2010年制作のアメリカ映画
出演者はパトリック・ウィルソン、ローズ・バーン
新居に引っ越した一家に悪霊が迫るホラー
こんな人にオススメ!
・王道ホラーが好き
・ラストまで先の読めない展開が見たい
・ホラーは好きだが、グロは嫌い
プライムビデオ「インシディアス」が5分でわかる!
あらすじ
呪われた新居
新居に引っ越してきたジョシュとルネの一家には、わんぱく盛りの息子ダルトンとフォスター、乳児のカリがいた。
屋根裏で階段から落ちたダルトンは、翌朝昏睡状態となるが、医者にも原因がわからず検査のため入院する。
3ヶ月後、ダルトンはまだ昏睡していたが、自宅療養になったため自宅に帰ってくる。
ある日カリの部屋で争うような声奇妙な音を聞いたルネは、急いでカリの部屋に行くが、そこには誰もいなかった。
フォスターも何かに怯えるようになり、夜中にダルトンが歩き回って怖いと言う。
ルネもカリの部屋に何者かがいるのを見たり、ジョシュが閉めたはずのドアが空いていたりと、一家は怪奇現象を目の当たりにするようになる。
ルネはダルトンのベッドに血の手形があるのを見つけ、家が呪われていると言い出す。
その夜悪夢で目覚めたルネは、寝室で見知らぬ男に襲われるが、ジョシュが駆けつけた時には誰もいなかった。
すっかり怯えたルネはこの家が嫌になり、一家で別の家に引っ越すことにする。
しかし引っ越した家でもルネは見知らぬ子供が走り回っているのを見かけ、神父に相談するのだがジョシュは小馬鹿にして信じない。
ルネとジョシュの母が、ジョシュに怪奇現象のことを話していると突然ダルトンの部屋で大きな音がし始める。
ジョシュらが駆けつけると誰もいないはずの部屋が荒らされていたが、幸いダルトンは無傷だった。
エリーズの助け
ジョシュの母は、赤い顔の怪人をこの家で見かけていたので、専門家のエリーズに助けを求める。
エリーズによればダルトンが昏睡状態なのは魂が幽体離脱してこの世にないからで、空になったダルトンの体を求めて悪魔たちが近づいてきているのだという。
しかしジョシュはエリーズの話を全く信じず追い返すが、ダルトンの部屋で幽体離脱のスケッチを見つけ、エリーズの話が真実であることを悟る。
ジョシュとルネはエリーズのダルトンの霊との交信を行い、ダルトンの魂が赤い顔の怪人に捕まっていることを知る。
その時部屋に異変が起き、立ち上がったダルトンがその場にいる全員を何かの力で跳ね飛ばす。
エリーズがその場を収めてことなきを得たが、ダルトンを撮影したカメラには赤い顔の怪人が写っていた。
ジョシュの秘密
ジョシュの母は、ジョシュもかつて幽体離脱で老婆の霊に迫られており、エリーズとはその時に知り合ったと話す。
ジョシュのその記憶を封じることで老婆の霊から逃れたが、エリーズはジョシュにそれを思い出させることで幽体離脱を再びできるようにし、ダルトンの魂を迎えに行かせることにする。
幽体離脱したジョシュは、ダルトンの魂を追ってダルトンのスケッチにあった赤い扉にたどり着く。
ダルトンはその扉の奥で泣いており、ジョシュとダルトンは霊体で再会を果たす。
しかしその光景を赤い顔の怪人が見ており、ジョシュはダルトンを連れ一目散に逃げ出す。
帰ってきたふたり
エリーズたちがいる現実世界でも、幽霊たちが次々と入り込んできていた。
ルネはジョシュの肉体に懸命に呼びかけて二人の魂を呼び戻そうとする。
ジョシュに魂はかつて自身を狙っていた老婆の霊と遭遇していたが、勇敢に立ち向かうことで現実世界に帰ってくることに成功する。
ダルトンも赤い顔の怪人の追われていたが、無事現世に帰ってきて、昏睡状態から目覚める。
全てがうまく行ったかのように思われたが、エリーズはジョシュの態度に不自然なものを感じていた。
エリーズがジョシュの写真を撮るとジョシュは激怒し、エリーズはジョシュに絞め殺される。
後から様子を見にきたルネが写真を見るとそこにはあの老婆が写っており、ジョシュに後ろから話しかけられたルネは思わず息を呑むのだった。
レビュー・考察
転居した家族を襲うホラー!
というド定番な題材ながら、基本となる恐怖描写を丁寧に描いて、後半ひねりを加えて先の読めない展開にしたホラーの傑作。
ホラー描写は変な人が突然出てくるびっくり箱タイプで目新しさはないが、そのタイミングや出し方の演出が実に見事。
じわじわと迫ってくる様子が丁寧に描かれている。
しかし前半の王道的な展開は、エリーズの登場で一転する。
呪われた屋敷なんてのはホラーではよくある話で、ここまで王道ホラーやってきたこの映画でも、引っ越した新居が悪かったと誰もが思っていた。
何なら視聴者だけでなく登場人物もそう思っていた。
しかしエリーズによれば実はダントンが幽体離脱の達人で、魂が道に迷って肉体に帰ってこれなくなった。
その空になった肉体を狙って悪霊が集まったというのだ。
特定の呪われたアイテムが原因ではなく、人物の体質が悪霊を呼び込んだというなかなか稀有な事例のホラー。
引っ越しイベントはブラフか…、なかなかやりおる。
エリーズが出てくるあたりの描写も霊能力者特有の怪しさがうまく表現されている。
エリーズの助手たちは怪しげな機械を使ってようわからん作業を始めるし、風貌もチープで胡散臭い。
エリーズも自分にだけ霊が見える、スケッチするとこんな赤い顔でした!とか詐欺師くささ全開である。
そう、この映画は王道的展開で始まって、その後の展開はいろんな妄想を掻き立てる予想不可能なものになっている。
実は全部ルネの妄想で、エリーズが詐欺師でしたとか
エリーズこそが悪霊のシャーマンで諸悪の根源でしたとか
見ている途中では、そんなラストも予想したが、結局視聴者目線でエリーズを疑ったジョシュが、ダルトンの幽体離脱スケッチを発見したことで、エリーズが本物だったことが確定する。
しかも昔ジョシュ自身が幽体離脱で老婆の悪霊に狙われており、ダルトンの幽体離脱スキルはジョシュから遺伝したものだったという衝撃の事実が明らかになる。
それ早く言ってよお母さん!
結果的に幼かったジョシュから幽体離脱の記憶を消すことで、悪霊を遠ざけたのは正しい判断で、結局ジョシュは、ダルトンを助けるために老婆に体を奪われてしまった。
何なんだこのエネルギッシュ婆さん!?
そういえば霊の世界でダルトンを追っていた赤い顔の怪人を倒した描写って一切なかったな。
ってことは元気に帰ってきたと思われたダルトンも実は…?
高品質の王道的な展開から始まって、中盤から激動してラストまで安心させない作りは見事。
王道ホラーが好きな人も、捻ったホラーが好きな人も、グロなしなので安心して楽しめます。
伏線回収の続編