【本当の恐怖】映画「It comes at night」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2017年のアメリカ映画
主演者はジョエル・エドガートン, クリストファー・アボット, カルメン・イジョ
感染症に冒された世界で、二つの家族が同居するホラー映画

こんな人にオススメ!
・映像で語る硬派な映画が好き
・低予算で工夫した映画が見たい
・胸糞展開でも大丈夫

映画「It comes at night」が5分でわかる!

あらすじ

同居する二つの家族

感染症の流行で文明が滅んだ世界。ポールと妻サラ、息子の青年トラヴィスの一家は山奥でひっそりと暮らしていた。
その家にはサラの父もいたが、感染しため家の奥にある赤い扉の部屋におり、ポールとトラヴィスが山の中で葬って燃やす。

その夜、悪夢で目覚めたトラヴィスが気がつくと、何者かが赤い扉を叩いていた。
何者かが扉をこじ開け侵入してくるが、ポールはその男を気絶させ、木に縛り付け拘束する。

侵入してきた男はウィルといい、病気の家族を助けるため水と日用品を探しに来たという。
ポールとサラはウィルを信じるべきかを議論し、ウィルの家族をポールの家に呼び寄せて共に暮らすことにする。

ポールはウィルとその家族を迎えに行くが、その途中で何者かに銃撃される。
ポールはウィルが止めるのを聞かず犯人を射殺、ポールを撃ったのはウィルの知り合いだったのではないかと疑いを持つ。

寄り添う家族

ポールはウィルの妻キムと幼い息子のアンドリューを無事に自宅に連れて帰る。
ポールはウィルの一家に夜に赤い扉を開けるなというこの家のルールを説明し、三人を歓迎する。

二つの家族は次第に打ち解け、共同生活は順調だった。
特にトラヴィスはキムに憧れてを抱いていたが、ポールはどんなに善人でも家族以外信用してはダメだと考えていた。

トラヴィスが悪夢を見た次の朝、森で薪を集めているとトラヴィスの愛犬スタンリーが突然吠えながら森の奥に走って行ってしまう。
トラヴィスはスタンリーを追いかけ森深くに入り、そこで何かの物音を聞くが、ポールは気が付かずトラヴィスを連れて帰る。

運命の日

ある夜、トラヴィスはアンドリューが今は使われていない祖父の部屋で眠っているのに気がつく。
トラヴィスはアンドリューをウィルとキムの寝室に戻すが、家の奥にある赤い扉が開いており何者かが侵入していることに気が付く。
ポールが様子を見に行くと感染したスタンリーが戻ってきており、ポールがスタンリーにとどめ刺して燃やす。

ポールとウィルの一家はなぜ赤い扉が開いていたのかを話し合い、トラヴィスはアンドリューが部屋を出ていたことを話す。
アンドリューが夢遊病で扉を開けたことも疑われたが、幼いアンドリューは何もわからいとしか言わない。
感染ルートがわからないため、ポールはウィルの一家に部屋から出ないように伝え、お互い隔離した生活をすることになる。

疑心暗鬼

ある夜悪夢で目を覚ましたトラヴィスはアンドリューが泣いていて、ウィルたちが家を出ていく相談をしているのを耳にする。
ポールとサラはアンドリューが感染しており、ウィルたちが出て行く前に物資を奪って行くと疑い銃を持ってウェルの部屋を訪ねる。

しかしウィルは扉を開けようとせず、アンドリューが泣いているのは怖い夢を見たらからだと説明する。
ポールの言葉に押されたウィルはわずかに部屋の扉を開け、その一瞬の隙にポールに銃を突きつける。

ウィルは家を出て行くので物資を分けて欲しいというが、ポールに銃を突きつけたまま部屋を出たところでサラがライフルを向けられる。
ウィルとサラは3カウントでお互い銃を下ろすことにするが、ウィルが銃を下ろすや否やポールが反撃し、ウィル一家を部屋の一角に追い詰める。

ポールはウィルの一家が感染していると思っていたため、ウィルを気絶させ森の中で殺そうとする。
しかし目を覚ましたウィルがポールに反撃し、ポールの顔面を殴ったためサラがウィルを撃ち殺す。
キムはアンドリューを抱いて森の奥に逃げるが、ポールはアンドリューを撃ち殺し、それを哀しみ泣き叫んでいたキムも撃ち殺す。

しかしその後、トラヴィスが感染していることがわかる。
そしてポールとサラはトラヴィスのいなくなった食卓に二人だけで座るのだった。

レビュー・考察

疑心暗鬼ホラー!人間を信じるのは難しい!?

夜にくる何か

致死的な感染症が流行り、山奥でひっそりと暮らすポールの一家。
どうやらそれは夜外に出ると感染するらしく、ポールも夜間は外に通じる赤い扉を閉め、外に出るときはガスマスクをしていた。

いまいちよくわからないのが、夜間赤い扉を破って入ってきたウィルが感染していなかったこと。
愛犬のスタンリーも森に入った翌日戻ってきて感染していたことがわかるが、ポールの考えによれば夜間外に出ていて感染するのは当たり前のはず。
それなのにポールは感染経路が不明だとか言っていていた。

この辺にポール理論の破綻が見られる。
察するに本人もこの辺で自身の理論の破綻に気がついていたのではないだろうか?
それで我が子トラヴィスが怪しいという疑いを逸らすため、感染経路が不明とか喚いてアンドリューにその罪を押し付けた感じもする。
なにせ感染したスタンリーの飼い主はトラヴィスなのだから。

どうでもいいけどこの映画みたいにコロナも夜間にn感染するウイルスだった、我が国の飲食店への時短要請も的を射た政策といえたのに…

一番怖いのは人間

この映画の見所は、感染したことが明らかな人は誰もいないのに、ポールとサラが一方的に疑ってウィルの一家を害してしまったところ。
それまで和気藹々としていた2つの家族が、赤いドア開放事件をきっかけに疑うようになる。

確かにそれまでにポールがウィルを疑う要素はいくつかあった。
例えば、ウィルの家族を迎えにいく時、銃撃してきた犯人をポールが殺し、それをウィルが咎めたこと。
さらにはウィルの家族の話。最初ウィルは兄の家に行くと言っていたが、その後一人っ子だと話す。
その矛盾を指摘されると正確には義理の兄だと答えるが、ホントかウソかは判別できない。
こういうモヤモヤの堆積が背景にあるのは確かだろう。

最終的にはポールとウィルが殺し合うことになり、ポールはかわいい赤ちゃんのアンドリューを容赦なく撃つ。
最後までアンドリューの顔は隠され、本当に感染していたのかは明らかにならない。

しかし最終的にはポールが唯一信じるものだった家族の中から感染者が出る。
おそらく赤い扉を開けていたのはトラヴィス。
アンドリューの夢遊病が疑われていたが、夢遊病なのはトラヴィスで、悪夢のシーンはそのことを示唆していると思われる。

もちろんトラヴィスを看病したポールとサラは助からない。
トラヴィスのいなくなったリビングに二人が座るラストシーンは絶望に満ちている。

言葉でなく映像で語る硬派な映画

本作の特徴として言葉による説明が極めて少ないことにある。

人々の視線や微妙な仕草で心内を察するのは、映画という表現方法を最大限に活かしているといえる。
特にトラヴィスがキムに向ける視線とか、ポールとウィルが書斎で酒を酌み交わすシーンに注目してほしい。

人間これほど非言語で語っているのだなぁと思い知らされる。

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