【祖先からのギフトは愛】映画「フロンティア」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2018年のロシア映画
主演者はクリスティーナ・ブロスカヤ, アレクサンドル・コルシュノフ, エレナ・リャド
金の亡者が祖先の愛を知る感動作

こんな人にオススメ!
・祖先の活躍を知りたい
・親子愛を感じたい
・戦争映画が好き

映画「フロンティア」が5分でわかる!

あらすじ

アレクセイの遺体

都市開発の責任者ミハイル・シューロフは、現場で作業を妨害する考古学者の女性がいると聞き説得しに行く。
この現場は多くの白骨死体が発見されており、考古学者の女性は遺体を引き上げるまで開発を中止してほしいという。

女性が話すには、この現場は第二次世界大戦中の激戦地で、ここで20万人以上の兵士が亡くなったいう。
女性はミハイルを防空壕の一つに案内し、そこで一体の白骨死体を見せる。
その白骨死体の主はコミッサール(将校)のアレクセイ・シューロフといい、ミハイルと同姓だった。
ミハイルは父とは無関係だと話すが、女性は確かめるべきだと主張する。

その時、ミハイルと女性のいる防空壕にトラックが突っ込んできて防空壕は崩落、巻き込まれたミハイルが気がつくとレニングラード包囲戦の戦場だった。

そこではソ連軍がレニングラード包囲戦を戦っており、防空壕はドイツ軍に爆撃されていた。
ソ連兵にはミハイルのことが見えておらず、ミハイルは爆撃の影響を受けることもなかった。

ソ連軍は女性たちをボートに乗せて逃していたので、そのボートにミハイルも同乗する。
しかし爆撃を受けたボートは傾き、ミハイルは海に投げ出される。

ミハイルは再び防空壕に戻るが、そこにドイツ兵が次々と入ってきてアレクセイが負傷する。
ミハイルはアレクセイら敗残兵と共にある防空壕に隠れるが、この防空壕こそが元の時代のミハイルがいた防空壕で、そこではソ連兵たちが次々と自決して行った。

ミハイルが気がつくと元の時代に戻っており、ミハイルの部下が崩れた防空壕から彼を助け出し、採掘は再開されていた。
しかし、それ以来ミハイルは、空間に生じたうねりから第二次世界大戦の頃の風景が見えるようになる。

アレクセイの子供たち

ミハイルと共に現場で崩落にあった女性は緊急救命センターに搬送されていたが、面会は禁止されていた。
女性に一目惚れしていたミハイルは、窓から病室に侵入し、女性に語りかける。

ミハイルは施設に入っている父ニコライを訪ね、シューロフ家との面識を訪ねる。
ニコライは第二次世界大戦の真っ最中に生まれた孤児で、育った施設の看護婦がシューロフという名をつけたという。

ニコライが育った孤児院を訪ねたミハイルだったが、ニコライの戸籍ファイルはすでに1962年にすでに失われていた。
しかし目の前に再びうねりが生じ、第二次大戦時代中の風景が映る。
そこでは看護師がニコライの戸籍ファイルを本棚の下に敷いており、現代でミハイルがその場所を探ると一冊のニコライの戸籍ファイルが見つかる。
戸籍ファイルによるとニコライとアレクセイは無関係に見えたが、実はアレクセイにはもう2人の子供がいたことがわかる。

パーヴェル・シューロフという男の認識票を手に入れたミハイルは、再び戦時中の時代に戻る。
ミハイルは、レニングラードの救援に向かう部隊と行動し、パーヴェルを探す。
ミハイルはシューロフと呼ばれた男を追いかけるが銃弾に撒かれ見失う。

シューロフと呼ばれた男は足を負傷した同僚を川の対岸にある病院に連れて行くと言い、銃弾飛び交う氷の川を渡って同僚を病院に送り届ける。
この男こそがパーヴェルで、夜明けまでに部隊に戻らないと脱走兵扱いになってしまうため、来た道を1人で引き返す。
部隊に戻ったパーヴェルだったが、そこにはすでに生存者の姿はなく、パーヴェルも犠牲になる。
パーヴェルは死ぬ直前、大切にしていたオペラグラスをミハイルに渡す。

もう1人の息子

ミハイルが気がつくと現代に戻っており、採掘を一時中断してパーヴェルの出自を調べる。
ミハイルがかつてパーヴェルが住んでいた住所を訪ねると、第二次世界大戦時の風景が映る。
その場面は、まさにコミッサールだったアレクセイと同名の息子アレクセイが出征するところだった。

この家に住んでいるシューロフ家を知る老婆に話を聞くと、アレクセイが出征した後、彼に息子ができたことを知らせる手紙が届たと言う。
老婆はその手紙を今も持っており、もしアレクセイが息子ができていたことを知っていたら戦死せず帰ってきたのかもと語る。
それを聞いたミハイルは、手紙をアレクセイに届けることにする。

老婆の家を出て街を歩くミハイルだったが、開発の仕事の相棒がミハイルに銃を突きつける。
相棒はミハイルが作業を中止したことに立腹しており、作業を再開させようとする。
相棒はミハイルを車のトランクに詰めると採掘現場に連れて行こうとするが、ミハイルはトランクの中で女性の生命維持装置が外されようとしていることを知る。

女性に命の危機が迫っていると思ったミハイルは、内側からトランクを開け女性が入院している病院に向かう。
女性は意識が回復したため生命維持装置を外されたところで、その隣の病室ではミハイル自身が死にかけていた。

届いた手紙

ミハイルの肉体は心臓が止まり、あと15分このままだと死亡認定されるところまできていた。
ミハイルは、手紙をアレクセイに届けなくてはと思い、再び第二次世界大戦中の戦場に戻る。

そこではアレクセイがドイツ軍と交戦中で、ミハイルは戦場の中でアレクセイを追いかける。
ミハイルは、激戦の中生き残ったアレクセイに手紙を渡そうとするが、その手は空を切りミハイルの存在にアレクセイは気がつかない。
アレクセイがソ連軍旗を掲げ勝利の雄叫びを上げている時、生き残っていたドイツ兵にアレクセイが撃たれるが、ミハイルが庇う。
アレクセイにはミハイルの姿が見えるようになっており、ミハイルはアレクセイに待っている人がいることを伝え、手紙を渡す。

ミハイルが気がつくとそこは現代の病院のベッドで、その傍らには考古学者の女性がいた。
ミハイルはエリザヴェータと名乗ったこの女性に愛を伝え、見舞いに来ていたニコライと生還を喜び合うのだった。

レビュー・考察

祖先の愛を知る映画。
舞台は第二次世界大戦のレニングラード包囲戦。

登場人物整理

登場人物が複雑なので、まずは整理。
ポイントはアレクセイ・シューロフが2人いること。
コミッサールは人物名でなく役職名であること。

・ミハイル・シューロフ
チンピラ風のデベロッパー。
金の亡者で先祖の遺体より採掘を優先しようとする。

・ニコライ・シューロフ
ミハイルの父。
戦災孤児だったため愛を知らず、愛を否定する生き方をミハイルに説く。

・アレクセイ・シューロフ
ミハイルの祖父。
アレクセイ・シューロフ(コミッサール)の次男で父と同じ名前を持つ。
父と兄の仇を打つため息子ニコライが出来たことを知らずに出征し、帰ってこなかった。

・パーヴェル・シューロフ
ミハイルの大叔父。
アレクセイ・シューロフ(コミッサール)の長男。
命がけで仲間を助け、本人も戦死する。

・アレクセイ・シューロフ(コミッサール)
ミハイルの曽祖父。
現代の採掘現場で見つかった遺体の主。
ドイツ軍に追い詰められ、防空壕で自決する。

絶望のレニングラード包囲戦

レニングラード包囲戦は第二次世界大戦中に起きたソ連とドイツとの戦争。
この戦争は足掛け三年に及び、戦死者は100万人を超えたと言われている。

この戦いでコミッサール(将校)だった曽祖父アレクセイは、女性たちを助けて自身は自決。
その長男パーヴェルは、仲間を命懸けで病院に届け、自身は戦死。

次男アレクセイは父アレクセイと兄パーヴェルの仇を打つために出征。
アレクセイが出征した時わずか16歳、この時彼の恋人はすでに男児を身籠っていた。
しかしアレクセイはそのことを知ることなく戦地に行き、帰ってこなかった。

この男児こそがミハイルの父親ニコライで、彼が戦争孤児だったのはアレクセイが戦死したから。
そして数十年後、コミッサールだった曽祖父アレクセイが自決した防空壕を掘り起こしたのがミハイルだった。(映画の冒頭)

変わる運命

ミハイルは金の亡者で、愛を否定して生きていた。
それは彼の父ニコライも同じで、孤児として育ったニコライは愛を知らなかった。

しかしミハイルは妙な偶然から謎の現象でレニグラード包囲戦の戦場に飛ばされるようになる。
最初は戦場の誰にもミハイルの姿は見えず、ミハイル自身も銃弾の影響を受けないなどほとんどいないも同然だった。

しかしミハイルが何度も戦場に行くにつれ、次第に銃弾のダメージの受けるようになる。
最後はアレクセイを庇って負傷し、彼に子供ができたことを知らせる手紙を届ける。

ミハイルが過去の時代で次第に実体を持っていくのが面白いところで、おそらくミハイルの祖先への興味の強さが実体化に影響している。
最初ミハイルは過去の戦争や祖先に興味がなかったので、誰にも存在を気づかれず銃弾の影響を受けうることもなかった。

しかし次第に祖先に興味が出てきて銃弾の影響を受けるようになる。
ラストは、アレクセイに手紙を届けたいとの一心で、自身が死ぬまでの15分で懸命に働きかける。
そして、アレクセイを射抜くはずだった銃弾を自身が受け、手紙を届けることに成功する。
ラストシーンは、愛を否定したミハイル・ニコライの親子らしからぬ温かな風景が広がっている。

作中では明示されないが、これはおそらくミハイルがアレクセイを庇い、手紙を届けたことで歴史が変わったからだと思われる。

アレクセイが戦死を免れたことで、ニコライは戦争孤児になることなく愛情溢れる家庭で育つ。
それにより愛を肯定できるようになり、ラストシーンに繋がったのかなと。

映画途中で出てきたニコライは、ミハイルの病院に看病に来るなんて想像もできない人物だったからね。

ミハイルが手紙を届ける前後で、彼の病室の雰囲気が全く違っているに注目だ!
そしてミハイル自身も考古学者のエリザヴェータに愛を伝え、シューロフの家系は続いていく…

ミハイルは曽祖父の遺体を発見したことで、愛のある世界を手にした。
祖先の活躍と愛情に感謝ですね。

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