サイバーパンクディストピアサスペンス!
2018年のドイツ映画
主演者はクライヴ・オーウェン, アマンダ・セイフライ
いないはずの女ANON(=匿名)を追うSFサスペンス
こんな人にオススメ!
・ディストピアが好き
・サイバーパンクな世界観が好き
・大切な思い出は全てデータとして保管している
プライムビデオ「ANON」が5分でわかる!
あらすじ
・記録のない女
未来、すれ違う人たちの個人情報は網膜に表示され、人々が見たものは全て画像データとして警察が保管、あらゆる犯罪は不可能になった時代。
ある男が一人で他殺される事件が起こる。
被害者は犯人に視点をハッキングされており、被害者の最後の視点にも犯人は映っていなかった。
初の未解決事件に頭を悩ます刑事のサル。
しかし実は数ヶ月前にも個人情報が表示されない女による殺人事件が起きており、サルは以前街で見かけた個人情報が表示されない女のことを思い出す。
翌日サルが見た個人情報のない女の姿の画像データはいつの間にか消えており、女が自動的に記憶映像を削除するプログラムを走らせていることがわかる。
そんな時、女性二人が視覚をハックされ殺される事件が起こる。
現場で何者かに銃撃されたサルは地下鉄ホームまで犯人を追うが、視覚をハックされ逃げられる。
どの事件でも被害者の記憶映像には改ざんが行われており、サルは犯人がネット空間で人々の隠したい記憶を消すことを生業にしていると考える。
しかしいつもなぜか最後にはクライアントも殺しており、サルは女を雇い囮捜査をすることにする。
・囮捜査
サルにコンタクトをとってきた女はANON(匿名)と名乗り、サルの記憶データを削除した後、サルを殺そうとする。
しかし潜んでいた同僚がANONの通信を追っていたため、ANONはサルを殺せず逃走する。
女の視点をジャックすることができるようになったサルは、刑事の仲間と女の居場所を探ろうとするが手がかりは掴めない。
警察局長はサルたち捜査チームに最優先での捜査指示がだし、サルは再び囮捜査でANONを雇いことにする。
再びサルはANONと会い、彼女が自身の存在を消して生きてきたことを知る。
サルの記憶データを削除するため記憶を探ったANONは、そこで刑事の記憶を偶然見つけ、サルが刑事であることがバレてしまう。
結果ANONは査チームの一人を殺して逃走、囮捜査は完全に失敗に終わる。
・復讐
翌日、サルの元にANONから連絡が入る。
ANONはサルに様々な恐怖映像とサルの息子が事故で亡くなった時の映像を何度も見せ、彼の記憶データから次々と息子の記憶データを消していった。
さらにサルの視覚はハッキングされ、車で事故を起こした挙句自宅の隣人を射殺したとして警察に逮捕される。
サルは事件の捜査から外され、事件解決まで警察の監視の下停職することになる。
しかしサルは目を瞑ることで警察の視覚共有を欺き、見張りの刑事を倒してANONの自宅へ向かう。ANONは事件当時の映像をサルに送り、誰かがANONを犯人に仕立て上げようとしていると話す。
その場を去ったサルの元に刑事の上司が現れ、停職を破った罰として正式に解任される。
ANONはサルに呼ばれ家を訪ねるが、そこにはサルの部下サイラスもおり、サルは部下に撃たれる。ANONをはめたのはサイラスであり、サルにとどめを刺そうとしたところに生きていたサルに撃たれ追撃を受けて死亡する。
サルの息子の記憶データはいつの間にか復旧しており、サルはANONと会って隠れるから追われると話す。
サルはANONの隠している秘密を話すよう促すが、ANONは秘密はないと言い去っていくのだった。
レビュー・考察
みなさん、人を見ただけでその人の名前や経歴が視界に出てきたら便利だと思いませんか?
この映画では、見ただけでその人の全ての情報にアクセスでき、記憶までもがデータとしていつも記録されている。
インターネットにも脳から直接アクセスすることができ、自分が見た映像を直接相手に送ることすらできる。
でも何故か警察の会議は集まってやる。リモートでいいじゃない…?
そんな超進んだ情報化社会はスタイリッシュ。
パソコンもテレビもいらないから部屋の中はベッドとタンスくらいしかない。
コンクリートは打ちっぱなしで、不要な装飾は一切排除されている。
ビルの壁にはいつもけたたましく各社のロゴが並んでいるが、これは広告を脳内に直接送り込んでいるからで、実態としては殺風景なただの壁。
広告がなければ街中灰色の荒廃した近未来世界が広がっている。
進みすぎて無地ラーの部屋のごとくシンプルになってしまった社会の話。
そんな社会で個人情報の記録されていない女ANONが見つかる。
彼女は人々が残したくない記憶データをアンダーグラウンドに削除するのを仕事にしている。
個人の秘密など存在せず、全てが管理されたディストピアな世界ならではの仕事。
公共に残される記憶データが消えるだけで、脳内の記憶そのものが消えるわけではないのがミソ。
みなさんも大切な思い出はネットワークではなくローカルに保存するか、自らの脳にしっかりと刻み込みましょう。
技術が進んでもそういう本質的な部分は変わらないのが現実的。
人々の脳内には常に情報が注ぎ込まれうるさいが、実体としては暗く静かすぎる社会が不気味に未来。
インターネットが進んでも、麻薬や浮気、性癖を隠そうとする人間の業は変わっていないのが妙なリアリティがあって怖さを感じさせてくれ、引き込まれる。
どうでもいいけどこの時代の広告楽しそうね。
常にARやっている感じだからバーチャルで腕時計をはめたり、映画の宣伝でゾンビに追いかけられたりするんだよね。
こんな未来が来るとこの本にも書いてあったけど、先進国ではもうそういうのが見えているのかもね。