【環境がつくる自己肯定感】映画「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」に学ぶ出会いの大切さ

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2019年のアメリカ映画
出演者はシャイア・ラブーフ、ダコタ・ジョンソン、ザック・コッサーゲン
ダウン症の青年が旅を通して自己肯定感を取り戻すドラマ映画

こんな人にオススメ!
・自己肯定感が下がっている方
・周囲の人間から受ける影響の大きさを知りたい方
・自然あふれるワイルドな旅を体験したい方

映画「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」に学ぶ出会いの大切さ

あらすじ

・三度目の脱走

ダウン症の青年ザックは、憧れのプロレスラーソルトウォーター・レッドネックの養成学校に入るため施設を脱走する。
身を潜めていると、兄を亡くし他の漁師の獲物を盗んでいた漁師のタイラーが、ガラの悪い漁師のダンカンに暴力を振るわれているのに出くわす。
タイラーは兄が持っていカニ漁の免許を買い戻すことができず、ダンカンに買われてしまっていたのだ。

驚いたザックは慌てて近くにあった船に身を隠すが、ダンカンに追われたタイラーがその船に乗り込んでくる。
タイラーはザックを乗せたままどこかに逃げ、その先で船を沈める。

ザックの存在に驚いたタイラーだったが、ザックを人がいるところに送り届け、自身はヒッチハイクでその場を後にする。
しかし検問が敷かれていることを知ったタイラーは引き返し、ザックが他の子にイジメられているのを助ける。

ザックが向かっているプロレスラーの養成学校はエイデンというところにあり、タイラーが向かうフロリダへの道中だった。仕方なくタイラーは、エイデンまでザックを連れて行くことにする。

・ザックの強み

その頃、ザックがいた施設の担当者エレノアはザックの居場所を追っていた。
エレノアがザックの情報を求めて入った店には偶然タイラーが買い出しにきていたが、タイラーは知らないふりをする。

ザックも追われる者であること知ったタイラーは友情の握手を交わし、人目を避ける旅を続ける。
道中で大きな川にぶつかったタイラーは、泳げないザックを引っ張りながら泳いで川を渡る。
しかしそこにタイラーを追ってきたダンカンの漁船が現れ、渡河中のザックが轢かれそうになるが、タイラーが必死で泳ぎことなきを得る。
疲れ果て倒れ込むタイラーをザックは軽々と引き起こし、ザックの怪力にタイラーは驚く。

その夜、ザックが悪役レスラーを目指すのは両親に捨てられたからだと聞く。
タイラーは善悪は格好ではなく魂で決まると言い、ザックが善玉であることは変えられないと伝える。
ザックは自身はダウン症で、かつてのコーチにもヒーローにはなれないと言われ自信をなくしていたが、タイラーはそんなことは魂と無関係だと元気づける。

旅の途中、タイラーとザックはボートを盗もうとするが、そこに持ち主である盲目の老人が現れる。
盲目の老人は神父で、二人は泉で洗礼を受けることを条件に、イカダの材料をもらう。

イカダで旅をしている途中、自分は弱いと言い出したザックのために、タイラーはピーナッツバターファルコンというリングネームを与える。

・人生を楽しむ旅路

同じ頃、エレノアも盲目の老人を訪ねており、イカダで旅をしている途中のザックとタイラーを見つける。
ザックを連れて帰ろうとするエレノアに、タイラーは旅を続けるといい、ザックも施設に戻らないと宣言する。
エレノアはタイラーとザックのイカダに乗り旅を共にすることになるが、タイラーはエレノアが内心ザックを見下していると感じ口論になる。

しかし二人の友情を見たエレノアは、いつしか旅を楽しむようになっており、すぐにザックを施設に戻そうとはしなくなっていた。
旅を楽しむ3人の元に再び漁師のダンカンが現れ、イカダを燃やす。
カニ漁の損金を払えと迫られたタイラーは命の危機に陥るが、ザックがショットガンをダンカンに突きつけ、タイラーを助ける。

・ピーナッツバター・ファルコンの誕生

エイデンに着いた3人は、ソルトウォーターのプロレスラー養成学校を訪ねる。
しかしソルトウォーターことクリントは、プロレスラーの養成学校は10年前に閉校しており、タイラーはソルトウォーターは引っ越してもういないとザックに説明する。

諦めのつかないザックは帰りたがらず、自分がみんなを家族として面倒を見るからここにいたいと言い張る。
そこにクリントがソルトウォーターの姿で現れ、ザックに稽古をつけるという。

稽古だけでは退屈だと考えたクリントは、翌日のプロレス興行の一幕にザックと相棒サムソンの試合をセッティングする。
プロレスは想像以上に本格的なもので、怖気付くザックをタイラーが力づける。

ザ・ピーナッツバター・ファルコンとしてリングに上がるザックだったが、サムソンはザックの相手をさせられることに不満を感じており、容赦なくザックを痛めつける。
しかしザックはソルトウォーターの必殺技アトミックスローで反撃、サムソンをリング外に投げる。
しかしこのプロレス会場にはダンカンの知り合いがおり、知らせを受けたダンカンはタイラーを凶器で攻撃、タイラーは病院に運ばれる。

頭を怪我したタイラーだったが無事退院し、エレノアが運転する車でザックとフロリダに向かうのだった。

レビュー・考察

一つでの出会いで、失った自己肯定感を取り戻す話。

ダウン症のザックは家族に捨てられ施設で育つが、ダウン症には何もできないと決めつけられ何もさせてもらえない生活を送っていた。
しかし毎日のようにビデオで見る憧れの悪役レスラーソルトウォーターの養成学校に入るため施設を脱走する。

漁師のタイラーは兄を失い、その兄が持っていたカニ漁の免許を買い戻せなかった。
無免許でカニ漁をしたためガラの悪い漁師のダンカンに襲われ、さらにカニ罠を燃やして逃げたのでダンカンに追われていた。

そんな二人が運命の偶然から、出会い旅に出る。

お尋ね者二人の旅は人目を憚るもので、まともな道は使えない。
タイラーも最初はヒッチハイクでフロリダを目指していたが、別件で検問が敷かれていることを知り引き返している。
そのため人のいない畑や川辺、時には海を移動しながら旅をする。

魚を釣り、畑のスイカを取っての旅は普通なら過酷でしかない。
しかしザックにとっては周りにタイラーしかいない環境は良かったのではないだろうか。
ダウン症のザックは反応が悪く、どこに行ってもウスノロ扱いだった。
エレノアもザックには何もできないと決めつけて、施設に閉じ込めていた。

しかしタイラーはザックを色眼鏡で見ることなく、銃や格闘技、水泳を教え色んな可能性を試させている。
これまでの周囲との関わりから自己肯定感を喪失していたザックも、タイラーとの出会いで自信を取り戻す。
終盤では自分は強いので、エレノアとタイラーを家族として面倒を見るとまで断言している。
これが人の多い街中を行く旅だったら、ザックはあちこちでウスノロ扱いされ自信を持つことはできなかっただろう。

さらにタイラーはずぶ濡れになった自身をあっさり引き起こしたザックに怪力という強みを見出している。
これがラストのアトミックスローにつながっている。
アトミックスローはソルトウォーターの必殺技で、相手をリフトアップしてからリングに叩きつける大技。
実はそれは映像トリックを生かしたイカサマだったが、ザックはその怪力でアトミックスローを実際にやってのけてしまう。

タイラーとの旅でザックは自己肯定できるようになっただけでなく、怪力という最大の長所を持つことができるようになったのだ。

自己肯定感と環境の大切さ

この映画私たちの実生活にも深く残る教訓を残している。
それは自己肯定感は、環境が造るということだ。

ある環境で、あなたが自身を持てず、自分の取り柄なんかないと思っていたとする。
毎日ウスノロ扱いされ、何もするなと言われているかもしれない。
でもそれはあなたを色眼鏡でしか見ず、長所を見つけようとしない人々しか周囲にいないからなのではないだろうか?
ザックもずっと施設にいたら、何もせずに一生を終えていたことだろう。

あなたの長所は必ずあるし、苦労しているのはむしろ人格が善良だからからこそかもしれない。
あなたの良いところを見つけることができる人々との出会いを求めよう。

自分の姿は自分では見えない。
他人という鏡を通してしか自分の本当の姿はわからないのだ。

もしあなたが自己肯定感を貶められていると感じたのなら、そんな環境ははすぐにでも脱出しよう。
ザックが3回も施設を脱走し、タイラーとの出会いで自己肯定感を取り戻したように…

わが家の娘にも自己肯定感を高めることができる学校や環境を用意してあげないとな。
なんて思わずにはいられない映画だった。

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