2010年のノルウェー映画
北欧の伝説の妖精、トロールを追うドキュメンタリー映画
映画「トロールハンター」はどんな映画?
あらすじ
ノルウェーの大学生トマスは仲間と密猟事件を取材をしていた。
公式発表では熊による事件とされていたが不自然な点が目立つ。
熊ハンターへの聞き込みで見つけた怪しげな髭面の男ハンス、彼は夜な夜な車で出かけていくという。
彼の後を追いかけ夜の密林に入るトマスら。
だが、先を行っていたハンスは急に戻ってきて叫ぶ「トロール!!」と。
ハンスの後を追うトマスらだったが、トマスがなにかにつかまり肩に大けがを負う。
トマスを襲った何かを殺しに行くというハンスに、言うことを聞くことを条件に同行するトマスら。
そこでトマスらが見たのは3つの頭をもつ身の丈15mはあろうかと言う巨人だった。
追いかけてきた巨人に車に搭載した紫外線を当てるハンス、すると巨人は石になりその場に崩れ落ちた。
レビュー
北欧のおとぎ話で語られるトロールは実在した!
この映画はそれを証明するドキュメンタリーである。
この映画なんと会社に送られてきたテープを無編集で使用していると言うのだ。
謎の生物トロールから人々を守るため、1人で戦う男ハンスの活動を克明に描いている。
ハンスはワイルドな男だ。
臭いトロール臭を身体中につけ、毎晩密林を彷徨う。
しかしその身なりが決して汚れることはない。
いつでもハーレーに乗って旅立てそうな、そんなこぎれいな格好をしている。
トロールハンターともなると汚れない密林の歩き方をマスターするらしい。
その割に車がぼろぼろなのは駐車が苦手なんだろう、きっと。
トロールが現れた時やたらうろたえて全力ダッシュで逃げてきたのも、きっと戦略的撤退だったんだろう。
そしてトロールの存在を隠す政府、その隠蔽工作は精緻を極める。
今回用意したのはクマである、こいつを犯人に仕立て上げようと言うのだ。
まるでぬいぐるみのようなクマである。
密猟者に狩られたはずなのに血の一滴も流れていない。
きっと不自然な点をあえて残すことで真実から人を遠ざける高等戦術だ。
おのれ、なんという悪辣さだ!
不自然な点が気になりすぎてクマの存在が自然に思えてくるじゃないか!
そんな世界に足を踏み入れた勇気ある学生トマス。
なぜ密猟者の取材をしようと思ったか、リアリティ溢れるドキュメンタリーである本作では丁寧に説明してくれない。
察するに近年多発するぬいぐるみみたいなクマの密猟事件に、不審な点を覚えたのだろうことは想像に難くない。
この危険すぎる取材をする彼らの覚悟は本物だ。
ろくな装備もなしに夜の密林にはいりこみ、謎の生き物に捕まって大怪我をして、自身の車を大破されても決してへこたれることはない。
それどころか観光地へ行くかのようなワクワク感さえたぎらせているではないか!
このウェーイ系の大学生のようなノリの軽さ、死地に向かう武士が、せめて前向きに倒れたいという心意気にちがいない。
あとでカメラマンが大変なことになるが、それでもめげないのは流石である。
なぜトロールを隠しておかなくてはならないのか?
なぜ危険なトロールを生かしているのか?
太陽に当たると死ぬ巨大なトロールは昼間どこにいるのか?
まだまだ謎だらけのトロール、その謎はこの迫真のドキュメンタリーを見たみんなが解き明かして欲しい。
ちなみにラストの首相の発言は紛うことなき本物である。
決して編集ではない。
あとこの映画、何気にノルウェーの雄大な自然がたいそう美しい。
単なる旅行記として見ても満足できるはずだ。
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