残っていた。
その女性を愛すべく、“何か“に体を乗っ取られたランソン刑事は、いつも女性が通っているバーに会いにいく。
女性と幸せなひと時を過ごす“何か”だったが、ランソン刑事の体は早くも腐敗を始めており、近くの車に乗っていたリチャードソンの体を奪う。

リチャードソンの家庭に興味を持った“何か“は、妻子が待つ自宅に戻り、歯医者の仕事をし、映画を見て人間に溶け込んで暮らしていた。
リチャードソンはいつものバーに行き、再び女性と出会う。
その席で、女性にはかつて病気で亡くなった息子がおり、夫も失踪していることがわかる。

・終わらせる決意

リチャードソンの体は腐敗を始めており、その進行をコカインで遅らせていた。
“何か“はリチャードソンの部下の女性レイチェルを呼び出し、その体を乗っ取る。
リチャードソンの体は腐乱死体となり、レイチェルはその事件の重要参考人として指名手配される。

レイチェルはいつものバーで彼女と会っていたが、指名手配されたことを知り、バーでナンパしてきた男を殺して現場から逃走する。
レイチェルの体は腐敗が進んでおり、“何か”はレイチェルを探しにきた恋人のトミーを撒いて逃げる。
この頃から“何か“が乗っ取った体の傷みが早くなっており、“何か“は彼女に全てを話して終わりにしようとする。

“何か”は、彼女が初老の男性ロバートと親しげな様子で話しているのを見かけ、ロバートの体を乗っ取る。
ロバートは彼女の恋人になるが、“何か“がこれまで肉体を乗っ取り捨ててきた人々の死体が警察に見つかり、大きな事件となっていた。
“何か“はこれまでに乗っ取った数々の肉体で彼女に近づいており、彼女は事件の被害者全員を知っている人物だった。

・悲劇

しかしロバートの体も腐り始めており、“何か“は意を決して彼女に自身の正体を告白する。
何かは本名をドリューと言い、乗っ取った生物の体だけでなく、記憶も引き継いでいた。

ドリューがかつてリチャードという男を乗っ取った時、その記憶は彼女を幸せにしたいと願っていた。
リチャードは彼女の元夫で、リチャードが彼女の元を去ったのは、ドリューがリチャードの肉体を乗っ取っていたからだった。

ドリューは彼女に自身の正体を説明しようとするが、自身でもその正体が何で、なぜ肉体を移りながら生きているのか分からず、その説明はうまくいかない。
彼女はロバートを頭のおかしい人物と思い激昂、スタンガンで襲い掛かってきたため、やむなくドリューはロバートから彼女の肉体に移る。

・アイデンティティ

寄り添いたい人自身になってしまったドリューは悲しみに暮れ、乗っ取った彼女の肉体を腐るがままに放置する。
死を覚悟していたドリューだったが、腐敗していた彼女の肉体は胚に姿を変え、胚からは新たな老人の肉体が生成された。

ドリューは自身の正体など誰にも分からないことを悟り、老人としてまた生きていくのだった。

レビュー・考察

ドリューは生まれながらに“何か”だった。
おそらく本体はなく、生まれて時にはすでに赤子に入っていたのだと思われる。
その赤子の名前がおそらくドリュー。

最初に乗っ取ったのは自分の母親。
しかし乗っ取った肉体は、推定20−30時間で腐敗を始めてしまうので、その度にドリューは別の人間に入り直す必要がある。

腐敗を遅らせる方法は、抗生物質やコカイン。
抗生物質は腐敗菌を倒し物理的に腐敗を止めているのだろうけど、コカインで腐敗速度が遅くなるのが興味深い。
人間が現実から逃れるために使う麻薬が、ドリューが乗っ取った肉体の腐敗を遅らせるのだから、現実逃避もバカにはならない。

ドリューが乗っ取ると肉体だけでなく、その感覚、感情、記憶も引き継ぐことができる。
ドリューがリチャードという男を乗っ取ったとき、その妻を愛した感情が強く残っていた。
しかし彼女は一人息子を亡くして悲しみに暮れており、夫婦仲も悪化していた。
リチャードになったドリューは、懸命に彼女を楽しませ、彼女もリチャードとやり直せると感じていた。
しかしリチャードの体は腐敗を始めており、ドリューは彼女の元を離れなくてはならなかった。
ドリューがリチャードを乗っ取ったことで、彼女がやり直せると感じたことは強烈な皮肉。
リチャードがリチャードのままだったら、そのままやり直せるなんて思わなかったかもしれない。

リチャードの体を変えて以来、ドリューはその愛の記憶を引き継いで彼女に近づいた。
ある時は刑事ランソン、ある時は歯医者のリチャードソン、女学生レイチェル、老人ロバート。
彼女も短期間でいろんな人物に言い寄られさぞ戸惑ったことだろう。
どの体でもすぐに彼女と仲良くなれるのは、リチャードの記憶で彼女が喜ぶことを知っていたらからではないだろうか。
にしても肉体関係に至るのが早すぎる気もするが、これがカナダスタンダードなのだろうか??
いきなりのモテ期に少しは戸惑いを感じてほしい。

ラストはドリューが老人に生まれ変わる。
体を乗っ取ることで起こる不幸の連鎖を止めるため、ドリューは彼女の肉体を腐るがままに放置する。
そしてその体から生まれたのが謎の老人!
率直に意味不明である。

老人になったドリューは、誰も自身の正体などわかっていないという結論に至る。
ドリューはたまたま他人と違ったから自身の正体に違和感を覚えた。
これが周りと同じだったらどうだろう?
体を移り住んで生きるのが当たり前の世界では、ドリューは自身の正体なんて考えなかっただろう。
そう考えると、私たちも自身が何者なのか全くわかっていないよな、とか思わせる。
そんな哲学的な作品に仕上がっている。

遊星からの物体Xみたいなクリーチャー系寄生体を期待していると裏切られるが、寄生体がアイデンティティに疑問を持つ実にユニークな一本。

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