2024年のアメリカ映画
主演者はアリーシャ・ウィアー、メリッサ・バレラ、ダン・スティーヴンス、キャスリン・ニュートン
誘拐された少女の隠された秘密を巡るホラー映画
こんな人にオススメ!
・驚きの展開を楽しみたい
・個性豊かな登場人物を見たい
・スプラッタもOK
映画「アビゲイル」が5分でわかる!
あらすじ
誘拐された少女
12歳の少女アビゲイルがバレエの帰りに誘拐される。
7人の誘拐犯はクライアントであるランバートにアビゲイルを届け、身代金を取るまでの24時間屋敷で待機するよう命じられる。
誘拐犯はお互いの名前すら知らなかったので、ランバートはそれぞれジョーイ、フランク、ディーン、サミー、ピーター、リックルズと呼ぶことにする。
アビゲイルの世話係を任されたジョーイは、怯えるアビゲイルに誰にも乱暴させないと約束する。
アビゲイルが言うには、彼女は父親に興味を持たれておらず、アビゲイルはなぜか誘拐犯たちが気の毒だと言う。
誘拐犯達は酒を飲んでくつろいでいたが、元刑事のフランクがアビゲイルを脅し父の名を聞き出すと、父親はクリストフ・ラザールだという。
ラザールは政界も操れるほどの裏組織のボスで、全員消されることを恐怖した一同は騒然となる。
誘拐犯達はアビゲイルを密かに返してことなきを得ようとするが、それでも身代金が必要だったので、予定の時間までランバートを待つことにする。
7人はぞれぞれ屋敷内を警備していたが、食堂でディーンが何者かに首を切られて死亡する事件が起こる。
ディーンを探しに来たサミーがそれを発見し、集まった一団は犯人を推理し合い、犯人の名を過去の奇怪な事件になぞらえバルデズと呼ぶことにする。
人が死んだことに恐怖したリックルズは慌てて屋敷を出ようとするが、玄関にはいつの間にか格子扉がかかっており、窓も完全に封鎖されていた。
バルデズは誰だ?
ジョーイがアビゲイルに誰がバルデズなのかと聞くと、実はフランクはラザールの部下で、フランクがバルデズであると言う。
ジョーイはそのことをリックルズに伝え、2人はフランクを捕らえる作戦を立てるが、その直後リックルズが何者かに襲われて死亡する。
ジョーイはフランクから事情を聞き出そうとするが、フランクはアビゲイルに騙されていると容疑を否定する。
フランク、ピーター、ジョーイ、サミーはアビゲイルから事情を聞きに行くが、アビゲイルはいつの間にか手錠を外しており、牙を剥いてピーターに襲いかかる。
アビゲイルの正体は吸血鬼で、アビゲイルこそがバルデズだったことがわかる。
フランクらは武器を取ってアビゲイルを倒しに行くが部屋にはおらず、ダンスホールでディーンの首無し死体と踊っていた。
アビゲイルはピーターを十字架で滅多刺しにし、背後から切り掛かったフランクが持っていた杭を奪い、フランクの足を刺す。
なんとか一命を取り留めたフランクらはアビゲイルから逃げ、ジョーイに運命を託すことにする。
一行は姿を消したアビゲイルを探していたが、サミーは誤って排水設備に落ちてしまい、そこには大量の死体が浮いていた。
その頃、アビゲイルと遭遇したピーターは逃走していたが、フランクが誤って階段から突き落としてしまう。
次にアビゲイルはフランクを追い詰め、助けに入ったサミーがアビゲイルに噛まれてしまう。そこに生きていたピーターが現れ、アビゲイルを取り押さえいている間に、ジョーイがアビゲイルに注射をして眠らせる。
それぞれの秘密
ジョーイらはアビゲイルを牢のようなエレベーターに閉じ込める。
アビゲイルは見た目は少女だが実は何世紀も生きており、ランバートもアビゲイルの部下であることがわかる。
アビゲイルは誘拐犯全員の本名と犯罪歴を知っており、誘拐犯は全員ラザールに害をなしたために集められたことがわかる。
アビゲイルがエレベーターから出せば助けるという取引を持ちかけ、ピーターがそれに乗ろうとしたため、ジョーイはピーターの腹部を銃で撃つ。
ジョーイはピーターを治療するためサミーを見張りに残そうとするが、断られたためフランクを残す。
フランクは、アビゲイルをエレベーターから出すことを引き換えに、屋敷の脱出方法を聞き出す。
しかしフランクはアビゲイルをエレベーターから出さなかったので、アビゲイルはエレベーターを破壊してフランクに襲いかかる。
騒ぎを聞きつけて現れたジョーイが窓の封鎖を破壊すと、太陽光を浴びたアビゲイルの腕が爆散し、アビゲイルは逃走する。
フランクはアビゲイルから聞き出した隠し通路を試すが、何も起こらず騙されたことに気がつく。
ピーターとサミーは電源をハッキングし玄関の格子扉を開けようとするが、その途中でサミーは噛み傷から吸血鬼化しピーターを噛み殺す。
吸血鬼化したサミーはアビゲイルの操り人形となっており、サミーに違和感を感じたジョーイはロビーで太陽光をサミーに浴びせて倒す。
守られた約束
その時、突然ロビーの隠し扉が開く。フランクとジョーイは訝しがりながらも隠し通路に入り、そこで屋敷の監視室を見つける。
そこにはランバートがおり、ランバートは初めから吸血鬼化しており、ラザールの敵を集める役割を負っていたと言う。
しかしランバートはフランクに手を組んでアビゲイルとラザールを倒さないかと持ちかけ、フランクを吸血鬼化する。
フランクは吸血鬼となりながらも自我を保っており、ランバートを背後から杭で刺して殺す。
そこにアビゲイルが現れフランクに襲いかかるが、フランクは逆にアビゲイルを噛んで返り討ちにする。
ジョーイはその場から逃げようとするが、ドアが閉ざされており逃げられない。
諦めたジョーイはかつて手放してしまった息子に電話をかけるが、息子は電話に出なかったのでメッセージに愛していると言い残す。
そこにフランクが現れ、人間離れした圧倒的な力でジョーイを痛めつける。
フランクはトドメを刺すため吹き抜けからジョーイを投げ落とすが、落下したジョーイをアビゲイルがキャッチする。
アビゲイルはジョーイに手を組めば生かして逃すことを約束し、ジョーイとアビゲイルは協力してフランクを倒そうとするが、アビゲイルは床に叩きつけられ、ジョーイは杭で肩を貫通される。
フランクはアビゲイルの血を吸って瀕死にし、ジョーイを吸血鬼にしようとする。
フランクはジョーイにアビゲイルを殺すよう命令するが、ジョーイはフランクに襲いかかり、さらにその背後からアビゲイルが襲いかかる。
ジョーイとアビゲイルは2人でフランクの心臓に杭を突き刺して倒す。
アビゲイルはジョーイに礼を言い、息子を取り戻すようにと伝えるが、そこに突然ラザールが現れる。
ラザールもアビゲイル同様何世紀も生きた吸血鬼で、ジョーイに襲い掛かろうとするのをアビゲイルが庇う。
アビゲイルが、ジョーイはラザールと違い一緒にいてくれたと言うと、ラザールは態度を変え、ジョーイに屋敷から出るように促す。
ジョーイはひどい一日に疲労感を覚えながら、置いてあった車で屋敷を立ち去るのだった。
レビュー・考察
ヴァンパイアを誘拐してしまった悪党達を描くホラー。
誘拐された少女に襲われる誘拐犯達の有様は、加害者と被害者が逆転する、まさに逆ホラー。
いたいけな少女に恐怖するが良い!
ちなみに血飛沫飛び散る汚いシーンが多いので、食事中に見るのはオススメしない。
そんな哀れで個性豊かな誘拐犯たちの本名と過去をまずは整理する。
登場人物の整理
・ジョーイ
元衛生兵。薬物依存の形跡のある女性で、当初誘拐されたアビゲイルにも優しく接していた。
本名はアナ・ルシア・クルーズ。
衛生兵の時、モルヒネを乱用するようになり軍から追放される。
息子をイカれた父親に預けて逃げており、その後は闇医者となり生計を立てていたが、モルヒネでハイになりすぎて手術を失敗し、ラザールの仲間を死なせてしまった。
・フランク
メガネで細身の元刑事。誘拐犯のリーダー的存在。
本名はアダム・バレット。
刑事としての身分を隠しラザールの組織に潜入捜査してたが、組織に取り込まれる。
結局組織の幹部は逮捕され、八つ裂きにされたため、名を変え家族を捨てて逃げていた。
まさかのラスボス化を見せる。
・サミー
金持ち。武器は持たないが、パソコンにくわしく、ハッキング等の担当する。
本名はジェシカ・ハーニー。
有夫な親の親の金をハッキングで盗んだのをきっかけに、あちこちから金を盗むようになり、ラザールの組織の金にも手を出していた。
・ピーター
ムキムキの狙撃手。脅威のタフネスと怪力を誇るパワー型だが頭が少し弱い。
サミーと意気投合するが、吸血鬼となった彼女に噛み殺される。
本名はテレンス・ラクロア。
マフィアの筋肉担当で、人を首を折る仕事をしていたが、かつてマフィアへの報酬としてラザールが用意していた金を盗んでいた。
・ディーン
坊主頭のドライバー。軽薄で、思慮の足りない部分がある。
アビゲイルの最初の犠牲者となるが、なぜか噛まれず首を切られた。
・リックルズ
元軍人。他の誘拐犯を信用しておらず、ジョーイと手を組まないかと持ちかける。
リックルズとディーンは、アビゲイルが過去を明かす前に死亡しており、ラザールとの因縁はわからなかった。
アビゲイルの目的
見た目は子供、中身は老婆のヴァンパイア。
難しい役どころだが、子役女優の名演が光る。
半世紀も生きた年の功なのか、老獪な嘘で言葉巧みに騙そうとしてくる。
さらにバレエが得意なのか、優雅な動きで襲いかかってくるのが怖い。
噛まれた者は吸血鬼化し、アビゲイルの命令に従うようになる。
弱点は日光で、軽く浴びただけでその部分が爆散する。
アビゲイルの目的は、彼女に興味を失った父親ラザールに愛されることだと思われた。
しかしラザールの関心を買うために、仇なす者に復讐するだけならわざわざ屋敷に集める必要はない。
ましてや誘拐を偽装するなどまどろっこしいことをする必要もない。
闇夜に紛れて一人ずつ葬れば良いだけのことだ。
ラザールに愛されることというのも実はフェイクで、その真の目的は獲物を弄び遊ぶため。
誘拐犯のクライアントランバートもアビゲイルの下僕で、獲物を集める役割を負っていた。
最初のヴァンパイアは?
ヴァンパイアに噛まれると下僕化してしまう。
サミーも噛み傷から吸血鬼化し、アビゲイルの下僕になってしまった。
ランバートもアビゲイルの下僕だったが、どういうわけか支配を脱しており、アビゲイルを倒そうとフランクに持ちかけていた。
噛まれると吸血鬼化するということは、ヴァンパイアは増えるということでもある。
では最初のヴァンパイアは誰なのだろうか?
フランクの例からわかるように、吸血鬼化した人間に噛まれても吸血鬼化するので、吸血鬼化できるヴァンパイアが最初のヴァンパイアというわけでない。
一見アビゲイルが最初のヴァンパイアに見えるが、ラザールもヴァンパイアなのが明らかになったことで、アビゲイルもラザールの下僕である可能性もある。
というより、ラザールの復讐をアビゲイルがしていたことから考えるに、その可能性のほうが高そうである。
アビゲイルも哀れな犠牲者だったのかもしれない。