本当の自分はどこにいる?
2014年のドイツ映画
出演者はトム・シリング、エリアス・ムバレク、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング、アントニオ・モノー・Jr
天才的ハッカーを扱ったクライムサスペンス
こんな人にオススメ!
・サイバー犯罪に興味がある
・どんでん返しが欲しい
・一人遊びが好き
プライムビデオ「ピエロがお前を嘲笑う」が5分でわかる!
あらすじ
・ピエロのハッカー集団
ハッカーのベンヤミンは、中学時代の同級生マリに憧れていた。
大学生になったマリはベンヤミンのことを覚えていなかったが、宅配ピザのバイトで再会したベンヤミンに大学の試験問題を盗めないか相談する。
ベンヤミンは大学のサーバーに侵入し、試験問題を盗もうとするが、大学に露見し逮捕される。
ベンヤミンは初犯だったので奉仕活動への従事で免除される。
この奉仕活動で、ベンヤミンは大胆不敵な男マックスと運命的な出会いをする。
パーティに誘われたベンヤミンは、マックスにサイバー犯罪仲間のシュテファンとパウルを紹介してもらう。
パーティ会場はマックスが他人の家を勝手に借りていたものだったで、パーティ会場は警察の捜査を受ける。
ベンヤミンらはパーティ会場にいたマリを連れて逃走し、この件でマリは同級生だったベンヤミンのことを思い出す。
数日後、ベンヤミンはマックスと再会し、お互いネットのダークヒーローMRXの信奉者であることを話す。
マックスはベンヤミンをシュテファン、パウルの元に連れていき、ネオナチの集会をハッキングし下品な映像を流す攻撃を成功させる。
この4人のチームはCLAYと名乗り、金融会社や医薬品メーカーを攻撃する。
CLAYはハッキングを繰り返し、ピエロのハッカー集団として人気は急上昇する。
・連邦情報局への挑戦
しかしMRXはCLAYを無視、その注目はハッカー犯罪集団フレンズに向かっていた。
フレンズは欧州中央銀行をハッキングしており、ドイツ連邦情報局のサイバー犯罪の最高責任者ハンネが捜査に当たっていた。
その頃CLAYはクイズ番組で不正に入手したポルシェで走り出し、ドラッグパーティを楽しむ。
人生で変わる時が来たと考えたベンヤミンは、ポルシェでマリを迎えに行き、マックスのように大胆に迫るがマリに受け入れてもらえず、マリの友人にも殴られる。
そんなとき、CLAYの元にMRXからメッセージが届く。
それはハンネの署名が入った調査報告書で、CLAYを無害な集団として報告したものだった。
MRXはCLAYを無視していることを伝えるためメッセージを送っており、怒り悔しがるマックスにベンヤミンは連邦情報局をハッキングすることを提案する。
まずCLAYは連邦情報局のゴミ箱から入手した情報から、入管証発行担当者のパソコンに侵入する。
入管証を手にしたCLAYは堂々と連邦情報局に潜入し、連邦情報局のサーバーに侵入し、通信プロトコルを乗っ取り大量の犯行声明を残すことに成功する。
しかしこの時ベンヤミンは、連邦情報局の局員リストを密かに盗んでおり、それをMRXに送信する。
・嵌められたCLAY
翌日、フレンズの一員が殺害される事件が起こる。
殺されたのはフレンズに潜入捜査をしていた連邦情報局の局員で、ベンヤミンが渡したリストに名前があったので殺害された。
実はMRXこそがフレンズの一員で、MRXが指示して局員は消されていたことがわかる。
さらにこの事件はCLAYが起こしたものとして、犯行声明が出されており、CLAYはMRXにはめられたことに気がつく。
政府の機密漏洩と殺人事件に関与したことで、マックスらは動揺するが、ベンヤミンはMRXを捕まえ冤罪を晴らすことにする。
CLAYはMRXにフレンズに入りたいと伝え、MRXからユーロポールにトロイの木馬型ウイルスを仕掛ける仕事をもらう。
CLYAはトロイの木馬にトラップを仕掛け、MRXがユーロポールにアクセスすると、MRXの居場所がわかるようにする。
トロイの木馬を仕掛けるためCLAYはユーロポールにあらゆる角度から潜入を試みるが、その守りは鉄壁だった。
そこでベンヤミンは忘れ物を装ってユーロポールに潜入し、施設内にトロイの木馬を仕掛けた偽のアクセスポイントを設置することに成功する。
ベンヤミンはこの仕掛けをMRXに渡そうとするが、MRXはトロイの木馬に仕掛けたトラップを見破っていた。
逆に警察に通報されたベンヤミンはユーロポールに追われることになる。
ベンヤミンはなんとか逃げ切ったものの、CLAYの他の3人は全員何者かに殺害されてしまう。
・ベンヤミンの真実
ベンヤミンは連邦情報局のハンネにMRXの逮捕に協力する代わりに証人保護を求める。
ベンヤミンはプライドの高いMRXを巧みに挑発し、トラップで居場所を特定、MRXはニューヨークで逮捕される。
ハンネはベンヤミンの素性を探るべく、彼を育てた祖母の主治医を訪ねる。
話を聞くと、ベンヤミンが幼いときに自殺した彼の母は多重人格で、4つの人格を持っていた。
多重人格には遺伝の可能性があり、ベンヤミンがハッキングの際に服用していた抗精神剤リタリンが原因となり症状が悪化するという。
ハンネはベンヤミンの証言に出てきたマックスたちCLAYメンバーの死体を探すが見つからず、現場に落ちていた薬莢もベンヤミンの祖父の形見だった。
マックスもシュテファンもパウルも実は全てベンヤミンの人格の一部で、CLAYとはベンヤミン自身だった。
ベンヤミンの精神疾患が明らかとなり証人保護は無効に、MRXを売ったベンヤミンはフレンズに殺されると絶望する。
ハンネは自らベンヤミンを護送し、密かに彼をサーバールームに連れて行く。
ハンネはベンヤミンに5分与え、ベンヤミンはハッキングで自身の個人データを抹消する。
『名無し』という新しい名前を手に入れたベンヤミンの傍にはCLAYのメンバーが全員いた。
ベンヤミンは自らが多重人格であるとハンネをミスリードすることで、CLAYメンバーの存在を消したのだ。
バレた時のことを心配するパウルに、ベンヤミンはハンネも真実に気付いていると話し、もうトリックはいらないと語るのだった。
レビュー・考察
CLAYとは“Clowns Laughing At You“【ピエロがお前を嘲笑っている】の略。
このサイコーにイカしたチームのメンバーは4人。
マックス:リーダー格、イカれた度胸とカリスマを持つ
シュテファン:セキュリティホールを見つける天才
パウル:笑わない男。ハード担当。
ベンヤミン:4人が出会ったパーティ会場で、ハッキングで街一帯を停電させたことがきっかけで、マックスに実力を認められた。
Clownが複数形だが、その実ベンヤミンひとりで、全て彼の多重人格の一部。
ドラッグパーティとかポルシェでドライブとか派手な遊びが好きなチームだけど、実は1人で遊んでいるだけでしたとか結構シュール。
ベンヤミンが20代で、他は3人とも30−40代でみんないい大人なんだけど、やっていることはほとんど悪ガキ。
めちゃくちゃすごい技術でしょうもない悪戯ばかりやってのける。
・ネオナチの集会でヒトラーをバカにする動画を流す。
・株価のチャートをハッキングして下品なマークを描く。
・製薬会社ビルの部屋の電気を操って『私たちは動物を殺しています』と表示。
決して大金を盗むとか人を殺すとかそういう巨悪はしない。
でもダークウェブで認められたい。
そういう大人になれない男たちの集まりがCLAY。
対照的にフレンズはガチの犯罪ハッカー集団。
銀行への侵入や殺人までやってしまう。
憧れのMRXに認められてくて、フレンズに対抗しようとするCLAY。
対抗策は連邦情報局の通信プロトコルを乗っ取り、プリンターにメッセージを残すこと。
あくまで悪戯レベルなのが可愛い。
ラストはベンヤミンがMRXを追い詰めて冤罪を晴らすが、自身の多重人格が明らかになりゲームセット。無罪放免はお預けになる。
ここで終わりかと思いきや、ここからが延長戦の2番底。
実はベンヤミンの目的は連邦情報局のサーバールームに入ること。
そのためには一度証人保護を求めて、そこから精神疾患で証人保護には不適合とされる必要があった。
目論見通りハンネの温情でサーバールームをハッキングしたベンヤミンは、そこで自分の名前を消して新しい名前をゲット。
自分の名前を全部消したから新しい名が『名無し』になった。
最後の10分で全部裏の裏をいく本作、意外性が好きなみなさんにおすすめです!
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