【老害の真実】映画「家に帰ろう」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2017年のスペイン・アルゼンチン映画
主演者はミゲル・アンヘル・ソラ、アンヘラ・モリーナ
偏屈な老人が、一人旅に出るドラマ映画

こんな人にオススメ
・偏屈な老人が身近にいる人
・人の優しさに触れたい人
・旅に出たい人

映画「家に帰ろう」が5分でわかる!

あらすじ

・最後の旅路

仕立て屋のアブラハムは娘たちに老人ホームに入れられようとしていた。
アブラハムは自宅を整理する前に、娘と孫たちを集め自身に対する愛の言葉を述べさせ、思い出残る我が家に別れを告げた。

娘たちの思惑をよそに、アブラハムは1着の仕立てたばかりのスーツを持ってひとりアルゼンチンからポーランドのワルシャワへ向かうことにする。
そのためにアブラハムは、友人の孫娘に頼み、飛行機のチケットを取ってもらう。
急遽取ってもらったそのチケットはマドリード行きで、そこからは電車でワルシャワに向かわなくてはならなかった。

マドリードに着いたアブラハムだったが、帰りのチケットを持たず、入国の目的も言わなかったため入管で引っかかる。
アブラハムの目的は70年前に別れた友人にスーツを届けることで、当時のユダヤ人の状況を思えば不自然な話ではないと説明し入国が許可される。

入管には機内で出会った若者レオナルドもおり、不法滞在していた上、金も持っていなかったので強制送還になろうとしていた。
アブラハムはレオナルドに金を渡し、マドリードに入国できるようにする。

・ポーランドにて

アブラハムは、夜の電車の時間までホテルで過ごそうとする。
受付の女性マリアを口説いて安く泊まろうとするが失敗し、定価で泊まることになる。

アブラハムが一眠りしている間に電車の時間は過ぎてしまい、行き場を失ったアブラハムをマリアが食事に誘う。
楽しいひとときを過ごしたアブラハムだったが、その間にアブラハムの部屋は盗みに入られ、有り金全てを失ってしまう。

アブラハムの娘の一人はマドリードにいたが、家を整理する時、愛の言葉を述べなかった娘をアブラハムは許せないでいた。
マリアは娘と仲直りして金を借りるよう言うが、恥をかかされたと感じていたアブラハムはそれを拒否する。

しかし茶番に付き合わなかった娘の正直な姿勢に感心したマリアにアブラハムは説得され、娘に過去のことを謝罪し1000ユーロを借りる。

アブラハムはマリアとレオナルドに別れを告げ、深夜の列車でパリに向かう。

・パリにて

パリに着いたアブラハムは、駅員にドイツを通らずにポーランドに行きたいと伝えるが、無理だと断られ癇癪を起こす。
近くにいた女性イングリッドは、短気を起こしたアブラハムをとりなすが、彼女がドイツ人であることを知ったアブラハムは冷たくあしらってしまう。

結局アブラハムはドイツ経由でポーランドへ行く電車に乗り、その車内でイングリッドに再会する。
イングリッドはドイツは戦前と変わったことを話すが、アブラハムは聞く耳を持たない。

電車はドイツの乗換駅に着くも、アブラハムがドイツの地を踏みたくないと言い張ったので、イングリッドは衣服を駅に敷いてアブラハムを電車から降りれるようにする。
ユダヤ人のアブラハムは、妹を10歳の時ナチスに連れ去られており、その話を聞いたイングリッドはアブラハムを優しく見送るのだった。

・トラウマのドイツ

ドイツで乗換えポーランドに向かうアブラハムだったが、その車内でナチスの軍人が横暴を働いている幻覚を見る。
過呼吸になったアブラハムは気を失い、ワルシャワの病院に運ばれる。

病院で目が覚めたアブラハムは、看護師のゴーシャより悪化していた右足は切断することになる寸前で担当の医師が反対したため残すことができたと聞く。
右足のリハビリを終えたアブラハムはゴーシャに頼み、故郷の街ウッチに連れて行ってもらう。

アブラハムが訪ねようとしている友人はピオトレックといい、二人はウッチで兄弟同然に育った。
しかしナチスのユダヤ人狩りにあい、命からがら生き延びたアブラハムをピオトレックは助け、戦後アブラハムはアルゼンチンの叔母の元に移り住むことができた。

アブラハムはピオトレックと別れる際、再会する約束をしていたが結局果たせないでいた。
アブラハムはピオトレックがかつて住んでいた住所を尋ねるが誰もおらず、もっと早く来ていればと悔いる。

しかしアブラハムはその家に地下室があるのを見つけ、そこに年老いたピオトレックの姿を見る。
ピオトレックはアブラハムのことを覚えており、アブラハムは別れ際に受け取った型紙で作った新着のスーツを贈る。
ピオトレックは家に帰ろうと言い、二人は70年ぶりに育った家に帰るのだった。

レビュー・考察

偏屈な老人が、古い約束を果たす旅に出る話。

この老人、老化のせいもあるのかかなり偏屈。
娘たちに愛の言葉を述べさせ、愛の言葉なんて強要されるもんじゃないでしょ!と拒んだ娘の一人には腹を立て、財産を分けない始末。
そんなんだから娘たちには煙たがられているようで、娘たちは愛の言葉を述べたのちさっさと自宅を処分、アブラハムの財産は姉妹で分配されてしまった。

さらに決して「ドイツ」と「ポーランド」という言葉を口にせず、入管や駅員に行き先を伝える時でさえメモで伝えるなど、こだわりのが強くめんどくさい老人感が溢れ出ている。

そんなアブラハムは、自宅を失ったのち老人ホーム行きを拒み、片道切符でポーランドに向かう。
右脚を悪くした後期高齢者の一人旅は決して楽なものではなかったが、アブラハムは行く先々で優しい人たちに助けられる。

キリスト教圏だと寄付の文化があったり、困った人を積極的に助ける文化があるのだろう。
こんなに見知らぬ人が老人に親切にしてくれるなんて、現代日本ではフィクションでしかない。
そんな奇跡のような人々をまとめると…

・ホテルの受付をしていたマリア
異国で一文なしになるが、彼女とレオナルドの助けで娘と和解することができた。
・マドリードの実娘
アブラハムの茶番を嫌って喧嘩したため財産を分けてもらえなかったが(結局姉妹からもらっていた)、アブラハムの謝罪を受け入れ金を貸す。
・ドイツ人のイングリッド
ドイツ人だったためアブラハムに冷たくされるが、決して見放すことなく彼の短いドイツ滞在を献身的に支える。
・看護師のゴーシャ
アブラハムの悪化した右脚を切断せずに残し、彼をウッチまで導いた。

どういうわけか女性ばかりである。
実の娘たちには煙たがられていたのに、赤の他人の女性には親切にされるのは何の因果かという感じである。

しかしよく考えると、娘たちはアブラハム煙たがっていたというより、早く財産を手にしたかっただけなのかもしれない。
さらにアブラハムが「ドイツ」と「ポーランド」という言葉を口にしないのも、少年時代にナチスに家族を連れ去れれているからで、実は決して偏屈なわけではないことがわかる。
娘たちに愛の言葉を述べさせたことだけを切り抜けば確かにめんどくさい老人だが、家族と引き裂かれた少年時代の経験がそうさせたのではないだろうか?

映画序盤ではTHE老害という感じのアブラハムが、だんだんと愛嬌ある哀れな老人に見えて来るところがこの映画の面白いトコロ。
素直でユーモア溢れる性格こそがアブラハムの本質で、だからこそナチスから逃れていた彼をピオトレックは助け、旅先でもいろんな人に親切にしてもらえたのだと言える。

どうでもいいけど、飛行機の機内でアブラハムに席を奪われたレオナルドは、一体その後どこで過ごしたのだろうか…

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