2018年のカナダ映画
主演はアムル・アミーン、マルティン・ヴァルストロム、ジョージア・キング、マーク・オブライエン
私が私と入れ替わる…恐怖のSFサスペンス
こんな人におススメ!
・パラレルワールドものが好き
・やり直したい過去がある
・意外性のある展開が見たい
映画「パラレル 多次元世界」が5分でわかる!
あらすじ
並行世界の扉
エドワードと妻マリッサの老夫婦が仮面の強盗に襲われ、マリッサが命を落とす。
強盗が仮面を取るとその素顔は先ほど殺されたはずのマリッサ当人であった。
その2年後、この家にはジョシュ・ノエル・デヴィン・リーナの若者4人がアプリ開発の現場として住み着いていた。
4人はふとしたとことからこの家の壁に空洞があるのに気がつく。
壁を壊すと屋根裏部屋に通じており、そこにはマリッサが、同じ顔の女性を撮ったたくさんの写真があった。
デヴィンが屋根裏部屋の鏡に触れると腕が鏡の先に飲み込まれ、その先は同じ屋根裏部屋に繋がっているようだった。
ジョシュが鏡に飛び込み、鏡の向こうの世界に行くとそこにはバーベキューを楽しむ4人がおり、パラレルワールドに繋がっていることがわかる。
鏡は特定の場所と角度で毎回異なる世界線のパラレルワールドに繋がるようになり、パラレルワールドでは時間が180倍に膨張することがわかる。
ジョシュはその性質を使い、パラレルワールドで仕事をし元の世界に持ち帰ることで、かつての仲間セスの裏切りで無茶な納期を押し付けられたアプリ開発の仕事を成功させる。
不正
屋根裏部屋にはマリッサの日記があり、マリッサがこの鏡の秘密に気がつき、パラレルワールドで事故死した夫が生きている世界線を探し回っていたことがわかる。
ジョシュとノエルは映画の主演者が元の世界と異なっていることに気がつき、芸術分野では違いが出やすいことに気がつく。
そこでパラレルワールドの芸術作品を持ち出し、元の世界で使うことを思いつく。
さらには研究や発明をパラレルワールドから持ち出し、ベータファイヤーという会社まで設立する。
そのパーティで、かつて仲間を裏切ったセスに成功の裏には何か秘密があると指摘され、さらにはデヴィンの家系は不正をするとまで言われため、ノエルは激昂する。
ノエルはデヴィンを連れパラレルワールドのセスを襲撃する。
ジョシュはパラレルワールドで憧れの女性を口説き落とすが、女性の恋人に足を撃たれ大怪我を負う。
なんとか元の世界に戻ってくるも、ジョシュは助からず帰らぬ人となる。
残った3人は警察に通報すべきかで揉め、ノエルはパラレルワールドのジョシュを誘拐してくることを提案する。
デヴィンは反対するが押し切られ、3人はパラレルワールドにジョシュの死体を置き、生きているジョシュを連れて帰る。
ノエルはパラレルワールドのジョシュの大企業の社員の椅子を与え、ジョシュはそこに勤めるために屋敷を出る。
止まらないノエル
デヴィンの父はかつて不正を行なっており、その発覚を恐れ自殺していた。
デヴィンは自殺する直前、父に暴言を吐いてしまっており、そのことを後悔していた。
実はデヴィンはパラレルワールドで生きている父を探していた。
デヴィンは父が一命を取り留めたパラレルワールドを見つけ、父に会いに刑務所に向かう。
父は悪い人間と付き合ったがばかりに犯罪に手を染めてしまったと悔いており、デヴィンは違う男になれと励まされる。
リーナはパラレルワールドの作品で芸術家として成功しており、個展を開くまでになっていた。
リーナは自身が詐欺師であると自虐的だったが、デヴィンはリーナに昔からファンだったと自分の気持ちを伝える。
デヴィンとリーナは結ばれるが、この頃ノエルは異常なほど活動的になっており、その様子をデヴィンは心配していた。
マリッサの日記の最後で、マリッサはパラレルワールドの自身と入れ替わろうとしていたため、デヴィンはノエルをお放置すると危険だと感じていたのだ。
しかし翌朝デヴィンは書き置きを残しリーナの前から姿を消した。
ノエルは元々リーナと付き合っており、まとまった金が入ったことで復縁を迫る。
その時、リーナはジョシュから電話で呼び出され、ジョシュの相談に乗ることになる。
パラレルワールドから連れてこられたジョシュは、この世界との相違に頭がおかしくなり始めていた。リーナがそのことをノエルに知らせると、ノエルがジョシュの前任を偽の爆破予告で失脚させ、今のジョシュのポストを作ったことがわかる。
リーナはデヴィンに相談すべく、失踪したジョシュの居場所を突き止めに会いに行く。
しかしデヴィンはリーナと結ばれた記憶がなく、このデヴィンもノエルがパラレルワールドから連れてきたのだとわかる。
リーナはそのことを証明するためデヴィンにもらった自身の初の個展の入場券を見せるが、パラレルワールドのデヴィンにはわからず、リーナは屋敷を出ていく。
破滅への扉
激昂したジョシュは銃を持って屋根裏部屋にいたノエルを襲う。
ジョシュとノエルは揉み合いになり、ジョシュは誤ってノエルの腹部を撃ってしまう。
しかしそこに鏡の中からもう一人のノエルが銃を持って現れ、ジョシュとノエルを撃って止めを刺す。
実は死亡したノエルはパラレルワールドのノエルで、鏡から現れたのが元の世界のノエルだった。
ノエルはパラレルワールドの発明品を集め、科学者として成功しようと目論んでおり、その伴侶にリーナを誘う。
リーナは銃を奪ってノエルを倒そうとするが、失敗し屋根裏部屋に逃走する。
リーナはパラレルワールドに逃げようとしたところをノエルに捕まるが、そこに銃を持ったデヴィンが現れる。
デヴィンはノエルを撃つが、一命を取り留めたのノエルは鏡をくぐりパラレルワールドに逃げる。
リーナはパラレルワールドの時差を利用して治療したノエルがすぐに戻ってくることを察知し、急いで鏡の角度を変えてパラレルワールドへの扉を閉ざす。
その時、ノエルが鏡を通って元の世界に戻ってきていたため、ノエルの半身はただの鏡に戻った鏡により切り取られる。
ノエルも亡くなり、パラレルワールドは破滅しかもたらさないと悟ったリーナは鏡を破壊する。
その後、リーナはノエルが集めたパラレルワールドの発明品を匿名で寄付し、デヴィンと過ごすため車でどこかに向かっていた。
その途中、リーナが立ち寄ったコンビニのトイレで鏡に向かっていると、その背後が光り、再びパラレルワールドへの扉が開くのがわかる。
トイレから出てきたリーナは、ついさっきまでデヴィンが車で流していた音楽のことも覚えておらず、不穏な空気の中二人はまっすぐ続く道を走っていくのだった。
考察・レビュー
・人物整理
ジョシュ:4人のリーダ的存在。
ノエル :活発なチャラ男。
デヴィン:黒人、父が不正を起こし自殺している。
リーナ :女性。デザイン担当で、夢は芸術家。
マリッサ:4人の前の屋敷の住人。突然失踪した。
鏡の秘密
4人が住んだ屋敷の屋根裏にある鏡はパラレルワールドにつながっていた。
・パラレルワールドの特徴
①鏡を特定の場所、特定の位置に置かないとパラレルワールドへの扉は開かない。
②パラレルワールドは、元の世界とは微妙に異なる。
特に芸術分野ではブレが出やすいく、映画の出演者やキャラクターの綴りなどが異なっていた。
③パラレルワールドの出来事は元の世界に影響しない。
パラレルワールドのものは、いくらでも元の世界に持ち出せる。
④パラレルワールドでは時間が圧縮される。
元の世界の1分はパラレルワールドでは180分である。
上記の特徴を活かしてパラレルワールドで仕事をし、元の世界に持ち帰ると超速で仕事が終わる。
これだけ便利でデメリット無しのパラレルワールドへの扉を開いた4人は、パラレルワールドで買い物して持ち出したり、元の世界にはない芸術を盗作して個展を開いたりとやりたい放題。
しかしこの鏡に関わった人々は皆、失った最後には愛を求ていることがわかる。
マリッサの場合
マリッサはこの屋敷の鏡の秘密に気がつき、いくつものパラレルワールドを渡っていた。
いくつもの世界をめぐるうち、マリッサは事故で失った夫エドワードと過ごせる世界を望むようになる。
そしてエドワードが生きている世界線を見つけたマリッサは、パラレルワールドのマリッサを殺して入れ替わり、自分がエドワードと過ごすことにする。
これが映画の冒頭のシーン。
だから元の世界のマリッサはいなくなり、失踪扱いになっている。
そしてその2年後、この家には4人の若者が住むようになる。
ジョシュの場合
憧れの酒場の女性カルメンと結ばれるり元の世界では果たせなかった愛をパラレルワールドで育んだ。
しかし怒ったカルメンのパートナーに足を撃たれ死亡し、その死を隠すためノエルによってパラレルワールドのジョシュと交換される。
その後は世界の違いに違和感を感じ発狂してノエルに殺される。
初めはリーダ的存在だったが、パラレルワールドに振り回されるだけだった。
デヴィンの場合
デヴィンの父は不正を行い、息子デヴィンに犯罪者と罵られた直後に自殺していた。
デヴィンの家系は不正をするとセスに罵られていたのはこの件。
デヴィンはこのことを後悔しており、パラレルワールドで父の生きている世界線を探していた。
その結果、父が亡くなる前に発見された世界線を見つけ、刑務所に収監された父に会いに行く。
父に犯罪者と罵ったことを謝り、父から違う男になれと励まされたデヴィンは、パラレルワールドという不正を終わらせるため動くようになる。
ノエルの場合
ノエルはもともとリーナと付き合っていたが、なにもかもうまくいかず別れていた。
パラレルワールドのおかげでお金に余裕ができたノエルは、リーナによりを戻したいと伝えるが、この時すでにリーナはデヴィンと付き合い始めていた。
リーナがデヴィンと結ばれたことを知ったノエルは、デヴィンを殺してパラレルワールドのデヴィンを連れてくる。
そしてノエルはいくつものパラレルワールドでリーナに告白し、そのことごとくでリーナと付き合い、ツーショットの写真を残していた。
しかしそれでも元の世界のリーナにこだわるノエルは、リーナを自分のものにしようとする。
リーナの場合
リーナはノエルを騙して殺そうとするが失敗し、パラレルワールドから連れてこられたデヴィンに助けられる。
その後デヴィンとリーナは2人で遠くに遠くに行こうとしていたが、その途中でリーナはパラレルワールドから来たリーナに殺され入れ替わられてしまう。
元の世界のデヴィンはスマホにメッセージを残しており、パラレルワールドから連れてこられたデヴィンはそれを見て真実に気づいたからリーナを助けることができた。
だが、この世界の裏には、デヴィンがリーナを助けることができなかった世界線がたくさんあったことは想像に難くない。
その世界のリーナがデヴィンと過ごせる世界線を求めて現れたのではないだろうか。
破滅を導く鏡
最終的には元の世界の若者4人は、全員パラレルワールドの人物と入れ替わったことになる。
パラレルワールドのもたらす益の大きさと、それを不当な方法で手にしている疚しさゆえの葛藤が、パラレルワールドを見つけた者を破滅に導いたと言える。
大きすぎる秘密は隠すのも大変ということだね。
結局パラレルワールドを一番上手く使いこなしたのは、死別した夫との生活だけを望んだマリッサだったということになる。
しかしなぜマリッサがパラレルワールドの秘密を打ち明ける日記を残していたのかは謎である。