事実は1つ、真実は人の数だけ…
あらすじ
トレバーという男は異常なほど痩せており、見れば誰もが心配したくなるほどだった。
彼の尿からは薬物が検出され、さらに不眠症でこの1年眠っていなかった。
ある時、勤務する工場で事故が起きて同僚の腕が犠牲になる。
事故の原因調査でトレバーはアイバンという男に気を取られたからだと答えるが、アイバンという男は工場にいないと返される。
トレバーには行きつけの喫茶店があり、仲の良いウェイトレスのマリアに子供のニコラスと遊園地に行って欲しいと誘われる。
工場の帰り、トレバーはアイバンを見つけ、ともに行ったバーでアイバンが同僚のレイノルズと映っている写真を盗む。
ウェイトレスのマリア母子と遊園地に行ったトレバーはニコラスの写真を撮ろうとして妙な感覚に襲われる。
その帰り、マリアの家に誘われたトレバーは冷蔵庫に貼ってあった母の日の手紙を見る。
その手紙を見て、自宅の冷蔵庫に貼ってある「_ _ _ _ER」と書かれた歯抜けのメモは「MOTHER」と書いてあるようだった。
そして、かつて自分が母親と遊園地に行った時に撮った写真を見ると、映っていた少年はニコラスそっくりだった。
工場でトレバーが働いていると機械が勝手に動き出しトレバーは腕を失いそうになる。
なんとか機械は止まりことなきを得たが、トレバーが周囲を疑い暴れたため彼は工場を解雇されてしまう。
トレバーは自宅で冷蔵庫が血まみれになっているのを見つけ、そこに貼ってあった「_ _ _ _ER」のメモには「MILLER」と書いてあるようだった。以前事故で腕を失った同僚のミラーを訪ねたトレバーは、トレバーがあった事故の原因をミラーの怨恨にあると疑い、彼を問い詰めるが、腹を殴られ返り討ちにあう。
その帰り、再びアイバンを見つけたトレバーは彼の車を追いかけ、ナンバーを警察で照会すると、その車は昨年トレバーが事故で廃車にした車だった。
トレバーが家に帰ると仲の良い元娼婦のスティービーと会い、一緒に住もうという話になる。
しかし、スティービーの家でアイバンの写真を見つけたトレバーはスティービーを疑い彼女を問い詰めるが、スティービーは写真に映っている男こそトレバーであるという。
行きつけの喫茶店にマリアを訪ねたトレバーだったが、マリアという従業員はいないと言われ激昂する。
行く宛もなく車を走らせたトレバーは偶然アイバンを見つけるが、アイバンは何故かニコラスを連れていた。
アイバンを追ったトレバーはナイフでアイバンを殺したが、ニコラスの姿はどこにもなかった。
自宅の血まみれの冷蔵庫にはアイバンの写真に映っていた魚が入っており、自身がアイバンであることは明白だった。
冷蔵庫には「お前は誰だ?」のメモ。そしてトレバーは一年前、自身がニコラスを轢き逃げしたことを思い出す。
冷蔵庫の「_ _ _ _ER」のメモには「KILLER」と書いてあるようだった。
トレバーは警察に自首し、やっと安心して眠りについたのだった…
レビュー
妄想まっしぐらの世界を生きた男の話。
なんだけど、この映画の面白いところは精神疾患の目線を主観的に描いたところ。
客観的に見れば明らかに異常なのに、どういプロセスで異常な行動に出てしまうのかがよく描かれている。
その最たる例が「_ _ _ _ER」のメモ。
客観的には単なるに意味不明のメモなんだけど、トレバーの主観的にはその時々の状況に応じていろんな内容に様変わりする。
ある時はMOTHER、ある時はMILLER、そしてまたある時はKILLERである。
そんなんに触発されて行動するもんだから、他人には意味不明の狂った行動でも、本人には辻褄が合っており、合理的な行動になってしまっているのがよくわかる。
でもよく考えると、これって社会生活に不都合が出るか否かの問題だけで、多かれ少なかれみんな抱えているんじゃないのかな〜
抽象的な同じ絵を見せて個々がなんの絵に見えるか試すロールシャッハテストとかあるけど、個々が目や耳で知覚した情報を脳がキャッチして世界を認識するんだから、個々で世界の見え方は違う。
同じ環境にいても天国になる人と地獄になる人が生まれる所以である。
他人がようわからんことしてもそれは世界の見え方が違う、大袈裟に言えば生きている主観的な世界が違うんだからそれは当然なんだよな。
この映画見て、相手はどんな世界いるのか考えようとか思わされたよ。
全体的にこの映画、家のデザインセンスがいいね。
あらゆるところ無印良品のような白の小物で統一されており至ってシンプル。
刑務所も白すぎてまるで未来、ロストエモーション的なディストピアな世界だぜ。
白いのは病院のイメージ、なのかな…
そんな相手の立場に立って考えるたくなる病んだ一本。こんな世の中だからこそ必要なのかもしれんなぁ…