映画「風をつかまえた少年」に学ぶビジネスイノベーションの起こし方!

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みなさん、ビジネスでイノベーションを起こしたいですか?
映画「風をつかまえた少年」はアフリカで風力発電を起こして、大干ばつから村を救った少年の話です。
感動できる良作ですが、風力発電で村にイノベーションを起こした彼の手法は実はビジネスでイノベーションを起こす方法に他なりませんでした。

この記事では、風をつかまえた少年がいかにイノベーションを起こしたか?をOODAループを交えて解説します。
きっとみなさんの普段の仕事に役立ちます。

映画「風をつかまえた少年」の概要、あらすじ

2019年のイギリス映画
主演者はマクスウェル・シンバ、監督はオデッセイのキウェテル・イジョフォー

あらすじ

・貧しいウィリアム

アフリカマラウイ王国の小さな村ウィンべで農業を営んでいたジョンが突然亡くなる。
ジョンの弟トライウェルの息子ウィリアムは、ラジオを直して日銭を稼いでいた。

ある日ウェインべに学校ができ、中等部に通うことになったウィリアムは、担任で理科の教師のカチグンダと会う。
しかしトライウェルは学費を前金しか払っておらず、残りを支払わないとウィリアムは退学になると言われる。

そんなウェインベに木を切って農園を開く話が持ち上がる。
隣国のモザンビークでは、木を切ったことで洪水が起こっており、トライウェルはこの話に反対する。
しかしウィンべの男たちの中には賛成する者もおり、森は次々と切り開かれていく。

ウィリアムは廃棄物置き場で廃バッテリーや電池を集めては、それを使ってラジオを動かしていた。
あるとき、ウェイリアムはカチグンダが姉アニーと密かに関係を持っていることを知る。
ウィリアムはカチグンダの自転車を壊そうとして、ダイナモ発電の電球があることを知る。

・才能の萌芽

ウィリアムは学費のことをトライウェルに相談するが、収穫までは払えないと言われ退学になる。
トライウェルは洪水の恐怖を感じており、ウィリアムを連れて旧友に農園から木を買い戻せないかと相談する。
しかし旧友は木を買い戻しても大雨と干ばつはコントロールできないと断る。

廃棄物置き場でバッテリーとポンプを見つけたウィリアムは、ダイナモで充電してポンプを動かせば、乾季でも畑に水を引けるのではないかと考える。
ウィリアムは退学になった学校に忍び込み、姉との密会をバラすとカチグンダを脅して図書館で勉強を始める。

・追い詰められる一家

そんな時、大統領がウィリアムのウェインべを訪問する。
族長たちは作物の不作を訴え、政府の経済政策を非難するが、その途中で族長は大統領の警備に連れ去られリンチされる。

ついに収穫の時を迎えたトライウェルだったが、大雨と干ばつで不作になり到底次の収穫まで耐えられそうにはなかった。
トライウェルとウィリアムは家の金属屋根を売却しにいくが、その途中で反政府デモが起きていることを知り、トライウェルはウィリアムを置いてデモに参加しに行ってしまう。
そしてウィンべには政府が格安の穀物の販売に訪れ、ウィリアムは穀物を買いに行く。
ウィリアムとトレイウェルがいなくなった家には見知らぬ男たちが現れ、備蓄していた食料を全て奪われてしまう。

その後になってトライウェルが自宅に戻るが、食料はウィリアムが買ってきた分しかなく、1日1食となる。

・風をつかまえろ

大干ばつで食料が不足する中、ウィリアムはカチグンダの自転車についているダイナモがあればポンプが動き水が手に入るとアニーに相談する。
翌日アニーはカチグンダと駆け落ちをし、姿を消す。
そしてアニーがいなくなった部屋には、自転車のダイナモだけが残されていた。

アニーが駆け落ちしたことで、ウィリアムの一家はカチグンダが勤めていた学校に相談する。
しかし学校は閉鎖が決まっており、ウィリアムは図書館の利用だけを認めてもらう。

ウィリアムはダイナモを使って発電し、小さな風車を回してラジオを動かすことに成功する。
その風力発電機をトライウェル見せ、ポンプが動かせれてば乾季でも畑に水を出せることを話す。
そしてそれにはトライウェルの自転車が必要で、トライウェルに自転車をもらえないか相談する。
しかしトライウェルはウィリアムの提案に理解を示さないどころか激昂、ウィリアム畑仕事をさせる。

村人にも餓死するものが出始め、ウィリアムの愛犬も餓死してしまう。
ウィリアムの母はトライウェルと結婚して全てを失ったと話し、トライウェルがウィリアムに自転車を渡さなかったことを咎める。
トライウェルから自転車をもらったウィリアムは、残った村人と協力して風車とポンプを作る。

風車はアフリカの風を受け勢いよく回り、ポンプは井戸の水を汲み上げ乾いた畑に水が満ちる。
その後ウィリアムは奨学生として南アフリカにリーダーシップアカデミーに進学、さらにアメリカの大学に入学する。

映画「風をつかまえた少年」に学ぶビジネスイノベーションの起こし方!

ウィリアムはアフリカの小さな村に生まれ、学校もまともにない社会で育つ。
せっかくできた学校も授業料が払えず退学、その学校も教師不足で運営が行き詰まり、少ない教師は姉と密会。
そんな村を大干ばつが襲い、愛犬も餓死。
腐敗した政府はまともな食糧政策をしないどころか、言論を弾圧し政府への批判を許さない。

さぁ君ならどうする?
普通ならギャングになるか、それもできないなら餓死するしかない。

しかしウィリアム少年はそのどちらも選ばなかった。
彼は外の世界の技術を取り入れ、エネルギーでイノベーションを起こすことにしたのだ。

ウィリアムがいかにこの革命を起こし、成功させたのか?
その過程には実はビジネスで成功するためのtipsが散りばめられている。
ここでは映画「風をつかまえた少年」から学べる、優秀なビジネス構築術を見ていきたい。

ウィリアムのビジネス構築メソッド

①事業が解決する社会問題を明確にする

映画では中盤、父が木の伐採をやめさせようと旧友ダニエルを訪ねたシーン。
父は何を思ったか、この相談にウィリアムを連れて行く。

ウィリアムはそこで問題が木の伐採ではなく、雨季と干ばつがコントロールできないことであることを知る。
そしてポンプを動かせれば、この問題が解決できるのでは?と思いつき風力発電機を作り始めるきっかけとなる。

ウィリアムが見事なのは、解決すべき社会問題を正しく捉えたことだ。
普通なら何も考えず父の言う木の伐採が問題と捉えてしまうところだろう。
もしここで木の伐採にフォーカスしていたら、成し遂げたとしても何の問題解決にならなかっただろう。

皆さんの会社にもどのような社会問題を解決しているのか不明確な仕事はないだろうか?
そのような仕事は仕事のための仕事に過ぎず、無駄でしかない。
農業の収穫を安定化させるために木を伐採するようなものなので止めてしまって構わない。

②読書をする

解決すべき問題がはっきりしたら、その解決手段を考えなくてはならない。
そのためにウィリアムは、図書館に通い詰めた。

退学になりやむなく通った図書館だったが、実は幸運だった。
なぜなら書物には、自分が生きている世界の外のことが書いてあるからだ。

もしウィリアムが周囲の大人に相談していたらどうだろう?
村の大人は誰もこの問題を解決できていないのだから、やはり問題は解決しない。
当然のことである。

イノベーションが起こるとき、必ずそのコミュニティの外の知識が必要になる。
信長の鉄砲なんかが代表例だ。

それを知るもっとも手取り早い手段、それは読書である。
だから読書は最も有効な自己投資であると断言できる。

③資産家の投資を受ける

本でやり方がわかったら、必要なものがはっきりする。
それを得るためには投資家から投資を受けないといけない。

ウィリアムにとって必要だったのはダイナモと自転車。
日本なら一万円もあれば足りるが、ここはアフリカ、やすやすとは手に入らない。

ダイナモは姉と密会している教師が、自転車は父が持っていることはわかっている。
だからこの二人から投資を受ける必要があった。

ビジネスの場では、誰が必要な資源を持っているのかわからないことも多い。
それを知るには、普段からコミュニケーションが必要なのだ。だからパーティや会食がある。
好き嫌いにが関わらずイノベーションを起こすためには必要なことなのだ。

最終的には投資家にプレゼンを行い投資を受けることになるが、この際に何が、なぜ、どれだけ必要なのか不明確だと投資を受けるのは厳しい。
そのためには②でしっかりと調べ上げておく必要があるのはいうまでもない。

④人を巻き込む

ウィリアムは自身のプレゼンスキルでは、教師と父を説得できないことを知っていた。
そこでウィリアムは教師には姉を、父に母を使って交渉に当たる。
技術屋であったウィリアムは、営業は不得手だった。

人の力を借りないとイノベーションは起こせない。
何でも一人でできる人間はいないのだ。むしろイノベーションを起こした人物ほど人をうまく使っている。
三国志の曹操ですら、自身何でもできたのに才能ある人物を欲した。

皆さんの周りにもいないだろうか?人の仕事を信じられず、何でも一人で抱え込んでいる人が。
そういう人は決まった仕事はできても、革新的なイノベーションを起こせない。

プロジェクトもこの段階になるとマンパワーが必要になる。
映画でも風車を作るのに多くの大人が参加していた。
映画ではウィリアムがどうやってこれだけの大人を集めたか描かれていなかったが、途方もなく大変だったはずである。

ウィリアムは普段からラジオを直したりして大人たちに感謝されていた。
このことが良い方向に働いたのは想像に難くない。

イノベーションのためには、普段からの他者貢献が欠かせないのである。

OODAループの活かし方

ここまで、ウィリアムがいかにイノベーションを起こしたか分析してきた。
しかしこれは何も新規なメソッドではない。
ここではOODAループという手法がとられている。

OODAループとは、優秀な戦闘機乗りがワンアクションを行うまでの方法を体系化したもので、各アクションの頭文字から成っている。

Objective:観察
Orient:状況判断
Dicide:意思決定
Action:行動

本作に当てはめるとこうなる。

Objective:雨季の水を乾季に利用できれば、一年中安定した収穫ができる。
Orient     :そのためにはポンプと電力が必要、電力は風力で得られる。
Dicide     :ポンプとバッテリー、自転車とダイナモが必要。

     自転車は父から、ダイナモは教師からもらおう。
Action     :教師には姉が交渉、父は母が説得。

      作業に必要な大人の協力を得て風力発電機完成、乾季の畑に水が満ちる。

OODAループで特に重要なのはObjectiveとOrient。
事業が解決する問題を明快にし、それを解決する仮説を構築するところだ。
この仮説が具体的であればあるほど説得力を持ち、その後のActionが楽になる。

ウィリアムはこの仮説構築を(映画では)一発で成功させているが、現実には10戦1勝なら大成功と思っておこう。
一つのイノベーションには、数限りない失敗がその基礎にあるのだ。
だから何度か失敗しただけで諦めていけない、何度でも挑戦しよう。

ただし、Objectiveで事業が解決する問題の設定を誤ると無駄な努力になる。
ウィリアムだって木の伐採を止めるのを頑張っても、農業問題は解決しなかったはずである。
ダメな時は、そのそもやろうとしている事業が解決する問題が正しいか見直そう。

明日の仕事の糧に

映画「風をつかまえた少年」には実はビジネスでイノベーションを起こすための要素が詰まっている。
それはOODAループを利用したもので、非常に理にかなっていた。
単にみんな幸せになってよかったね。で見終わってしまった人はぜひもう一度見直してほしい。
きっとみなさんも普段の仕事にも役立つはず。

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