【祓魔師の罪】映画「ヴァチカンのエクソシスト」が5分でわかる!【ネタバレあり】

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2023年のアメリカ映画
主演者はラッセル・クロウ、ダニエル・ゾヴァット、アレックス・エッソー
教皇直属のエクソシストと最強の悪魔との戦い

こんな人にオススメ!
・王道的エクソシストものが見たい
・罪の意識がある人
・キリスト教に興味がある

映画「ヴァチカンのエクソシスト」が5分でわかる!

あらすじ

取り憑かれた子供

ローマ教皇直属の主席エクソシストであるガブリエーレは、ある青年に取り憑いた悪魔を生贄の豚に憑依させることで倒すことに成功する。
しかし司祭の許可なく祓魔の儀式を行ったとして教会の公聴会にかけられていた。
その席でガブリエーレは主席の座を開け渡すように勧告されるが、文句があるならローマ教皇に言えと反発して席を立つ。

ガブリエーレは教皇より直接、スペインのある少年を救って欲しいと依頼を受け、現地に向かう。
現地の修道院は過去にも問題を起こしており、教皇は強い悪を感じていた。

現地には亡き夫の古い修道院を改修しにスペインに来ていたジュリアと娘エイミー・息子ヘンリーの一家がいたが、ヘンリーは地下室で悪魔に取り憑かれており、自傷行為を繰り返すようになっていた。
修道院に入ったガブリエーレはジュリアと会い、ヘンリーの祓魔を開始するが、ヘンリーに取り憑いた悪魔は何故かガブリエーレのことを知っており、ガブリエーレが過去パルチザンに所属し戦争に身を投じていたことも知っていた。

修道院の秘密

ガブリエーレはジュリアと話し、ヘンリーは父親が事故死した現場に居合わせていたことを聞き、心の傷に悪魔がつけ込んだのだと伝える。
さらにエイミーには亡き父から電話がかかってきて、全員死ぬと言われる。

ガブリエーレは悪魔の名前がわからないとヘンリーを助けられない、悪魔の名前を知るためには祈りが必要だとし、現地の神父トマースの懺悔を聞く。
ガブリエーレとトマースは悪魔に祈りを捧げるが、突然部屋中の電気が消え、ガブリエーレの目の前にロザリアという女性が現れガブリエーレを責める。
さらに悪魔はトマースが罪の意識を持っているアデラという女性の話をして挑発し、トマースが思わず首を絞めたためこの日の祈りは中止になる。

ガブリエーレは悪魔の目的が少年にはないことに気がつき、修道院の裏庭を探ることにする。
そこにはヴァチカンの国章で封じられた井戸があり、ガブリエーレは大雨の中その封を開ける。
ガブリエーレが井戸に火を投げ込むと大爆発が起き、井戸から火柱が上がり、何らかの引火性のガスが地下に充満していることがわかる。

トマースはヘンリーの部屋の前で祈りを捧げていたが、ヘンリーの部屋に入った途端悪魔に耳を噛まれてしまう。
エイミーは謎の力で壁に叩きつけられ、ジュリアも突然苦しみ出す。
修道院に戻ったガブリエーレはジュリアとエイミーを助け、2人を礼拝堂で保護することにする。

悪魔の名はアスモデウス!

ガブリエーレはトマースを井戸に連れて行き、異端審問の末死亡した大勢の死体を見せる。
さらに地下室で、ヴァチカンの国章の刻まれた扉を見つけ、その中にカタコンべ(地下墓地)があるのを発見する。
そこには大昔の枢機卿の死体があり、この人物がかつて祓魔に失敗したことを悟る。

教皇は修道院の資料のから古い手紙を見つけ、あの修道院がかつて祓魔に失敗し悪魔に占拠されたところであることを知るが、その直後心臓発作を起こした倒れてしまう。

ガブリエーレとトマースはカタコンペの奥の洞窟を探り、偉大なエクソシストであったオヘダの死体を見つける。
オヘダが持っていた400年前の日記には強力な悪魔のことが書いてあり、オヘダ自身も悪魔に憑依されていたことがわかる。
オヘダは時の女王に異端審問を勧めた人物で、その迫害と拷問は悪魔の仕業であったことがわかる。
その後悪魔は修道院の地下に封印されていたが、修復工事で再び世に放たれることなった。

ガブリエーレは悪魔の名前が悪魔の帝王アスモデウスであることを知り、アスモデウスの目的はオヘダの時のようにエクソシストに憑依し、教会に入り込むことであることを突き止める。

アスモデウスとの戦い

ガブリエーレはかつてロザリアという女性を診ていたが、ロザリアは悪魔憑きではなく精神疾患であったため、ガブリエーレが精神科医に任せた後に投身自殺をしていた。
実はロザリアは乱暴されており、そのことをヴァチカンが隠蔽していたことをガブリエーレは後になって知り、ロザリアを救えなかったことにずっと罪の意識を感じていた。

ガブリエーレはトマースだけでなく、ジュリアとエイミーも連れ、ヘンリーを助けるためアスモデウスを倒しに行く。
アスモデウスはガブリエーレらが抱えている罪の意識を知っており、ガブリエーレにロザリアの幻覚を見せてくる。
ガブリエーレが悪魔祓いを始めると、アスモデウスは一時ヘンリーの体から出て行くが、次の瞬間エイミーに取り憑きジュリアに暴力を振るう。
再び目を覚ましたヘンリーはアスモデウスに再び取り憑かれており、ガブリエーレを壁に叩きつけ苦しめる。
ガブリエーレがアスモデウスに取り憑かれそうになった瞬間、ヘンリーとエイミーは正気に戻り、ジュリアと共に修道院を脱出する。

しかしガブリエーレはヘンリーとエイミーを助けるためアスモデウスにわざと体を開け渡しており、ガブリエーレが取り憑かれる。
ガブリエーレは取り憑いたアスモデウスに必死に抵抗し、カタコンべに火を付け自爆をしようとしたところ突然ロザリアが現れる。
ロザリアは悪魔に姿を変え、ガブリエーレは完全にアスモデウスに取り憑かれる。
そこにトマースが現れガブリエーレに取り憑いたアスモデウスを祓うが、ガブリエーレから分離したアスモデウスに吹き飛ばされる。
意識を取り戻したガブリエーレとトマースはアスモデウスに最後の祈りを唱え、アスモデウスを完全に倒す。

その後、修道院は教会が買い取り、ジュリアたち一家も無事アメリカに帰った。ガブリエーレとトマースは教皇に会い、他にも199の悪魔がいることを聞き、その打倒への決意を新たにする。
ガブリエーレは没するまで悪魔と戦い続け、多くの著書を残すのだった。

レビュー・考察

エクソシストが悪魔を倒す、わかりやすいエクソシストもの。
史実としての異端審問が取り上げられている他、教会の腐敗を描いたりと神の側にも完璧ではない描かれ方をしている。
話が重くなりそうだが、決してそんなことはなく、悪魔が豚に取り憑いちゃって豚ごと倒されるとか、重々しい雰囲気のガブリエーレの移動手段が軽快なスクーターとか、ガブリエーレの人柄によるシュールな笑いが散りばめられている。

ちなみに主人公ガブリエーレ・アモルトは実在の人物である。
本作はその著書「エクソシストは語る」の映画化作品である。

ガブリエーレの後悔

ガブリエーレはかつて担当していたロザリアという女性が自殺したことが心の重しになっている。
ロザリアは悪魔憑きではなく精神病者であったため、ガブリエーレは精神科医に任せていたが、結局ロザリアを救えなかった。
ロザリアが乱暴されていることを教会が隠蔽しており、それで精神を病んだのであれば本当に救われない。
ロザリアからすれば教会や助けてくれなかったガブリエーレが悪魔に見えたことだろう。

そんなガブリエーレの後悔はアスモデウスに利用されることになる。
アスモデウスがヘンリーに取り憑いた時小鳥の頭部を吐き出したが、それはロザリアがかじっていた小鳥の頭部だった。
その後もアスモデウスはガブリエーレを責めるロザリアの幻覚を見せ、精神攻撃を仕掛けてくる。

異端審問

中世のスペインのイザベラ女王の時代に行われた非カトリックへの弾圧で、本作のキーワードの一つになっている。
作中では、時のスペイン女王イザベラに異端審問を勧めたのはオヘダという修道士で、オヘダはアスモデウスの祓魔に失敗し取り憑かれていた。
その結果多くの人が異端審問の犠牲になり、その死体は修道院のカタコンべに葬られていた。
このためカタコンべには死体から出たガスが充満しており、非常に引火しやすい状態になっている。
序盤でガブリエーレは封印された井戸に火を投げ込み、その反応から地下にカタコンべがあることに気がついている。
オヘダは自身をカタコンベに監禁することでアスモデウスを封印し、その日記はガブリエーレがアスモデウスを倒すための決め手となった。

アスモデウスの目的はガブリエーレに取り憑き教会に入り込むことだったが、現代の異端審問でもをしたかったのだろうか。
ネット社会での異端審問はさぞ残酷なものになるだろう。

ところでそんな危険な悪魔を封印した修道院だが、映画冒頭ではジュリアの夫の持ち物になっている。なぜ個人の手に渡したかはよく分からないが、はじめから教会で管理していてほしいものである。

教会の腐敗

悪魔と闘う教会の側も一枚岩ではない。
ガブリエーレは悪魔を信じない若きエリート枢機卿サリバンに嫌われており、公聴会で首席の座を明け渡すように要求されていた。
ガブリエーレは軽口を叩いたり勤務中に飲酒したりするような破天荒型のおっさんなので、エリート然としたサリバンとは反りが合わなかったようである。
サリバンは悪魔の存在を信じていなかったので、もしアスモデウスがガブリエーレに取り憑いてサリバンの目の前に現れてたらどうなっていたか興味は尽きない。

結果的にアスモデウスがサリバンを攻撃したためサリバンは療養になり、ガブリエーレに好意的な司祭がその後任になった。
ロザリアが乱暴されていたのを隠蔽していたのも教会であり、教会の側も必ずしも善ではない。

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