2020年アメリカのスリラー映画
主演者はラッセル・クロウ, カレン・ピストリアス, ガブリエル・ベイトマン
こんな人にオススメ!
・つい前の車にクラクションを使ったことがある
・煽り運転の恐怖を知りたい
・現代社会の闇を垣間見たい
映画「アオラレ」が5分でわかる!
あらすじ
悪質ドライバー
美容師のレイチェルは弟のフレディとその婚約者メアリー、息子カイルの4人で暮らしていた。
その日寝坊したレイチェルはカイルを学校に送るところだったが、どこも激しい渋滞で仕事にも間に合いそうにない。
レイチェルは職場に遅刻を連絡するが、自分の美容院を失って以来いい加減になっていたレイチェルはとうとう仕事をクビになってしまう。
レイチェルはその電話を運転しながら取り、渋滞する高速の路肩を走って下道に入るが、信号で目の前に止まったトラックは、信号が変わっても動かない。
苛立ったレイチェルは乱暴にクラクションを鳴らし、すれ違い際に悪態をつきトラックを抜き去っていく。
後を追ってきたトラックのドライバーは、渋滞に捕まったレイチェルに車ごしに話しかける。
トラックドライバーのトムは、レイチェルの礼儀がなっていないと言うが、お互い不幸なことがあったようなので謝り合うことで赦そうと持ちかける。
トムはレイチェルに謝ったが、レイチェルは謝罪を拒否しそのまま悪態をついて走り去ろうとする。
トムはレイチェルの車を強引に抜き、前に出て急ブレーキを踏む。
トラックはレイチェルの進路を塞ぐように立ち塞がるが、やがて姿を消しレイチェルとカイルは安堵する。
レイチェルはカイルを学校に送り届け、離婚のことで相談していた弁護士のアンディとレストランで待ち合わせをする。
怒りのトム
ガソリンスタンドに向かったレイチェルだったが、中の売店に入っている間にトムのトラックが来ているのに気がつく。
店員に相談すると居合わせた男がトラックのナンバーを控え、トムの行為を止めようとする。
しかしトムはその男を躊躇なく轢き、レイチェルの車を追いかける。
ガソリンスタンドから逃げたレイチェルだったが渋滞に捕まり、その後ろからトムのトラックが容赦なく追突してくる。
レイチェルは警察に通報しようとスマホを探すが見当たらない。
ガソリンスタンドにいる間にスマホはトムに盗まれていたのだ。
レイチェルは乱暴に車を走らせ、住宅地を逆走し事故を起こしそうになりながらもなんとかトムを振り切る。
トムはレイチェルがアンディと待ち合わせをしていたレストランに行き、レイチェルの友人を名乗りアンディと会う。
トムは、レイチェルが電話に出ないことに困っていたアンディに、レイチェルが電話を取るか賭けをしようと申し出る。
トムが電話をかけると、レイチェルは車にいつの間にかあった見知らぬ携帯が鳴る。
トムはレイチェルに謝罪と不運の意味を教えると言い、突然アンディをコーヒーカップで殴る。
トムはなおも暴力を続け、最後にはアンディの頭部をナイフで刺して殺してしまう。
止まない追撃
トムはレイチェルのスマホからレイチェルの母やカイルの存在を突きとめていた。
トムはレイチェルに次は誰を誰を殺してほしいと迫り、レイチェルは今朝方彼女をクビにしたデボラを指名する。
デボラの元にはレイチェルが呼んだ警察がくるが、その時すでにトムのトラックはレイチェルの自宅前に停まっていた。
トムはメアリーに暴力を振るい、フレディの手でメアリーを殺させる。
トムはフレディを椅子に縛り、レイチェルのせいでメアリーが死んだと手紙を書かせる。
トムはフレディを脅し、その手紙をレイチェルに読んで聞かせる。
その時、警察が立ち入りトムの肩を拳銃で撃つ。
負傷したトムは、フレディに火をつけ警官の方に投げ、警官が怯んだ隙に家の外に逃げ出す。
レイチェルはカイルを学校に迎えに行き、そのまま警察署に向かうが、その途中シートの下にタブレットがあるのを見つける。
そのタブレットで自身のスマホの場所を探すと、すぐ近くにいることがわかる。
レイチェルは道路を走行中のパトカーに助けを求めるが、トムが起こした玉突き事故にパトカーは巻き込まれ大事故になる。
トムの最期
レイチェルは迷路のように道が入り組んだ母の家に行き、路地でトムが迷っている間に車を母の家に隠す。
カイルは緊急通報をしてから物置に隠れ、レイチェルは武器になりそうなものを探す。
トムは母の家の停めてあるレイチェルの車を見つけるが、レイチェルはトムが気を取られている隙に、母の車でトムに突っ込む。
レイチェルはゴルフクラブでトムにとどめを刺そうとするが返り討ちにあう。
家の中に入ったトムは、警察を装いカイルを誘き出そうとする。
カイルの元にレイチェルが助けに来るが、その直後レイチェルはトムに捕まる。
レイチェルはトムと格闘になるが、トムには敵わずカイルが首を絞められる。
レイチェルは隠し持っていたハサミでトムの目玉を刺し、さらにハサミを蹴ってトドメを刺す。
こうして事件は解決し、緊急通報でやってきた警官に二人は保護される。
レイチェルはカイルと車で自宅に帰ろうとするが、その途中一台の車が交差点で飛び出してくる。
レイチェルは反射的にクラクション鳴らそうになるのを堪え、家路に着くのだった。
レビュー・考察
トムの攻撃
トムは怪我で仕事を失い、妻には離婚され、全てを失った。
レイチェルに乱暴にクラクションを鳴らされても、お互い様で許そうとしたあたり、根っこの部分は優しい人だった感じがする。
しかし理不尽な高ストレス社会は、そんな彼を悪鬼に変えてしまった。
トムを止めようした男を容赦なく轢き、弁護士のアンディを刺し殺し、メアリーをフレディの手で殺させ、フレディを生きたまま燃やす。
レイチェル本人に攻撃するのはもちろんだが、周囲から追い詰めていく手腕は実にいやらしい。
レイチェルの肉体面だけでなく精神面から追い詰める。
ヤンママレイチェル
ラストはレイチェルがトムを倒して終わるが、よく考えてほしい。
元はと言えばレイチェルが寝坊したのが悪い。
寝坊してなお余裕で朝食を取っている様に反省の色は微塵もない。
それでレイチェルは仕事に遅刻しクビになり、イラついて自分勝手にトムに悪態ついていた。
トムは真摯に振る舞い、謙虚に謝ったのに、レイチェルは謝るどころかさらに悪態をついしまう。
それ以外にもレイチェルはスマホ運転を繰り返し、渋滞を路肩走ってパスするなどやりたい放題。
マナーの欠片もないフリーダムドライビングを繰り返していた。
これトム少しも悪くないよね!?
執拗にレイチェルを追い詰めるトムは確かに怖いが、同時に応援したくもなってしまう。
もうどう考えてもレイチェルがクソすぎて…
息子のカイルの方がトムに謝った方がいいとレイチェルを嗜めるなどよっぽど大人。
この事件を通しレイチェルはクラクションを堪えることを学ぶが、こんなクズで短気な人が長続きするとは思えない。
どうせまたすぐに寝坊して同じことを繰り返すようになるに違いない。
こんな人に絡まれたトムの不幸には同情せざるを得ない。
本当の原因は…
しかし本当に悪いのはトムでもレイチェルでもない。
理不尽で余裕のない高ストレス社会である。
人間は昔より良い暮らしができるようになったのに、なぜか苦しくなってしまう。
戦時中のように食うに食わずやの世でもないのに、毎日が息苦しい。
トムはそのことを理解しており、こんな世の中だから誰も謝れなくなっていると言っていた。
豊かさは果たして人類を幸福にしたのだろうか…??
この人誰??
名優ラッセル・クロウの狂気じみた演技は見事。
そのパワー系の体格はその乱暴さを際立たせる。
でもこの人こんなに太っていましたっけ??
役作りなのか謎だが、言われないとラッセル・クロウだと気付けないレベル。
彼がビューティフルマインドを取り戻すことを祈る。