【人間心理を描くエイリアン】映画「スプートニク」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2020年ロシアのエイリアンホラー
主演者はオクサナ・アキンシナ, フョードル・ボンダルチュク, ピョートル・フョードロフ

こんな人にオススメ!
・変わったエイリアンものが見たい
・心理描写を読み取る映画が好き
・重厚感ある作風が良い

映画「スプートニク」が5分でわかる!

あらすじ

タチアナの任務

宇宙から帰還する途中のシャトルで事故が起こる。
地上に墜落したシャトルから宇宙飛行士が出てくるが、一人は頭部を欠損して死んでおり、もう一人は生きていたものの様子がおかしかった。

軍医のタチアナは患者に荒療治をし、軍を解雇されるか裁判を受けるかの選択を迫られていた。
そんなタチアナの元に軍の大佐セミドラフが訪れ、特殊な記憶障害の患者を診てほしいと依頼をする。
タチアナはセミドラフとカザフスタンの研究所を訪ねると、その患者は先日シャトルで地球に帰還した宇宙飛行士ヴァシュニャコフであることがわかる。
タチアナがヴァシュニャコフと面会すると、私物の人形を持っており、釈放を求めていた。

夜になり、セミドラフに呼び出されたタチアナはヴァシュニャコフの口からエイリアンが出てくるのを見る。
エイリアンは宿主を傷つけずに体内を出入りしており、タチアナの任務はその関係を断ち切ることだった。

エイリアンの食事

エイリアンに寄生されたヴァシュニャコフだったが、心身ともに健康で体の再生能力はむしろ向上していた。
タチアナはヴァシュニャコフが結婚しなかった女性と、その間にできた息子のことを問う。
するとヴァシュニャコフは女性が亡くなったことを宇宙飛行の1週間前に知り、孤児院に入れられた息子は宇宙から帰ったら引き取る考えであったと話す。
タチアナがこの話をしたのは、ヴァシュニャコフにストレスを与え、そのホルモンバランスの変化を観察することでエイリアンが何を摂取しているのか調べることだった。

その夜、タチアナは再びエイリアンと向き合い、エイリアンがヴァシュニャコフが持っていた人形に反応することに気がつく。しかしタチアナは部屋の中で転げてしまい、エイリアンに襲われ負傷してしまう。

タチアナは、エイリアンがヴァシュニャコフと意識を共有しており、その記憶を奪いながら外に出れる時間を伸ばしていると考える。
さらにヴァシュニャコフの昼夜のホルモンバランスに不自然なものを感じたタチアナは、エイリアンに何を食べさせているのか医師のリーゲルに問い詰める。
タチアナは密かに刑務所に忍び込み、囚人がエイリアンの餌にされていることを知り、囚人が恐怖することで分泌するコルチゾールというホルモンを食べていることがわかる。

セミドラフの意地

タチアナはヴァシュニャコフをジョギングに連れ出し、エイリアンが体内にいることを密かに伝える。
ヴァシュニャコフの部屋に来るよう言われたタチアナは、そこでヴァシュニャコフがエイリアンと意識を共有していることを知る。

ヴァシュニャコフはエイリアンが人を食べていることをを知っており、タチアナは罪悪感を感じないのかと責める。
タチアナはヴァシュニャコフに囚人を食わせていたセミドラフも責めるが、セミドラフは囚人は極悪な犯罪者だと言い、嘘の報告を上層部に上げることでヴァシュニャコフの名誉を守っているという。

タチアナはセミドラフとエイリアンが囚人を食べる場面に立ち会う。
タチアナは自ら檻に入りエイリアンにヴァシュニャコフが宇宙船で歌っていた歌を聴かせる。
するとエイリアンは大人しくなったが、恐怖した囚人が逃げようとし結局エイリアンに食べられてしまう。

タチアナはこの研究所を密かに脱出することを決める。
タチアナはエイリアンがコルチゾール分泌のないアジソン病の患者には寄生できないことを突き止めており、人為的にアジソン病を起こす薬をヴァシュニャコフに投与し分離しようとする。
しかしヴァシュニャコフは、エイリアンに寄生されたことは、息子より宇宙を選んだ自身への罰であると考え受け入れない。

タチアナはヴァシュニャコフと研究所を逃げ出すが、その様子は監視カメラに捉えられており、セミドラフと兵士が二人を取り囲む。
リーゲルは研究所で囚人が殺されたことを何処かに電話で告発し、セミドラフに殺される。

追い詰められたヴァシュニャコフが自らに薬を投与すると、体内からエイリアンが出てきてそれを兵士らが取り囲む。
エイリアンは兵士を次々に倒すが、セミドラフに撃たれ捕まってしまう。

英雄の最期

エイリアンが暴れている隙に、タチアナとヴァシュニャコフは車で研究所から離れていたが、その途中でヴァシュニャコフが血を吐き倒れる。
ヴァシュニャコフはエイリアンなしでは生きられない体になっていたのだ。

エイリアンはヴァシュニャコフと完全に共生しており、分離は不可能であるとタチアナは悟る。
そこに追いついてきたセミドラフは、瀕死のエイリアンを連れてきていた。
ヴァシュニャコフがエイリアンのような叫び声を上げると、エイリアンは復活しセミドラフに襲い掛かり殺す。
エイリアンはヴァシュニャコフの体内に戻り、ヴァシュニャコフは回復するが、その直後銃で自らを撃ち自殺する。

その後、タチアナはヴァシュニャコフの息子を引き取りに孤児院を訪ねるのだった。

レビュー・考察

エイリアン映画ながら、主軸はエイリアンではなく心理描写という珍しい作品。

タチアナの矜持

エイリアンは宿主であるヴァシュニャコフの記憶を食べて生きている。
ヴァシュニャコフが記憶障害だったのはこのためで、エイリアンは彼が捨てた息子のことで感じた罪悪感を共有している。
だからエイリアンにはヴァシュニャコフが子供ために買った人形を大事にするし、ヴァシュニャコフが歌っていた歌を聴かせれば大人しくなる。

しかし問題はここからで、ヴァシュニャコフもまたエイリアンと記憶を共有していることがわかる。
ヴァシュニャコフはエイリアンが囚人を食べていることを知っており、タチアナは罪悪感を感じないのかと責める。

タチアナの人命第一の考え方は彼女が医者としての矜持を持っていたからにほかならない。
本作にはもう一人の医者リーゲルも出てくるが、彼はノーベル賞欲しさにエイリアンの研究をしており、囚人が食べられることになんとも感じていなかった。
しかしそんなリーゲルもラストにはタチアナに触発され、囚人殺しをどこかに告発しセミドラフに殺されてしまう。

セミドラフの思い

セミドラフは宇宙飛行士で英雄扱いのヴァシュニャコフの名誉を守りたいと考えていた。
ヴァシュニャコフが生きるために、共生したエイリアンに囚人を食べさせ、軍法会議覚悟で嘘の報告を上げていた。
セミドラフは祖国の英雄がエイリアンに寄生されたことで、祖国の名誉が傷つくことを恐れていた。

そのために自身の身も顧みずヴァシュニャコフの秘密を守り、ヴァシュニャコフからエイリアンを分離しようとタチアナに治療を依頼したのだ。
この辺の祖国の名誉とかが重要な価値観になっているあたりにロシア映画っぽさがある。

一縷の光明

最終的にヴァシュニャコフは自殺してしまう。
それはもう人間として生きられない悲しみか、息子を捨てた罪悪感か、大勢の人を殺めてしまった負い目か…

救いのないラストだが、ヴァシュニャコフの息子をタチアナが引き取って救いのあるエンドとなっている。

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